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第十一話 あなたに、力を

「おい! 離れよ! 危なかろう!」


 リリスをユコたちと一緒に避難させようとしたが、どうにもこの子が俺を掴んで離さない。こんなことをやってる間にも天使が近づいてくる。


「危ないから私たちと一緒に行こう?」


 ユコも頑張って説得しているが聞く耳持たずだ。


「ユコ、もう危険だ。先に行け。リリスは我が守り切ろう」


 仕方がない。腹をくくろう。子供の一人も守れなくて何の救世主か!


 撤退していく馬車を横目に、『獣』とシャミールを召喚し、恒例の遠距離爆撃で天使を潰していく。戦闘はミドルレンジの魔法合戦に突入した。魔法の閃光が飛び交う乱戦の最中(さなか)、前髪を切り揃えた清楚なイメージの六枚羽根の少女天使が進み出てきた。


「私はセクンダディ・ベアトリーチェ。さすが漆黒の堕天使ルシフェルですね。ですが、これはどうですか? 天におわす我が(あるじ) 全てを作りし栄光のその御手 聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな♪」


 ベアトリーチェと名乗るその天使が歌いだし、それとともに衝撃波が襲う。彼女の周囲の天使は影響を受けていないことから、指向性の範囲攻撃か! しかし、歌は敵ながら上手いのに、ジャ○アンソングなのか。サタンと魔導師クインテットの障壁魔法が軋みだす。これはまずいか? ならば、先に叩き潰すまでよ!


「魔の魅惑に魅入られし光の波導よ! 猛り狂いしその熱情の力を開放せよ!」


 肘を曲げ、上に向かって鷲掴みするようなかっこいいポーズを取りながら詠唱を終えると、目に前の虚空に出現した魔法陣から輝くエネルギーの束がほとばしり、ベアトリーチェを包み込む!


「なん……だと!?」


 しかし、ベアトリーチェの前に立ちはだかる、尖った金髪の六枚羽根の男天使が展開する球状の障壁魔法によって、エネルギーが打ち消されてしまった。この天使、そういえば戦闘開始から攻撃魔法を一切放っていない。攻撃ができない代わりに、高い防御力を持つ守備専なのか!


「俺はセクンダディのケルビエル、天の盾と呼ばれている。貴様らの攻撃は一切通さん!」


 ベアトリーチェの衝撃波にケルビエルの障壁。こいつは割と厳しいかもしれん。だが、何度でもやるまでよ!


 再びポーズを決めながら詠唱を開始すると、俺の右腕に温かい感触があった。手だ。リリスの小さな手だ。彼女が手を触れた瞬間、強力な力が体中に(みなぎ)ってきた!


 詠唱終了とともに、先ほどを超える強大な閃光が最前のケルビエルごと、ベトリーチェやその後方の天使たちを断末魔とともに消し飛ばし、遥か天高くまで届いた。


 視線を右下の胸元に落とすと、リリスの頭が目に映る。その頭を、左手で優しく撫でた。一体何者なのだろうか、この子は? 残る天使を攻撃しながらも、そんな疑問が頭を離れなかった。

 いつものおまけです。


 ベアトリーチェは、ダンテの「神曲」に登場する天使です。もともと、ダンテが子供のから一方的に好きだった女性を元ネタにして登場させたのだとか。中二病というのは時代を選ばないものですね。


 ケルビエルは「エノク書」という聖書に登場する天使で、智天使 (ケルビム)の統率者です。天の盾という呼称は、私がでっち上げたものなので真に受けないでくださいますよう。


 ケルビエルは元々ハラリエルという名前の天使で書いていたのですが、後付で考案した「神」のキャラに問題が生じるため、ケルビエルに変更しました。


 よくよく数えてみれば、ヒロイン (男の娘含む)がもう八人! テコ入れだからと、ちょっと出しすぎた感が…… (実は、さらにもう一人出そうとか考えてた)。これからは、もっとヒロインのキャラ掘り下げとルシフェルとの絡みを書いていこうと思います。

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