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第3話 襲撃

「治外法権……?」


 その国の法や常識が遮断される特別なエリア。存在自体は知ってはいたが、その特権に当てはまるのは大使館や友軍の基地だけだと思っていた。

 じゃあこの施設は、一体何を持って全世界から治外法権が認められていると言うのだろうか。

 思考に足が止まる間に、背後からはけたたましい銃声が聞こえてくる。

「振り向く暇があったら走りましょうかねぇ五条君。この狭いフロアじゃあ侵入者が見えた時点で脳髄が吹き飛ばされてしまうよ。」

 ジジさんはハイキングで追いかけっこでもしているかのような軽いノリで、笑いさえ交えて語りかけてくるのだけども

 こんな窮状で呑気なことが言える人間なんてそうはいない。この人もまた何か特別な位置にいる人なのかもしれない。

 こんな時いつもの戦争を模したゲームではどう動いていたか、まだうまく力が伝わらない足で駆け出しながらも冷静になって頭を整理する。

 まずは安全な場所まで移動して身を隠し敵勢力の人数、位置を把握することが先決だろう。

 そして敵の動きから潜伏する予備群の有無や進路、作戦を予測して最悪の事態を考慮しつつ退路を確保した上

 地形を利用した防御陣営を整えて戦略を練る。

 この状況では子供や老人を守りながら戦う防衛戦となるのだから無理に前に出るようなことは避けたほうがいいだろう。

 などと尤もらしく考えてはみるものの現時点で我ら3人に装備は皆無。詰んだ。このゲームは最初から詰んでいる。

 そのままアリカ達を追って森の奥へと進んで行くとそこにはちょっとした塀ほどもある大きな倒木が横たわっていて、3人は素早く倒木の裏に廻りこむと所々に開いた穴から侵入者達の動向を確認した。

 しかし俺が倒木に肩をもたれかけた瞬間、予想に反する氷のような冷たさに思わず2メートルほど後方に大きく飛びのいてしまう。その倒木を怪訝な目をしてマジマジと眺めてみれば、樹木だとばかり思っていた物体は所々塗装が擦り減って、辺りの光を拾い上げては冷たく反射させていた。


「……金属…か……?」


「ウルツァイト窒化ホウ素とグラフェンを使った対銃撃戦用防壁だねぇ。下手な鉄板風情じゃライフル弾なんか簡単に突き抜けてしまうし。こういった防壁はバスチオンの至る所にあるから巧く使うと良いよ。」

 ウルツァイトと言う名は聞いたことがあった。確か世界で一番硬い金属だ。グラフェンは最近の防弾チョッキにも使われてるんだって、前に『親父』さんが言ってたような気がする。

 いずれもそんなに簡単に加工が出来るものとは思えないけどそんな物を各所に配置することが可能で、ましてやその必要にも迫られていると言うことは―――

 おのずと、馬鹿げた妄想が胸を過ぎってしまう。


「……ここでは……ごく日常的に戦闘が行われているってことでしょうか……」


 ジジさんは俺のしょうもない空想に小さく鼻を鳴らすと、顔に笑みを残したまま片目を細めて言葉を返す。

「何を今更。」

 返ってきたのは、普段なら笑い話にしかならない絵空事を肯定するような言葉だった。

 辺りには耳を塞ぎたくなるような爆竹音様〈ヨウ〉の銃声が反響してフロアをビリビリと震わせている。

 病院を要塞のように仕立て上げなければいけない事情や、女性を含む医師までもが完全武装で備えなければならないという意味……。

 異常事態に置かれても不安な顔一つ見せずに、周りの人間を先導し冷静な判断が出来る子供がいると言う理由は

 ここが紛争地帯であると仮定するのなら合点の行く話しだった。

 ―――しかし。俺にとっての紛争地帯というものはあくまで画面の中にしか存在しないものであって、現実に自分を傷つけることも無ければ何事かが起きた時には何らかの公的機関によって実際に火の粉が降りかかる前に鎮圧されるものと言うくくりの中にあるものだったのだが

 今現在のこの状況は、どうもそのどちらにも属さない危機的状態にしか見えなくて。

 小銃の銃声が少しづつ近づく程に、俺の体温はどんどんと下がっていって、鼓動は刻一刻と高まっているように感じられた。

 アリカの方を振り向くと、彼女は肩から斜めに下げたポーチの中から銀色の9ミリハンドガンを取り出して、おぼつかない手つきで装弾数を確かめていた。

 桜色の唇は噛み締められ、血流を失って青ざめている。覚悟を決めた眼差しは、そのおもちゃが描き出す未来を悟っているようだった。

 アリカの横でハンドガンに目を流していたジジさんが、顔をこちらに向けもせずに俺の倫理に檄を飛ばしてくる。

「何をしているんだね五条君。……あの銃は……君が撃つべきだろう?」

 ようやくアリカから俺のほうへ上げられたジジさんの濁りきった眼光が、彼がどういう人物であるのかを物語っているような気がして。

穏やかな微笑を纏っている時には気付かなかった、深い深い底なし沼のような灰色の瞳は、TVでたまに見かける戦乱を日常とする民兵達の瞳に極々近い殺気のようなものを孕んでいるように見えた。

