表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/33

台風

言い訳はしません。すみません。

ゆらゆらゆれてる。

ううん。ゆらされてる。


……っく、ひっ、頼む…


だぁれ?

だれかがないてる。

そのだれかがわたしにはわからない。


…違うんだ、なんでこんな、頼む、もどってきてくれ……


とてもとてもかなしいこえ。

なぐさめようとしてるのに、からだがうごかないの。

でも、こんなにかなしそうなのに、

なんで

なんで

なんでわたしは


こんなにむきしつなの―――――







**********


目が覚める。

何か夢を見ていた気がするけど、内容はさっぱりだ。

それよりも、寝汗が半端ない!

しかも体が重くて気分も悪い。

なんだってこんな日に……。


今日は静流先輩と約束したデート(ダブルだけど)の日。

わたしの大好きな静流先輩と付き合うってんならちゃんと見定めないとねっ!って気合いれようと思ったのに、なんか締まらない。

よしっ!ここは、ドラ〇もんのしずかちゃんよろしく、ひとっ風呂あびてきますかねっ!


シャワーを浴びて、準備もバッチリして、よっしゃぁー!って家を出たのに、頭は靄がかかったみたいだ。なんなんだまじで…昨日までは全然なんともなかったのになぁ……。


「舞?」

「えっ?」

「おはよう。ボーッとしてたけど大丈夫?体調悪いなら…」

「いいえ!大丈夫です!ちょっと寝不足でまだ起きてないみたいですね!」


ハハハって笑って誤魔化しといた。

今日の静流先輩は、いつもより乙女度が上がっててめちゃ可愛かった。

萌え萌えしたい。

そして彼氏許すまじ。


「それより、彼氏さんは?副会長もいないですし…」

「透流は迎えに行ってる。彼も舞と同じく方向音痴だからさ。」


おっつ。親近感グンと増しましたな。


「あっ、来たよ。」


その声に振り向けば、副会長とそこそこイケメン(失礼。だって隣が美形さんですよ?フツーなら霞む)が歩いてきた。そーですかあなたが静流先輩の栄えある彼氏になったんですかそーですか。

名を名乗れぇぇぇ!


「初めまして、南海ゆうたです。」


あっ、ご丁寧にどうも。


「初めまして。静流先輩の後輩の咲倉舞です。」

「きみが噂の…」

「うわさ?」

「うん。しずからよく学校の話を聞いてて。とってもかわいらしくていい子が後輩にいるんだって自慢気に話してたから。」


静流先輩……

一生ついていきますっっ(泣)


「そ、そんなこと言わなくていいから!とにかく!みんな揃ったんだし、行こっか!」


照れてるんですねそーですね。

そんな先輩もかわいいっっ!


静流先輩が先に歩き出すと、自然と南海さんが隣に行く。その顔は嬉しそうで、本当に(悔しいけど)静流先輩が好きなんだなってわかってしまった。

梨子先輩がOK出すわけだな。

となると、わたしの隣には副会長が並ぶわけで。


「おはよう、舞。」

「おはようございます。」

「なんか顔色良くないけど、無理してない?」

「大丈夫です!まだ頭が起きてないだけですから。」

「そっか。ならいいけど。ところで花火大会、龍たちと会ったんだって?」

「はい。ご相伴にあずかりました!」


テヘヘと笑いながらその時のことを話す。


「いいなぁ。僕も行きたかったよ。」

「副会長たちは行けなかったんですね。」

「うん。僕たちは家族で里帰りしてたから。あっ、これお土産。」


ガラス細工の綺麗なストラップを貰ってしまった。

わたしは何もないのに…


「いいって。僕が舞にあげたかっただけだから。」

「じゃぁ今度どっか行ったらわたしも副会長に買ってきますね!」


しばらくは遠出しないけど、来週は美晴と海に行くからその時なんか買ってこようと思った。



4人で向かった先は、複合型アミューズメントパーク。

ちょっとしたアトラクションや遊べる場所もあるし、買い物も出来るから。

わたくし、絶叫系大っっ好きなのだよ!

でも静流先輩は苦手だから彼氏さんとお留守番。

ここの目玉のジェットコースターには副会長と乗った。すんごい楽しかった!


なのに、なのに、

途中から目の前がチカチカする。

頭ももしや痛い…?

でも、みんな楽しんでる。

きっとだいじょうぶ…


「舞!?」

「へっ?」


目が覚めた。

って今まで寝てた!?


「熱あるよ!どおりで朝から様子が変だと…。静流、南海さん、悪いけど舞を家に送っていくから。」

「う、うん…。舞、ごめんね?私が誘ったりしたから…。」

「違います!体調管理は自分の責任です!きっとお腹出して寝てたから夏風邪でも引いちゃったんですよ。すぐ治りますから、静流先輩は気にしないでください。それより、せっかくのデートなのに、なんかすみません…。」

「そんなこと!とにかく、早く良くなってね。無理しないで。」


りょーかいでーす!

気遣わしげな静流先輩と南海さんを置いてわたしは副会長に送ってもらうことにした。

体調の悪さに気づくと、ドンドン悪くなるような気がするから不思議だ。

副会長に支えてもらいつつ(足下が覚束ない。ヤバいのか!?)、電車に乗って家まで連れてってもらった。

その間、副会長がなんか聞いてきたけど、すんません。覚えてないです。


家に着いて、ベッドに入った後もなんか眠りたくなかった。結局寝ちゃったけど。

熱は40度近くまで上がり、病院にも行ったけど、夏風邪でしょうで終わった。


そのあとも、熱が出たり出なかったりで、夏休みを終えてしまった。

そう!海に行けなかったんだよ!

くっそ~!わたしの貴重な夏休みが!!

くーやーしーいーー!


そんな風に歯ぎしりをしてたんだけど、何なら新学期まで熱出れば良かったのに!と思うようなくそ面倒くさいことが起こるのを、この時のわたしは知るよしもなかった。

私は頭が痛くなるとき、必ず目の前が強い光を見たあとみたいにチカチカします。そしたらソッコー薬飲む。あと、熱も39度まで上がって、一晩で下がる。なので、朝にはケロッとして仕事に行きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