カボチャの仮面@たかなし≠故障みそ
作者:たかなし≠故障みそ
ジャンル:ホラー
ハロウィン。
10月31日に毎年行われる、日本で言えばお盆のような行事。
子供達がお化けの格好をし、各家庭にお菓子を貰いに走り回っている光景は、なんとも微笑ましい。
……ここに、かぼちゃの被り物をした人がぽつり。
と、その人めがけて2人の小さな子供達が走ってきた。
「「お菓子くれなきゃ、悪戯するぞ!!」」
子供達は、無邪気に笑いながら、大きな声でこう言った。
「……そうかぁ……悪戯されちゃうのかぁ……
お菓子はないけど、代わりにもっといいものをあげるよ。」
かぼちゃの覆面はそう答えると、持っている袋の中から、自分の被っているものと同じものを、子供達へと差し出した。
「なにこれー?おもしろそう!!」
「なになにー?僕も被るー!!」
「さぁさぁ、何が見えるかな?」
子供達は大喜びでその被り物をつけた。
だが、その笑顔も、一瞬で凍りつくこととなる。
「……え?な、何これ……この人達、誰?」
「こ、こっちに来るよ……!」
先ほどまで何もなかったところを指差し、子供達は動揺し始めた。
「嫌だ……こっちに来ないで……!!」
しかし、周りは全く気づいていない。
「やめろ……
……う、うわぁぁぁぁぁーー!!!」
そして、子供達は深き闇へと吸い込まれて行った。悲痛な叫び声をあげて。
「僕は悪くないよ? ただ、あの子達にハロウィンの真実を見せてあげただけだもの。」
先ほどのかぼちゃの覆面は、独り言のようにこう呟いた。
「トリック・オア・トリート……
ふふっ、おもしろい。」
町の中へと消えて行く、かぼちゃの覆面。
かぼちゃには、こう掘ってあった。
「ジャック・オ・ランタン」と。
「ハロウィンは、稀に僕達みたいなのも混じっている。みなさん、十分注意して下さいねー。」