 それでもアリカの手から静かに銃を取り上げたのは、そのジジさんの鬼気とした気迫に押されたからと言う訳じゃなかった。

 アリカはまだ本当に小さな、俺の腰ほどまでの背丈しかない幼い少女だったから。

 その彼女が意を決したように侵入者の影を見据えた時点で、

 俺よりも前に進み出て、僅かに震える手で構えをとった時点で。

 そうしなきゃいけないんだって、今まで身につけてきた常識達が落ち着き無く体の中でざわめき続けていて

 気づいた時には俺の掌にはアリカの温もりが残る9ミリパラペラム弾の装填されたハンドガンが力強く握り締められていた。

 心臓が内側から胸部にドンドンと大きな音を立てて打ちつけてくる。

 それでも、決意に反して何故か潤んできてしまう眼をただ瞠りながらも、

 力むだけ力んで、重く地面に貼りついている足を倒木の方へ無理矢理押し出してよろけながらも。俺はどこかでホッとしたような気持ちに包まれていた。

 今まではこんな風に人の心に実際に手を伸ばしたことなんて一度も無かったし、きっとこんなことでも無ければ一生傍観者のままでいたいとすら思っていたから

 だから俺の手にアリカの銃が握られた様を見た時、俺はここにいる誰よりも一番自分自身の行動に驚いていたんだ。

 ああ俺にも子供から過酷な現実を取り上げて、背負おうと思えるだけの勇気はあったんだって思えたから。

 銃を握る手はふるふると震えていた。滲み出る汗が、掌と金属を隙間なく貼り付けて気持ちが悪い。

 気持ちを切り替えるように一つ息をつくと倒木の穴から侵入者へと慎重に狙いを定めて撃鉄を起こす。有効射程距離は50メートル。推奨射程距離は同単位で20程度。

 9ミリパラペラム弾は弾速が早いため弾はほぼ貫通。急所を狙わない限り殺傷能力はかなり低い。しかし遠目で見た限り侵入者達は全員防弾チョッキもといボディアーマーでディフェンス能力値を上げていた。

 侵入者はカフェ店員達と銃撃戦を交わしながらキョロキョロと何かを探すような素振りを見せて

 そして身を隠せそうなこの倒木が目についたのか小走りで森の丘を駈け上がってくる。

「気付かれましたかねぇ。」

 体の中を恐怖という名の虫がザワザワと這い回る。それでも背後のジジさんの声は、今までとまったく変わらないトーンのものだったから

 その異様性が現実感を薄めるフィルターとなってくれて、緊張は耐久の限度をなんとか越えずに持ちこたえていた。

「五条君、アリカ君の予備の耳栓をもらってはどうかな。9ミリはそう音も大きくないが……あのお客さんの奏でる破裂音は少々耳に応えるんじゃないかねぇ。」

 ジジさんの提案にアリカは恐らくはジジさんのために持っていたものだろう、耳栓をポーチから取り出して片手で構えを取ったままの俺に渡してくれた。

 空いた左手で耳栓を詰めるのに苦戦をしているとアリカの小さな手がクッションを詰めるのを手伝ってくれる。


「……ありがとう……」


 そう告げると、アリカはニッコリと柔らかな笑みを浮かべて、小さな手のひらを励ますように俺の腕に当ててからジジさんの車椅子の横へと戻って行った。まったく幼女のくせに大した余裕である。こんな頼りの無いディフェンスであっても、多少の安心感は得られたのだろうか。

 俺は再び穴の方へ向き返って気持ちを入れ替えるように肩をいからせると大きく深呼吸をする。

 ……が、ようやく押さえ込みかけた心を乱すかのように、敵は今までとは違う不規則な動きを見せ始める。右へ左へと草木の陰を伝い距離を詰める歩兵戦術。倒木の裏に人がいることを想定し警戒している動きだった。

 侵入者までの距離はおよそ100メートル。俺たちはすでに相手の凶弾から逃れるのが難しい位置に置かれていた。


「……クソッ……」


 いまだターゲットはハンドガンの有効射程50メートルの域にさえ入って来ない。

 このままだと俺が一度ヘタを踏んだ時点で易々とアリカ達の元へ侵入を許してしまうのだが

 この銃の装弾数は9発。素人にはあまりにも頼りのない数字だった。

 いっそ倒木から飛び出して別の場所へ誘い込んだ方が良いのかもしれない。例え逃げきれる可能性が限りなく0に近いものだとしても。

 額から頬へと、生ぬるい汗が伝う。

 (……それとも……。)

