初めてみたら....
俺、大原夏樹。VRMMOはまだやったことがない時代遅れな男だ。VRMMOはもう、そりゃ浸透して社会ブームを巻き起こしているのにね。
そんな俺だが、高校に入るとVRMMOの話一色で誰とも話すことが出来ず、購入した。
「お前、何のソフト好きなの?」って聞かれて「キノコブラザーズ」って頑張って答えたら場がシーンとなったからね...ということで、早速開封して。
ーー10分後
「ふむふむ、なるほどなるほど。これで準備OKだな」
今回買ったのは、DONだ。みんなの会話を聞いていると良く出てくるのでこれをチョイスした。なぜ、そんなに適当な理由で選んだかといえば話題の為でしかないから。
俺自身は携帯ゲーム機の方が性にあっていると思うので面白さにはあまり期待していない。みんながやっているということは、続けるのが苦痛になるほどつまらないわけはないはずだ。続けられればそれで良いのである。
なんかこれまでのを聞いているとチャラ男みたいに思われるかもしれないが、俺はただの必死に高校デビューを期にボッチを卒業しようと頑張っている男だ。
中学校で必ず「ペアを組んで~~」と言われたときに余りものになって教師と組んでいたのは伊達じゃないぜ!!
俺は高校で友達百人作ることを夢想しながら起動の合言葉を言う。
「Accept to Dive」
次々丸い電子的な壁が現れてはそこに表示されたサークルがすべて青色になり、OKと表示されていく。なかなかワクワクする演出だ。そんなことを思っていると、いつの間にか真っ白い部屋に立っていた。
目覚めたら立っているというのは不思議な感覚だよ。普通は意識が無くなったら寝ているからな。目覚めたときに立ってることなんてない。
『ようこそ、ダンジョンオンラインの世界へ』
「おぉ」
出てきたウィンドウに滑らかな動きで文字が次々と出て来る。正直言って感動しました。携帯用ゲームでは有り得ない程の鮮明さと動きだ。直接見ているような物だからか。
そんなこともわからなかったのはちょっと恥ずかしいな。
『アバターを設定してください』
その文字と共にどことなく俺に似た風貌のイケメンが表示されている。アバターの上には『外見がデフォルメされたアバターです』と書いてあるな。俺をイケメンにしたキャラがこれだ、ということだろう。
面倒くさいし、このままでいいや。別に俺とリアルで特定されることもないし、イケメンで困ることなどないだろう。
名前は~~ちょっともじってサマッドと。
『種族を決定してください』
「なんか、面倒くさくなってきたな」
種族は六つ「プロト、獣人、エルフ、ドワーフ、魔人、スライム人」がある。プロトは普通の人で補正なし。獣人はケモ耳、尻尾付きで素早さ、力に補正、魔力にマイナス補正。
エルフは耳が長く、魔力、器用さに補正、防御にマイナス補正。ドワーフはって面倒くさいな!!面白そうだからスライム人にしよう!!スライム人は見た目は人と変わらないけど体力は大幅補正だからな。
力、魔力がマイナス補正らしいけど。所詮は話題作りの為のゲームだから面白い方がいいだろ。俺が決定ボタンを押すと、クラッカーの音がどこからか鳴り響いた。
『あなたはダンジョンマスターに当選しました!!』
え?運が良かったら冒険者以外になれるかも...みたいに書いてあったのはダンジョンマスターになれるってこと?みんなダンジョン攻略の話してたんだけど!!
「話題作りにならないじゃねぇかよ!!!!」
俺は叫んだ。