第五十二話 約束?
122 †漆黒の堕天使†ルシフェル・アシュタロス 2016/11/11(金) 19:34:47
我を崇めよ
123 名無しさん@666ちゃんねる 2016/11/11(金) 19:37:32
あ、ルシフェルさんだ! こんばんは!
124 名無しさん@666ちゃんねる 2016/11/11(金) 19:39:15
>>122
こんばんは
リア充うらやましいっす
126 †漆黒の堕天使†ルシフェル・アシュタロス 2016/11/11(金) 19:41:22
>>123-124
うむ。良い心がけだ
……ふう、今日も見知らぬ誰かたちと心地よい挨拶を交わした。黒のルームウェアを着た、666ちゃんねるの名物コテハン『ルシフェル・アシュタロス』こと、俺『鈴木良太』は、PCのキーボードをタイプする手を止め、手元の五百ミリペットボトル入りの「ほ~い紅茶」を一口飲んだ。
少し休憩しよう。椅子を反転させ、自室を見渡す。蛍光灯に照らされた室内には、シングルベッドに本棚にクローゼット。左手の閉め切ったカーテンの上にはエアコン。右手に出入り口のドア。そして後ろにさっきまで使っていた机とPC一式。それだけ。味気ない部屋だが、ここが俺の聖域だ。中二の五月に中二病を発症したが、それがきっかけでブレイクし、すっかり校内の人気者である。もうあれから半年か。
少し目を閉じて、再びPCに向き直る。PC越しに見知らぬ人々にすら敬愛される日々。こんな充実した毎日、いつまでも続かないだろうか。
そんな思索にふけっていると、食事に呼ぶ母さんの声が階下から聞こえてきた。
◆ ◆ ◆
「良太~!」
ダイニングのドアを開けると、突然ハグされた。これもいつもの光景だ。それにしても母さん胸ないよな。
「おはよう」
父さんも頭をなでてくる。さすがにちょっと恥ずかしいぞ。夕飯が冷めてしまうよ。特に取り柄らしい取り柄はないけれど、そんな俺を両親は心から愛してくれている。
いつもの光景。おなじみの光景。……でも何だろうか、妙な違和感を感じる。
美味しい手料理を食べた後、めんつゆが残り少ないとのことで、お使いを頼まれてしまった。まあ、ちょうど漫画の立ち読みでもしようかと思っていたからいいけれど。
◆ ◆ ◆
「こんばんは。良くん!」
一軒家を出たら、お隣に住んでる間さん、はざ姉と呼んでる女性とばったり出くわした。ポニーテールの似合う大学生のお姉さんだ。青くて丸い、セキセイインコ風のヘアピンが可愛らしい。
「こんばんは、はざ姉。どっか行くの?」
「コンビニにコピー取りに行こうと思って。良くんは?」
「めんつゆ買うの頼まれた。よかったら一緒に行かない?」
はざ姉が快諾してくれたので、歩いて七分のコンビニまで他愛ないおしゃべりに花を咲かせる。
「うーん……ところでさ、俺はざ姉と何か大事な約束をしていた気がするんだよね。何だっけ?」
「約束? 特にしてないと思うけど」
ううん? おかしいな。確かに何かしていた気が……。気のせいか。
「良くん、猫だよ猫! 可愛い~」
思い悩んでいると、いつの間にかはざ姉が二匹の野良猫を撫でていた。二匹とも気持ちよさそうに目を細めている
はて、奇妙だ。この二匹とも何か約束をしていた気がする。そんなバカな、野良猫と約束だなんて。でも、この心の底から湧いてくるような違和感は何だろうか。
「はざ姉、早く帰らないと心配されると思うから」
漫画でも立ち読もうとしていたつもりだが、謎の焦燥感に突き動かされて彼女を急かす。額に変な汗がにじむ。
「あー、そうだねごめん。またねー、猫ちゃんズ♪」
その後はコンビニでめんつゆを買うと、はざ姉と別行動を取ってさっさと帰ってしまった。悪い事したかな。漫画は何だか読む気になれなかった。
◆ ◆ ◆
翌日。クラスメイトがざわつく教室で、何の気なしにぼーっと校庭の様子を座って眺めていた。どこにでもある、平凡な公立中学校の光景。でも、この光景に何故か馴染めない。
「おはよう、鈴木くん!」
明るく声をかけて来るのは学級委員長の鈴村。ツインテールの似合う巨乳少女だ。彼女は誰にでも優しいが、俺を特に気に入っているようだ。何で俺? とも思うが、美少女の好意が嫌な男など居ないよな。クラスメイトからはすずすずコンビと呼ばれている。
「おはよう、鈴村。今日もテンション高いね」
「鈴木くんが低いんだよ~」
満面の眩しい笑顔を向けながら、後ろに着席する。
「あっそうだ。この間の約束なんだけどさ」
振り返って話しかけると、彼女はきょとんとしていた。
「え? 何、約束って。私何か約束してたっけ?」
「あ、いや。何でもない」
ごまかすように頭をかく。昨日から何か変だぞ、俺。
「そうだ、鈴木くん! 明日市立公園行かない?」
「明日? 別に構わないけど」
おお、これはひょっとするとあれか。デートの申し込みか! 今どきラインでなく口頭とは大胆な。
「じゃあ、正午に南口ね!」
「OK」
承諾すると、彼女はそれはもう上機嫌。俺みたいな平凡マンのどこがそんなにいいのだろうか。まあ、嬉しさしかない話だけどさ。
そんな話をしていると、予鈴が鳴った。明日が楽しみだな。
もうちょっと切りの良いところまで書き進めようかとも思ったのですが、そうすると次の話が異様に短くなるので一旦ここで切りました。
いわゆる「溜め」の回が続いており恐縮ですが、弓を絞り矢を放つように、勢い良い話につなげていきたいと思います。