 侵入者の足元に合わせた照準を、おもむろに頭部へと移動する。


「……………」


 これが一番確実な方法だった。

 頭部に全弾撃ち込めば、必ず相手の動きは止められる。

 プロとアマの能力の差を打開する方法は今のところそれしか思いつかなかった。…だけど…。

 これは「ゲームの中ならば有効」な選択肢である。現実世界でこの選択肢を選ぶということは、

 目の前の侵入者と一緒に、今まで築き上げてきた俺と言う人格も息絶えることを意味するんじゃないだろうかと思えた。

 進入者が射程圏内50メートルに到達する。弾数9発。50メートルの距離では………まだ撃てない……。

 射程距離40。……30。……25。

 相手もこちらの気配に気付いてかライフルを構える体勢に入った。決断が。追いつかない。

 凝視する視線の先が霞んで、照準がグラグラと揺らいでいる。

「五条君」

 ジジさんが促すように鋭い声を刺し込んで来て

 腕の筋肉がピクピクと跳ね上がり、トリガーに掛けた指に力が入る―――

「撃て――――!!!」

 獣の如き老将の咆哮が揺れ動く理性を吹き飛ばし


「うぁああああああああ―――!!」


 自棄に満ちた俺の叫びさえかき消して、轟く3発の銃声が森を駆け抜ける。

 飛び立つ鳥たちと舞い踊る木の葉のシャワー。

 ―――反射光を閃かせ宙に舞う9ミリハンドガン。

 体躯の外面を削るかのように打ち抜かれた進入者の手足。

 まるでスローモーションのようだった。

 地面の土に俺のハンドガンが落ちるのと同時に、背後の木に吊り下がっていた蔓がロープ代わりとなって

 上で援護射撃を行った央間が数秒と間を空けずに滑り降りてくる。肩にはストラップを着けたM4アサルトカービンが背負われていた。


「なんで・・・・・・」


 強く握りしめていた銃身がライフル弾に弾かれたために、手のひらがまだジンジンと痺れていた。

 央間は乱れた長めの前髪の隙間から俺に視線を投げかけ、責めるでもなく感情の読めない瞳で逆に質問を返してきた。

「……脳でもぶち抜いて殺す気だったのか?」

 彼女は細い指先で銃を模して、人差し指を自分のこめかみに押し付けると小さく弾いて首を傾げた。


「……お……お前だって医者のくせに人なんか撃って……!!あんなこと許されると思ってんのか・・・・・・!?」


 俺が震える手で地面の血だまりに突っ伏し呻いている侵入者を指差すと、央間は涼しい顔でM4を構え直し

 援軍に気付いてこちらへ一斉に向かって来ていた侵入者達の手足を、少しの躊躇いもなく端から撃ち始めた。


「ああああああ・・・・・・!!」


「心配するな。治すから」

 どう考えても心配しないほうが異常な光景である。

 央間はセミオートモードで簡単な流れ作業のように一人一人の進行を確実に止めていく。こちらに向かう侵入者の数は 残り3人。

 と、そこで頭上からまた聞き覚えのある男の声が降ってくる。

「傷病者9名。目の前のあいつらを合わせると12名。後方にもう人影はない。あっちのスナイパーは先に潰しておいたぞ」

 腰を抜かした俺の背後の樹上からグスタヴィがスナイパーライフルを片手に蔦を滑り降り、硬そうなタクティカルブーツで地面の土を周囲に削ぎ飛ばしつつ央間に戦況を報告する。

 央間は相棒と視線すら合わせずに、射撃を続けながら至極事務的な口調で指示を飛ばした。

「リーダー格の男に遠射。右前腕部・貫通銃創、腕とう骨筋ワントウコツキン損傷。全治約5ヶ月。

左大腿部〈ヒダリダイタイブ〉・貫通銃創、腸けい靱帯断列〈ジンタイダンレツ〉。全治約9ヶ月だ」

「了解。ストレッチャー出してくれ。」

 グスタヴィが胸元のスイッチマイクに呼びかけると、倒木の左側の今まで風景だと思っていた場所が機械音を立てて正方形に開いて

 中から足を折り畳まれたストレッチャーが押し出されてくる。

 グスタヴィはそれを抱えるとまだ戦闘の続く森の丘を滑るように下って行く。そしてまずは倒れたまま凶悪な顔つきで唸っているリーダー格の男の側に駆け寄り即座に応急処置を開始した。

