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第四十話 探検・発見・過去の街
ザイドハーマから旅立ち一週間目、ついにヴェイヴァルへと到着した。正確にはヴェイヴァルだったと思しき場所と言ったほうが良いだろうか。
風化が進んでおり、城壁や石造りの建築物がかろうじてその一部を残しているような有様で、まさに廃墟という言葉がふさわしい。
世の中には廃墟マニアというのが居るようだが、こうも風化が進んでいると彼らの興味が惹かれるのかどうか気になるところである。
いや、そんなことはどうでもいいな。問題はエテメンアンキが遺っているかどうかだ。
オフィエルが頑張って描いたエテメンアンキの復元図を広げる。……申し訳ないが、非常に前衛的な絵画と言わざるを得ない。しかし、手がかりはこれだけである。まあ、それっぽい物を見つけたら彼女に鑑定してもらえばいいだろう。
「各自散開し、エテメンアンキを捜索せよ!」
シェム将軍の号令下、再現図の複製を手に、方々へと散っていく。ヴェイヴァルはかつての大都市であるから、相当広いのだろう。正直一万人で探しきれるかというのも怪しい。もともと分の悪い賭けだが、運に味方してもらう他はないな。