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Run away! 2

お礼

作者: 貴幸

いらっしゃい、ご飯にする?お風呂にする?それともわ、た、し?を友達にやると真顔で「今すぐドブに入ってこい」と言われました。












「あ、おかえり。」



家に帰ると雪ちゃんが迎えた。



「…そのあたかも居て同然のようにおかえりっていうのは何ですか。」



「新婚さんみたいにやりたかった」



「…た、ただいまっ」



照れる。



「ただいまのキスは?」



「いってきますのキスならわかるけどそれはわからない!!!」



「じゃあ御飯にする?お風呂にする?それとも「お腹空きました。」



雪ちゃんの様子がおかしい。

今までこんなサービスなかったハズだ。

なんなんだ、一体何を求めているんだ!?

身体か!?身体なのか!?



「…飽きた」



「え?」



振り向くと耳を真っ赤にしながらうずくまっていた。



「え、雪ちゃんどうしたの?えっ、」



「恥ずかしい…」



今頃になって恥ずかしくなってきたらしい。



うずくまってる雪ちゃんの前にいき、顎をあげ舌を入れた。



「んっ…」



「ただいまのちゅー。」



「なっ…」



戸惑う姿が可愛い。



「もう一回する?」



「え、いや、あの…」



もう一度舌を入れる。



「時人…どうしたの…」



「要望にこたえた。」



「こたえるの遅い…」



「雪ちゃんもう遅い時間だよ、どうしたの?」



本当なら今日は遊びにくる予定はなかったハズだ。

明日は遊びにくる予定はあったけど。



「泊まりにきた。」



「心の準備できてないよ。」



「知るか。」



パーカーとワイシャツを脱ぎ、新しいパーカーに着替える。



「時人の着替えシーンは期待してなかったわ。」



「新婦さん脱いだ服をたたんでくださいな。」



「…何顔赤くしてんの。」



ばれた。

こうゆうことを言うのは苦手なんだ。



「相変わらず細いなぁ、肋骨浮き出てるよ。」



そう言いながら触ってくる。



「いっ…こ、こちょばしいからやめてっ…」



「皮め…」



恍惚の笑みを浮かべ服をたたみ始めた。

なんなんだ…そして服をたたみ始めてる。

新婦さんだ…

恥ずかしい。



「風呂沸かしておいたよ。」



あれ、今服着替えた意味がなくなる、



「雪ちゃん先に入りなよ。」



「良いのー?」



「僕が入った後は嫌でしょ。」



「嫌じゃなーいよ。」



後ろから抱きしめてきた。

胸があたってる。



「わ、わかったから…でも先に入って欲しいし、」



「わかりやすいなぁ。」



何も言い返せない。

別に風呂ドッキリなんて狙ってないよ!!!



「じゃあ入ってくる」



「ゆっくりどうぞ…」



あれ、石鹸とか切らしてないかな。

風呂に入る為に戸を開ける音が聞こえた。

…今行くのはまずいな。



「いや、でもなかったら身体とかあらえないし…」



戸の向こうからなら大丈夫だろう。

入浴剤の香りのする戸の前にきた。



「雪ちゃん、石鹸とかある?」



「えっ!?時人!?や、入ってこないで!」



ザバッという音と共に風呂内で響く声が聞こえる。



「は、入らないからここから話しかけてるんでしょ…石鹸とかなかったら困るかなって思って。」



「あ、本当だ石鹸ない。」



「新しいの渡すから手だけだして。」



「うん。」



少し戸があいたと思うと濡れた手がでてきた。

熱で少し赤みがかっている。

石鹸をくれ、という手を意地悪半分に握った。



「わっ!えっ、あの…」



「石鹸だよ」



「石鹸は動かないから!」



慌ててる声が聞こえる。

入るわけ無いのに。

あまり外にでていると寒いと思った僕は素直に手に石鹸をのせた。



「じゃ、ごゆっくり。」



「はーい。」



戸を閉めリビングに戻った。



「どんだけ信用してるんだよ…」



男の家の風呂なんて普通入らないだろ…

あまりに純粋すぎて襲う気にもならない。







「時人さん次どうぞ。」



「あ、はい。」



髪が濡れて真っ直ぐだ。

なんだかいつもより大人びて見える。



「真っ直ぐな髪型も可愛いね。」



「そ、そう…?」



少し嬉しそうにしている表情が可愛い。



「普段も可愛いけど。」



「…はやく入ってきたら。」



「うん。」



流された。

僕もかっこいいなんて言われたいな。

もやししか言われない。









風呂にはいるが、雪ちゃんが入った後だと思うと緊張する。



「はぁ〜…」



「時人さん背中ながしましょうか」



ガラッと戸があき雪ちゃんが姿を表した。

反射的に肩まで湯につかる。



「えぇっ!?えっ!?」



「何はずかしがってんの」



「いやいや!!背中ながしましょうかじゃないから!」



「うるさいな」



風呂内に入ると真顔で桶を手にとった。

た、叩かれそうだ。



「洗ってあげてもいいよ」



普通展開的に逆だろ。



「いや、いろいろと見られるの恥ずかしいし…」



「お前のなんか見てもなんとも思わん。」



真顔で言われると傷つく。



「もう身体洗ってるから!」



ナイスな言い訳を思いついた。



「じゃあ頭洗う。」



そうきたか〜…

でも頭ならまだ良いかもしれない。



「じゃ、じゃあ…」



湯につかったまま頭を下げる。



「でもなんでいきなりこんな。」



「いつも泊めさせてもらってるから、少しのお礼。」



髪をわしゃわしゃと洗っていく。

気持ちいい。



「そ、そうなんだ。」



僕もご飯作ってくれたりしてもらってるのに。



「じゃあ今度は僕が頭洗ってあげる。」



「そ、それはいい。」



頭を洗う手に力が入る。



「嘘だよ…」



まぁ、今じゃなくてもいいか。



「もう一風呂はいる気は?」



「ないね。」



洗い終わるとすぐに風呂からでて戸をしめられた。



「…今度の時、ね。」



「えっ!?う、うん!!うん!!」



こんなに近づいてもいいんだろうか。

嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいだ。



「付き合ってないのにな…」



付き合うのが怖い、なんて言えない。








「いい湯加減でした〜」



風呂をでてリビングにきたが、雪が見当たらない。



「トイレかな?」



ふと下をみるとこたつに入り寝ていた。

危なく踏むところだった。



「おーい。」



爆睡みたいだ。

起こさないよう隣に入り一緒に寝る。



「可愛い。」



君の寝顔が好き。

髪を耳にかけようとしたところで目を覚ました。



「おはよう。」



「腕枕…」



寝ぼけているのか、半目で腕枕を要求される。



「こう?」



腕を出すと抱きつき腕に頭をのせてきた。



「お、おう…」



そしてまた寝た。



「雪ちゃーん…」



起きないようにしながらそっとおでこに口をあてる。

自分でやって起きながら恥ずかしい。

雪ちゃんは起きなさそうだ。

少しこの後の時間に期待してたのだが。



「まぁ、明日の朝でも良いしね。」









いつもご飯を作ってくれてるお礼にでも。

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