 央間はスイッチマイクでグスタヴィに報告を続ける。

「下っ端は腕だけ潰して足は深めの擦過傷〈サッカショウ〉で動きを落とす。残りはCQCで片付ければ問題ないだろう。よろしく。」

 下でリーダー格を眠らせていたグスタヴィはあからさまに異議ありげな表情を浮かべるが央間は無視して最後の侵入者の腕を弾丸で掠めると、構えていたM4を後ろ腰の官給ベルトに差し込んだCQCナイフに持ち換えて俺に視線を投げてくる。

「倒れた奴が襲ってきたらソイツで応戦できるな、五条。頭と動脈は狙うなよ」

 そう言って小さな顎で地面に転がるハンドガンを指し示し、迷いのない迅速な動きで白衣が汚れるのも厭わずに銃撃を続ける敵の死角となりそうな草陰に転がり込んで行った。

「はっはっは。相変わらず央間君は元気が良いねぇー。」

 ジジさんは場違いなほど和やかな声で笑っている。

 見るとその隣でアリカも安心したように顔いっぱいに笑みを湛えながら胸元に指を組んでうんうんと頷いていた。


「みんな……」


 この場所では、明らかに俺の方が場違いな人間だった。

 ペタリとへたり込んでいた重い腰を力の抜けた手で何とか押し上げて地面に転がったままのハンドガンを拾いに行くと、ハンドガンはその上部に僅かな毛羽立ちを見せるのみで、とてもライフルに弾かれたようには見えなかった。

 手のひらに沁み込んでくる冷たい金属の感触と、この仮想空間と見紛う戦場のギャップをなかなか噛み合わせることができない。

 視線を央間の方に戻すと進入者達はすでに地面に伸されていて、童顔の女医はCQCナイフからハンカチで血を拭い取るホラー映画の悪役のような仕草に興じていた。

 そして呆然と立ち尽くす俺の視線に気付いた彼女は下を向いて呆れたように小さく首を振ると、再びこちらに目を上げつつストレッチャーの配給口を指し示して患者のはずの俺に搬送の協力を要請したのだった。



                   *



 あれからアリカ達とは別れ、俺は数時間グスタヴィの診察室で待たされていた。

 央間の部屋との違いは簡易ベットの仕切カーテンが淡い緑色で、その他ソファや備品の色にポツポツと小さな違いがあると言うことくらいだろうか。

 入口から入ってすぐの診察スペースの奥の間は14畳程度のリビングスペースになっている。

 木製の足付きアームレスソファに腰掛けて夕食を済ませると、俺はまだ暖かい紅茶の入ったシンプルなマグカップを両手に包み込み、硬めのソファの背もたれにだらしなくもたれかかっていた。

 すると入口のスライドドアが滑る音がして間仕切りの擦りガラスの扉から央間が息をついて入って来る。

 彼女はそのままガラス戸横の壁に背を預けると、琥珀色のビー玉のようなオレンジがかった薄茶色の瞳を、まっすぐと俺に向け目を細める。

「どこまで聞き出したんだ?」

 アリカ達から色々と聞き出そうとしていたことは、どうやらすでに耳に入っているようで。


「・・・・・・そんなに根ほり葉ほり聞いた訳じゃないよ。……各棟の名称とか……。この前廊下で騒いでた人はどんな人だったのかとか、そんなこと位で……。」


 俺は強い視線から逃げるように紅茶に目を落とすと、もごもごとはっきりしない口調で質問に答えた。

 無断で抜け出したことを責められるのが怖いという気持ちもあったけど、そもそもからして女性と目を合わせ続けることがあまり得意ではなかったと言うのもある。


「そんなことよりさ……。『バスチオン』って一体何なんだよ。」


 央間はもう一つ小さなため息をつく。

「お前が聞いてどうするんだ」

 後ろ頭を色気なくポリポリと掻く少女医を脇目に、俺は手にしたカップをやや乱暴に机に置き戻す。


「無防備なアリカ達をこんなおかしな状況から守ろうとする事くらいはできるさ。お前だって解るだろ。俺がそんなことを聞きたくなるぐらい自分達のしてることが非常識だってことくらいはさ……!」


