2.非日常の始まり
『う…』
頭がズキズキと痛む…フライパンで殴るなといったのに、でも目を開けたら確かにそこは異世界だった。
『これで召喚された場所が姫の部屋じゃなかったら文句無しだったんだが…』
そう、俺は不法侵入の疑いで捕まっている。
何故かって ? 俺だって知りたい。
フライパンで殴られ、目を覚ましたらここだったのだから。しかも、あの天使いないし。
『はぁ…』
おもわずため息が溢れる。この状況で溢すなってほうが無理だ。
今はちょうど憲兵の手によって王様の前に連れていかれている。
『あの~? まさか、俺死にませんよね…?』
『さぁな? 首をストラップにでもされるんじゃないか?』
え…ストラップ? 首切り処刑とか無理。召喚されて一日もたってないのに…
『『………』』
『すまん、嘘だよ』
『なんだ~、良かった』
ほっとした。召喚されて一日目に誤解で死ぬとか冗談じゃない。
『じゃあ、本当は何なんですか…?』
『分かんねぇけど、姫様が偶然居なかったから、そこまで思い刑にはならない…んじゃね?』
なんか適当だな~…とりあえず祈っておこう。
そうこう憲兵と会話している間に大きな門のある部屋についた。どうでもいいけどこのお城かなり広いな。
『ついたぞ』
『お、おう』
扉が開くと中には、玉座に座っている偉そうな髭の年寄りがいた。
『あれが王様…』
『そうだ、この方がルシフェニア国の56代目の王様だ』
ふむ…なんというか、一言で言うと普通。特に目立つとこもなければおかしなところもない。
『お前…名をなんという?』
名前か…流石に本名使うのもどうかと思うからー
『俺の名前はリュウだ』
『そうか…リュウか。普通なら死罪だが、今はこの国の危機だから見逃してやる。』
やっぱり死刑じゃないか…まぁこれならなんとかなりそうだ。
『あ、ありがとうございます』
『だが、条件がある。』
『その条件とは…?』
条件、ありがちな方向で考えると魔王討伐ってところだろうか。
『このルシフェニア国は昔から、ある伝説があった。七代目魔王が20歳になる時にこの国に災いが起きると…』
当たりかよ。
『なるほど…つまり魔王討伐ということですか』
『そうなるな』
まぁ、異世界らしくていいのでその条件を飲むことにした。
『分かりました、俺にお任せください』
『一人でいかせるのは心配だから、この城のメイドを仲間として連れていけ』
大方、逃げ出さないようにの見張りってことだろう。
『で、その人とは?』
『憲兵よ、ローゼを呼べ』
ローゼか…名前的に女性だろう。
『お呼びでしょうか、王』
すると王は俺に指を差し
『こいつ…リュウと一緒に魔王討伐に行ってくれないか?』
『魔王討伐…ですか』
あ、今こっちをみた。でも、ブカブカの黒いコートで青い瞳しかみえなかった。
『そうだ、行ってくれないか?』
『……かしこまりました』
表情はみえないが、凄く不満そうな声をしている。
『では、 魔王を討伐し必ずや帰ってくるのだ!』
その王の声と同時に入ってきた時の門が開いた。
ただ、そのメイドがかなりの問題児ってことを俺はこの後知ることになる。
第3話 『俺とメイド』に続く