かぼちゃ頭の僕@羽浦 有紀
作者:羽浦 有希
ジャンル:詩
どうしてひとは憎しみあうの?
どうしてひとは妬みあうの?
どうしてひとは仲良く出来ないの?
どうしてひとは――。
かぼちゃ頭に生まれた僕は、いつも人々を笑わせて来た。
驚かせたり、幸せにさせたり、時には泣かせちゃった時もあるけれど。
『トリック』って言葉、僕は本当は好きじゃないんだ。
人を騙したり、誤魔化したり、企んだりするっていう意味もあるから。
僕はただ、楽しく遊びたかった。
みんなと笑って居たかった。
ただそれだけなのに。
がぼちゃ頭に生まれた僕は、いつも人々を笑わせてきた。
でも僕は心の中ではいつも泣いていた。
『トリート』って言葉も僕は好きじゃない。
おもてなしをする友達も、特別な楽しみも、僕には無縁のものだから。
でもね、君は「ちがうよ」って言ってくれたんだ。
『Trick with Treat』。
『悪戯』と『もてなし』をいっぺんにやっちゃおうって。
みんなをあっと驚かせようって。
そう満面の笑みで言ってくれたんだ。
かぼちゃ頭に生まれた僕は、このとき初めて心から笑った。
お腹を抱えて笑ったよ。
君も一緒に笑ってくれた。
さあ、今日はハロウィンだ。
主人公は君達だ。
僕はかぼちゃ頭を誇りに思う。
君達に、笑顔を与えられて――。