 央間は口を引き結んだまま笑いとも怒りともとれぬような微妙な表情を浮かべると、少しの間を置いて、壁に逸らした横顔にどこか寂しそうな色を滲ませたように見えた。

 そしてガラス戸の横にある小さな冷蔵庫から、250ミリリットルの缶のタピオカミルクを取り出すと、プルタブを引いてその中身を一気に飲み干していく。

 央間はポケットから取り出したミニタオルで白髭のついた口を拭いながら、空になった缶を乱暴にゴミ箱に投げ入れ、あからさまにイラつきを抑えた声で言葉を返してくる。

「余計なことだ。お前が弱者に代わって罪を背負えるとは思えない。何よりここで人を殺されては迷惑なんだ」


「罪も何も正当防衛でしょーが!つーかあんたつい最近俺の心臓止めたばっかじゃん!!どー考えてもそっちの方が迷惑だっつの!」


「失敬な!心臓を止めても死亡と診断されなければ殺しにはならない!」

 すかさずツッコム俺に央間が屁理屈で打ち返す。しかしこの屁理屈が世界規模で大顰蹙をくらうレベルなのがミソなのだ。

 どーかしてる。今更だけどこの人のモラリズムはどうかしすぎているよ。

 思わず頭を抱えてソファに突っ伏す俺に少し間を置いてトーンを下げた央間の囁くような声が降ってくる。

「あまり……」

 ソファーから顔をずらして央間を覗き見てみれば、央間は頭痛を抑え込むような素振りで顔を覆っていてその表情を窺い知ることはできない。

「……あまり勝手に動くな山井……。お前のためだ……」

 初めて呼ばれた本名に、トクリと胸の奥で何かが跳ね上がる。

 今まではどこか、五条と間違ってしまったから仕方なく連れ込まれていると言う感が拭えなかったけれど、それにしては央間の態度にはたびたび理由の見えぬ違和感を感じることが多かった。

 央間が、俺に対しては「身内」に見せるような態度を取っているように思えたのだ。俺の知る限り、彼女がその態度を見せているのは、グスタヴィとアリカだけのように思われて。

 今度は胸の中にズルズルと渦巻くような何かが這い回り始める。これは。異性に感じる感情とは何か別の他の次元に在る感情のように思われた。

 ここに来てから似たような感情が何度も胸を行き過ぎては掻き消えたような気がしたのだけど、ただそれが何なのか俺にはどうにも掴みかねていた。

 その時、入口のドアが静かに開く音がして、擦りガラスの外にグスタヴィの大きな輪郭がうっすらと浮かび上がった。

「怖い思いをさせて悪かったな。今日はゆっくり休んでくれ」

 調子を取り戻した央間の声に顔を上げると、彼女はリビングテーブルから俺の食べ終えた夕食のトレイを拾い上げ、ガラス戸を引き開けてグスタヴィの元へと向かって行く。

 二人はしばらくここからは聞き取れないほどの小声でのやりとりを交わした後、入口ドアに鍵を閉めて診察室を後にした。

 肘を支えにソファに転がるグラビア嬢のポーズで一人残された俺は


「……ということは……」


 ふと我に返りあることに気がついた。

 ぐるりと一周。部屋の中を見回して。


「今日はこの部屋でグスタヴィと寝るってことかな・・・・・・」


 現金なことに、今朝までの男臭さのない爽やかな央間の診察室に帰れないことを、心のどこかで落胆していた。



                   *



 淡いピンクの間仕切りカーテンはすべてが引き開けられ、所々のフックが壊れた状態で垂れ下がっていた。

 全開のままストッパーを下ろした入り口ドアから、央間とグスタヴィが入ってくる。

「盗聴機は?」

 床に落ちた書類を拾い上げると、周囲の様子を確認しつつ央間が問いかける。

「コンセントと本棚とベッドの裏の3つだ。今時実機での盗聴とはずいぶんと古風な客だな……。毒物なんかも仕掛けられた痕跡はなさそうだ。盗難の有無は……自分で確認しろ」

 グスタヴィは胸ポケットから砕けた盗聴機の欠片を入れたビニールパックを取り出すと書類の散らばったデスクの上に置いた。

「ばかなミスをした」

 央間は片手でサイドに寄せた前髪をかきあげるようにして頭を抱える。

「疲れてるんじゃないのか?お前らしくもない。」

 央間は山井と言う珍客を囲っていた簡易ベットの周辺をグルリと見渡すと、息をついてポスリとシーツの上に腰を下ろした。

 グスタヴィはきびきびとデスクに散乱した書類を名称別のフォルダにしまい込む作業に取り掛かっている。

「無茶をしてると言うことは解ってる。……私と山井治の命は平等ではないと言うことも……解ってるつもりではいる」

「卑屈を抱え込んだところでヘソが曲がるだけだぞ」

「うるさいなぁ……」

 央間はいじけた子供のように下を向いて口をとがらせる。

「そういちいちいじけるもんじゃない。『あいつら』は実際お前の見立て通りこの部屋にアタリを付けて行動を起こしてきた。大いに残念な事だが、これでお前の言うことにも一理あったことが証明されたな」

