第十七話 かくもチートな日常魔法
朝っぱらから変態天使のせいでえらい目にあったが、試してみたい魔法があったので、昼前に抜け出し、場外でやってみることにした。
「一万と二千の黄金期よ! 光満ち、風と水と大地に祝福されし子らよ、現れ出よ!」
地面に巨大な魔方陣が描かれ、そこから大量の芽が出てくる。そしてそれは尋常ならざる勢いで伸びていき、黄金色の実を付けた。そう、麦である。とうとう麦まで作れてしまったか。最早何でもありだな、俺。皆を呼んでこよう。
◆ ◆ ◆
即席の豊作麦畑を皆に見せると、一様に感嘆の声が上がる。
「いやー、凄いねルシくん! お姉ちゃんでもこれは難しいよー」
「オマエすごい! オレのムコだけあるな!」
「さすがです、ルシフェル様!」
おなじみ、フォルの「さすルシ」も炸裂し、皆に抱きつかれてもみくちゃにされてしまった。
必要な分を刈り取り、この世界ではすでに発明されている千歯扱きのような脱穀器があったので、それで脱穀し、箕にかけた後、水車小屋で挽いて粉にした。これだけで、夕刻までかかってしまった。いやはや、重労働である。
ネットが使えなくなるトラブルが発生したため、復旧と調べ物で大幅に時間をロスし、一つの話を半分に分ける羽目になりました……。
この話、最初はルシフェルが森で見事に主を狩って賞賛される……的な話にするつもりでしたが、マルコあたりより上手く狩りができる理由付けに困り、代わりに麦作らせてみました。こういった方向のチート魔法ってありそうでないですよね。