来客者
第五話(?)更新です。
新キャラ登場です。
光の目に飛び込んで来たのは昨日見た時には何もなかった一ページ目だった。
『なんで?!!』
光は意味が分からなく仰天した。
そこには二人の人物がモノトーンで描かれていた。
背の高い方の一人は黒の帽子を頭にのせ、そしてもう一人は‥‥。
見るからに子どもだ。その二人が何か会話でもしている様な絵。
背景も木や草花がある。
あれ?なんだか見覚えのあるような光景だ。
子どもの服装は上下おそろいの‥‥パジャマのようだ。
その瞬間、光の脳裏に声が響いた。
ーお前そのパジャマよく似合ってんじゃん
とっさに自分の頭に手を持って行く。
『そうだっ‥‥僕はあの兄ちゃんと‥‥夢‥‥夢で会ったんだ!』
思い出したのはいいものの、なぜそれが昨日まで中身のなかった本にいつの間に記されているのだろうか。
必然的な疑問に頭を悩ませる。
これも夢なのではと思い、足の小指をわざとタンスの角にぶつけたりしたけど痛くて話にならなかった。
この不可思議なことを早く誰かに伝えなくてはという気持ちとどうしていいのか分からなくて落ち着かない気持ちが渦巻く。
そのタイミングに家のインターホンが鳴った。
それにもまた仰天しつつ、玄関の覗き穴を確認する。
そこにいたのは、同い年くらいの女の子の姿だった。
後ろ二つに結った女の子はクラスメイト一わがままと定評のある柏桃子だとすぐに分かった。
どうして彼女が家に訪ねて来たのだろうか。
僕は密かに怯えた。
このまま居留守を貫こうかとも思ったが、そう簡単に彼女は引き下がらなかった。
『笹野君、ねー、居るんでしょ?暑いんだから早くしてよ』
恐ろしい、ドア越しにでも文句垂れているような女子だ。
ゆっくりとドアを数センチ開けると引力のように僕の力ではなくドアが開かれた。
『遅い!こんな暑いところ女の子を待たせるなんて男としてあるまじきことよ!!』
いきなりの固執したダメだし。
『ご、ごめんね』一応謝ったが、意味はなかったようだ。
『早く通してよ』
今日は何かと意味が分からない事態に遭遇するようだと光は思った。
『通してって‥‥柏さん僕に何の用なの?』
困った雰囲気を出しつつ問う。
彼女は”キッ”と顎を引いて睨んだ後、『これ』と言って一枚の紙を前に出した。
見るとそこには連絡網と題して、クラスメイトの名前と電話番号が順に並んでいた。
『改訂版だって。笹野君の連絡先が加わったから先生が作ったけど、夏休みになる前に渡しそびれたからって。ほとんどの生徒は部活で学校に来るから渡せるけど、帰宅部の人は渡す機会がないから、家が近い人に頼んでるみたい』
なるほど。
ここで初めて柏桃子と家が近かったことを知った。
『でも、先生も生徒遣い荒いわよね。自分でやれっつうの』
気怠げに先生の愚痴をこぼし腕を組む彼女はまだ帰る気配がしない。
ただでさえ、あの本の事が気になって仕方ないのに‥‥。
『あ‥‥ありがとうございます。』礼を言って下がろうとしたら
『ちょっと、ジュース一杯くらい御馳走してくれてもいいんじゃない?』
とすかさず中へ入りたがる彼女。
なんて図々しい奴。
『今、親、いないから。無理だから』
『何よ、せっかく人がわざわざ持って来てあげたのに』
どんどん彼女の目が吊り上がる。
『へえ〜、笹野君ちこんな感じなんだ〜』
結局僕は彼女ー柏桃子に負けた。
団地の五階の2LDKのこの笹野家に他人を上げたのは多分これが初めてだ。
あー、でもその前に引っ越し屋さんが居たか。
そんなことを考えながら冷蔵庫を開けて、残り少ないジュースの入ったペットボトルを取り出す。
やっかいな客だな。
グラスにジュースを注ぎ、差し出す。
『あっ、なんかごめんね〜ありがとう。いただきます』
本当にそう思ってるのかと疑わずにはいられない。さっきまでの不機嫌さはなくなったみたいだけど図々しさは天下一という感じだ。
『ん〜、おいし〜やっぱオレンジが一番ね』
満足そうに彼女は微笑む。
分かったからもう帰ってと言いたい。
リビングでジュースを飲み干した柏は満足したのか『帰るね』といい席を立った。
全くわがままと言われるだけある。
でも飲み終えたグラスは自分で洗い、片付けた。
彼女の行儀の良さが所々で垣間見れた。
玄関での靴を揃えたり。お邪魔しますと挨拶したり。
御仏壇にまで手を合わせるくらいだった。
まあ、だからと言って友達になりたいと思ったりはしない。ただのクラスメイトだ。
そう自分に言い聞かせている光はどこか不自然でもあった。
わがままで口達者な女の子が加わりどうなるかなって感じですw
読んで下さった方、ありがとうございます!