 少女は少し口を緩めると足をブラブラと前後に揺らした。

「エージェント?」

「いや。とりあえずは『リスト対象者』狙いのハンターだろう。……しかしお前が山井を囲い込んだのはまずかったな……」

 央間が天井を見上げると、蛍光灯が一つ点滅していた。

 いつからチラついていたのだろう。チカチカと震えるように落ち着かない蛍光灯の光は、ズバズバとモノを言ってくるようでいてその実

 電気が切れかけていることすらも言い出せなさそうな頼りない少年の姿に重なった。

 央間は穏やかな眼差しでその様を眺める。

「なんだ、お前のとこはまだLEDに換えてなかったのか。」

「こっちの明かりの方が好きなんだ」

 グスタヴィが電気のスイッチを落とすと、央間はベットの上に立ち上がってくたびれた蛍光灯を回収した。

 さて換えの在庫はどこにあったかと少女が思案していると、背中をコツリと何かでつつかれて肩越しに後ろを振り返る。

 グスタヴィはすでに換えの蛍光灯を用意して差し出していた。

「片が付いたら山井には全て忘れて出ていってもらう。それでいいな」

 堅いその声は問いかけているわけではない。すでに彼の心の中では決まっていることだった。

「わかった……」

 央間がベットの下のインナーシューズに足を通して、出口へと歩きだそうと腰を上げたその刹那、

 視界の隅に普段はその場所では目にすることのないものが転がっているのが見えた。

 長いカーテンの下の10センチほどの隙間に覗いた、バスチオン支給のセラミック製ボールペン。

 央間の目は自然と自らの白衣の胸ポケットへと降りて行き、しっかりとしがみついた見慣れたボールペンと目が合うと今度は傍らの相棒に声をかける。

「グスタヴィ。ボールペン落としたか?」

「いや?」

 部屋の奥から返ってくる返事に床へと延ばしかけた手が一瞬ピタリと止まって、央間は白衣のポケットからハンカチを取り出すと、気を取り直して床に転がるボールペンをつまみ上げる。

 それは自分の持つものと同じ支給品のボールペンに間違いはなかった。

 ―――ただ。 

「セキュリティ」

 おもむろに央間は胸元のスイッチマイクを入れてオペレーターに語りかける。

「至急施設内すべての医師、看護師の点呼を取ってくれ」

 ボールペンのそのセラミック製のフレームはまるで火で溶かされでもしたかのようにぐんにゃりと波型に歪んでいて

 そこから漂う僅かな薬品臭が、少女の鼻腔を撫で付けて、哂〈ワラ〉ったような気がした。



                   *



 央間達がグスタヴィの診察室を出て1時間程立った頃だろうか。廊下の方から鳥の声にも似た甲高い悲鳴が聞こえてきた。

 いや、鳥ではなく子供の声だ。この施設に子供がそう多くいるとは思えなかった。

 遊びで騒いでいるとは思えない程に生々しすぎる叫び。

 俺はソファから立ち上がると、アリカに返し損ねたままのハンドガンを握りしめて入り口のドアへと向かって行く。

 バスチオンの廊下は施設支給の患者用上履きを履いていても医師達が使うインナーシューズを履いていたとしても歩く時には靴底が軽く貼り付くような音がする材質になっていた。

 廊下からは誰かが近づいてくるような気配は感じられない。

 外の様子が気になるがドアにはこちらからは解除できない鍵が掛けられている。

 俺自身の安全は守られているものの、外にいる子供に何かあったとしたのなら、いまさら俺が出て行った所でもうすでに手遅れかもしれない。

 そんなことをグルグルと考えているとまた喉の辺りがギュッと締め付けられて、銃を握る手が僅かに震え出した。

 と、ふと。眼下で小さなモーター音とカ…チンという金具の動くような音が聞こえてきて、反射的に扉から一歩退いてしまう。

 目の前にある、この扉の鍵が開いたような音だった。

 恐る恐る扉のバーに手を掛けてみると、自閉式のスライドドアは何の抵抗も無くゆらりと揺れ動くとすぐに元の位置に戻っていった。


「ここの鍵はテレパシーかなんかで開く仕様なの……?」


 思わず疑問が口をついてしまう。

 開けたのは、恐らく央間ではない。ドアの外には一切の気配はなかったのだ。

 背中には一気に、じっとりとした嫌な汗が噴き出してくる。

 ドアの密閉が解除されたからか廊下の少し離れた場所からは、小さな女の子がすすり泣く声が聞こえてくる。


「アリカか……!」


 俺は急ぎハンドガンのハンマーを起こすとドアの横壁に掛けられたB4サイズくらいの額縁を外し、左手の人差し指と親指に垂らすようにして構えに入りつつ素早く15センチ程開けたドアの隙間にその額縁をめ一杯の力を込めて放り投げる。

 額縁は廊下の床に打ち付けられ、派手な音を響かせてプラスチック製のフレームを方々へと撒き散らした。

 だが、それ以外の物音は一切聞こえてはこない。


「アリカ!!」


 廊下に誰もいないことを確認すると俺は扉を乱暴に引き開けてすぐに泣き声のする方へ駆けだして行く。

「うっ……うぅぅ……グスッ……」

 アリカがいたのは連絡通路の先にある長期入院棟の給湯室の前だった。

 明かりのついていない給湯室はスライドドアを自動ストッパーで固定されたまま全開になっていて、アリカは暗い室内を前に腰を抜かしたままグスグスとしゃっくりを上げて泣いていた。

 周囲には思わず顔を歪めてしまうような生臭い悪臭が広がっていて、ここには長くいないほうが良いという警鐘が全身からジリジリと煽るように発せられていた。


「……何があった……?」


 アリカは涙にまみれた顔に鼻水を垂れ流して、俺の方を見上げると部屋の中を指で差し示しまた膝に顔を埋めて泣き出してしまう。

 その指に導かれるように視線が暗い給湯室の中へと流れて行って


「うっ・・・・・・!!」


 廊下の明かりが差し込んだ部屋のグラデーションの中に、スラリと細く長い足が浮かび上がってくる。

 白い脚に乱雑に塗りつけられた赤い筋は、床に繋がって毒々しい泉のように広がり艶めいていた。


「……死んでる……のか……?」


 アリカは顔を両手のひらで覆って、首を左右にブンブンと振った。

 俺は給湯室にもう一歩だけ足を踏み出して暗い室内を覗き込む。

 倒れていたのはまだ年若い女性の看護師のようだった。

 その両太股には、大きな血管を避けるように撃ち込まれた真っ赤に盛り上がる生々しい卵形の銃痕がくっきりと残っていて

 セパレートタイプの白い看護師の制服には、ベッタリとペンキで書き殴った文字のような跡が走っていた。

 その文字に何か言い知れぬ不安のようなざわめきを感じ取り、更にもう少しだけ部屋の入口に足を押し進める。が。

 そこに書かれたメッセージを読み取った瞬間に、鳥肌が一気に全身を駆け登り、俺は倒れこむようにして数歩後方まで後ずさると周囲を見回し銃を胸元まで上げて身構えてしまった。

 器官が締め付けられ、息をすることを一瞬忘れたかのようだった。


「これは…………」


 一分ほどしてようやく震える体から、掠れた声が絞り出される。

 至近距離で打ち抜かれた二の腕の端と両手首。急所を避けた胸部と額のど真ん中。喉笛のあたりは潰されて紫の内出血が広がっていた。

 そして何より被害者の体にナイフで抉るように刻まれた大きなローマ数字の血のラインは。


『 Ⅲ 』


 オーバーキルに転がる凄惨な死体と、誇らしげに掲げられる悪趣味なカウント。

 こんな。こんなやりかたを。俺は……俺達は、前にも見たことがあったはずだった。


「『エルフ……?』」


 まるで地面に吸い取られでもするかのように、全身から血の気が引いていく。

「おい!なんでお前がこんなとこに!!」

 サイドから珍しく声を荒げながら央間とグスタヴィが駆け寄ってくる。

「!」

 場を満たす血の臭いを嗅ぎ取った時点で二人は状況を即座に把握した。

「……アリカ……。怪我はないか……?」

 アリカは首を横に振りながら央間の腕にすがりついて、緊張の糸が切れたかのようにワアワアと腹の底から声を上げて泣き始める。

 声はフロア一帯に響き渡り、その騒ぎを聞きつけて研修医や看護士達も集まって来る。グスタヴィは渡り廊下の入口に立ち塞がると、彼らのそれ以上の進行を制止した。

 彼らは何事も問いかけることも無く、ただ泣き崩れるアリカを遠巻きに見守っている。

 今までは命の危険にさらされても、血塗れの進入者達を目の当たりにしても、子供には重すぎる役割を背負わされたとしても、不安な顔一つ見せることのなかったアリカが、大人ぶることを放棄して、人目をはばからずに泣いているのだ。

 俺よりも前からアリカを知る者達ならば、その涙が意味するものを察することは難しくは無いだろう。

 ならばこんなものは、見せる必要などないのだ。

 央間はアリカの頭を撫でながら、給湯室の死体の様子を見つめていた。

 少女医はさっきの侵入者との戦闘でも、見た事の無いほどの怒りをその眼に滲ませている。

 この二人にとっての被害者は、きっと近しい間柄だったのだろう。これが人、本来の反応なのだ。

 まだ小さい子供の体の中にこれだけの恐怖と悲しみをしまい込むことなんてできやしない。それは当然の話だ。

 そしてそれが解るからこそ、大人達はこんな環境を子供達に与えまいとできる限りの努力をする。普通であればそうするはずなのだ。

 でもここではそんな常識が通用しない。

「やはり麻酔で捕捉されたようだな。ずいぶんと器用な侵入者だ」

 央間は嫌味を帯びた口調でそう呟くと凶悪で意味深な目つきをグスタヴィに投げつける。

 グスタヴィはただその言葉に大きなため息を落として答えるだけだった。

 アリカは何事かに気付いたように、目をむいて央間を見上げている。

 俺は蚊帳の外で一人現状を模索し続けていた。

 そもそも。これが俺の考えるとおり本当に『エルフ』のカウントであったとしたのなら、恐らくこの事件はすでに3度は起こっているはずなのだ。

 それなのに、アリカ達はこんな苦境に立たされながらもあえて地上に出る道を選ばずにここに留まっているということになる。

 央間はともかくとしてアリカは、現状を甘んじて受け入れられているようにはとても見えなかった。

 それでは何故彼女達は地上に逃げると言う選択をしなかったのか。

 または、なぜここまで彼女達の保護者然として振舞うグスタヴィが、少女らが血生臭い環境に置かれ続けることを黙認しているのか。

 それが俺にはどうにも解せなかった。

「……お前も大分顔色が悪いな五条。アリカを連れてさっきの部屋に戻れ。」

 グスタヴィは集まったスタッフ達を散開させると、俺に声を投げて央間には目で合図を送る。

 そして廊下の壁面収納からジュラルミンケースを取り出すと給湯室の前で広げて検視の準備を始めているようだった。

 グスタヴィは悪い奴には見えなかった。だとしたら彼女達がここに残っていることには、きっと何らかの理由があるのだ。

 地上に出ることが彼女達にとっての救いに成り得ないとすれば、その原因は一体何なのか?

 警察も家族にも頼れない何か特別な理由があるとするならば、それは彼女達の特殊な立位置にあるとしか思えなかった。

 治外法権に生きる以上、バスチオン内部の人間には地上の世界での特殊な制約が課されているのではないか。

 俺は汗ばんだ顔でグルリと施設内を見渡して他の職員達の顔を思い出していた。

 皆、一様にして堅い表情で押し黙り、この状況の異常性を指摘するものなど誰一人いなかった。

 なぜなら彼らは知っているからだろう。この状況がバスチオンと言う施設においてはごく日常のものであるのだということを。 

 視線を少女達に戻すと、アリカは央間に支えられながら立ち上がりよろよろとこっちに向かって歩いてきていた。

「五条」

 央間の呼びかけに、俺は推測モードからハッと我に返る。

「部屋を出るなと言ったはずだ。お前には学習能力というものがないのか?」


「だって……アリカが……」


 言うとアリカは央間の白衣を弱弱しく握って、小さく首を横に振り俺を庇う素振りを見せてくれる。

 央間はうんざりとした顔で息をつくと、目を逸らし一言、本当に小さな声でツンデレな返答を返してくる。

「……お前がそんな事をしなくても……ここの人間はそれぞれでなんとかできる……けど……まぁ。―――今回は……ありがとうな……」

 こんな状況にも関わらず、央間の言葉に少しだけ口元が笑みに緩んだ。

 央間にしろ、アリカにしろ。ここの人間はきっともしも自分が危機に陥ったとしても、俺に助けを求めることなんてしないんだろう。

 実際ただのゲーマー風情が銃を握ったところでちゃんと的に当たるかどうかすら解らないのだからそれも無理は無い話なのだが。

―――それでも彼女達の力になりたいという気持ち以前に、俺には自分自身についてどうにも引っかかっていることがあったのだ。

 俺は目の前に凄惨な死体を見つけてしまったということよりも、アリカの恐怖に怯える泣き声の方により強く動揺を感じていた気がしていた。

 それは混乱というよりは、―――むしろ恐怖に近い感情で。

 幼い子供が怖がって泣く姿を見ると、いつもなぜだか上半身に大量の小さな虫が激しく這い回るような、吐き出しそうな不快感に襲われることが過去にも何度かあった。

「どうかしたのか?」

 かけられる央間の声も洞窟の中の木霊のように響いてぼやけてしまう。

 なぜこんなことが起こるのか、自分自身でもその理由が解らなかった。

 バスチオンに来てからというもの、それが顕著に症状として現れているように思えていて。

 得体の知れない何かが、俺の中に住み着いてるとでも言うのだろうか。

「……とりあえず。お前はアリカをグスタヴィの診察室に連れてってくれ。場所が解らなければアリカが知っている」

 答えはまだ見つけられそうにもなかった。

 俺はアリカの手を取ると、トボトボとグスタヴィの診察室のある医療棟の方へ戻っていく。

「鍵はちゃんと閉めろよ。」

 医療用のゴム手袋を装着しながら、グスタヴィは労うように俺達の背中に声を投げかけてくれる。

 連絡通路を渡り終えてふと央間達の方へ振り返ってみると

 央間は胸元のスイッチマイクをきつく握り締めながら、どこか上空を振り仰ぎ怒りに満ちた表情で何かを睨み付けていた。

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