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蚊取り線香

連日の忙しさと荷物の多さに更新が滞りました。でも年末年始で荷物が止まるんで!また出来る限りアップします!

うへへへへへ。

あっ!待って!リターンしないで!!


今日は花火大会です。

美晴と待ち合わせをして、屋台でしこたま食べてから会場に行くことになってる。

家から学校に向かう途中のところだから、うちの学校生がたくさんいそうだ。他の子にも会えるかも。

そ・し・て!

なんと浴衣なのですよぉ~!

中学のころは両親と来てたけど、今年は美晴という立派な保護者(違う)もいるし、先生も見回りしてくれるみたいだから、友達と行ってもいいってお許しももらえて(軽く箱入り娘なのさ)、浴衣を着ることと相成りました!


浴衣はお母さんのお下がりだけど、紺をベースに、流れるように金魚が泳いでて夏らしさを感じる。帯も淡いグリーンで、ちょっと大人っぽすぎるかなと思ったけど、髪をアップにしてもらったらそうでもなかった。

精神年齢あらふぉーのわたしには、ピンクのフリフリ~はちょっとね…。やっぱ浴衣ぐらいは落ち着いたものが着たいわけよ。何年経っても使えるし。

美晴も浴衣を着てきて、お互いキャッキャッしちゃった。


美晴のは花火柄で、かわいい~って言いながら他の子との待ち合わせ場所に向かうと、みんなも浴衣でわたしはうへへ状態。これが冒頭に繋がる訳ですよ。


「なにニヤニヤしてんの。怪しいからほんっと止めて!」


美晴に怒られたけど、はぐれないようにちゃんと見張っててくれてる。ホントにいいオナゴよのぉ。

お察しかとは思いますが、常よりテンション高めでお送りしております!


屋台がいーっぱい並んでる。この雰囲気だけで楽しくなれる。社会人になると(職種にもよるけど)、中々お祭りに行けなかったりするんだよねぇ。だから若いうちにめいっぱい遊んどかなきゃね!

色んな屋台を見て、あれやこれやを食べたり食べたり、はたまた食べたり。みんなが金魚すくいやらなんやらをしている間にも食べたり。このために朝から何も食べなかったんだから、食べなくちゃ!


『食べ過ぎ!』ってみんなに言われながら、花火会場に向かっていると、脇道のところで森木さんと杏望先生と女の先生を見かけた。しかも森木さんが杏望先生に抱きついてる。

なんかあったんだろうか?とその光景を見ていると、みんなも気がつきそちらに向かっていく。


「せんせー、なんかあったんですか?」


みんなを代表して七奈美ちゃんが話しかける。

わたしたちに気づいた先生たちは、困った顔で、


「森木さんが変な男に絡まれたみたいなの。一応杏望先生が追い払ってくれたけど、怖かったみたいで…。あなたたちは大丈夫?」

「わたしたちは平気ですけど…森木さん大丈夫?」


さすが美少女。やっぱりこんな人混みにこんな美少女がいたら良からぬことを考える輩もいるよね。しかも浴衣だし。わたしなんかよりよっぽど色っぽいゼ。

おっと、そんな呑気なこと言ってる場合じゃなかった。森木さんは震えてるみたいだ。そりゃ怖いよね。


「森木さん、誰と来たの?」

「……友達と来たんだけど、はぐれちゃって。電話も繋がらないし…。」

「じゃぁわたしらと一緒にいようよ!」

「えっ?」

「1人で探したらまた絡まれるよ?一緒に会場に行きつつ探せばいいじゃん!」


そーだねーとみんなが賛同していると、ちょっと戸惑ってた森木さんも『うん。よろしくね』と笑顔になった。せっかくの花火大会、楽しまなきゃねっ!

杏望先生は、それでも心配らしく『気をつけてくださいよ?何かあったらすぐに周りの人に助けを求めてください。他の先生方も巡回してますから。』と言ってた。ご安心を!森木さんはわたしたちがしっかり守りますので!

こっちに向き直った先生は『咲倉さんも。合宿で言ったことを忘れないように。』とまで付け足した。どんだけ要注意人物やねん!


まだまだ心配そうな先生たちを置いてわたしたちは会場に向かう。

花火大会は土手でやるから、そこが会場になる。っていっても、椅子とかがあるわけじゃないんだけどね。

あとちょっとで着くというとき、声を掛けられた。


「舞さん」


振り向くとそこには眩いばかりの美少女ツーが!!

……失礼。浮かれすぎですね。

そこには、樹里ちゃんと生徒会長カップルが仲良く腕を組んでいた。

リア充めっ!


「樹里ちゃん!久しぶり~!!こんなとこで会うなんて偶然だねぇ」

「本当ですわね。舞さんってば、全然お稽古にいらしてくださらないんだもの。寂しかったんですよ?」

「ご、ごめん…。何かと忙しくて…。」


彼女に言い訳する彼氏の気持ちになってしまった。部活とか、宝探しゲームの実行委員とかでほとんど行けなかったのだ。今度は絶対に行こう。


「しょうがないですわね。でも、今度はちゃんと来てくださいよ?おばあ様が舞さんに会うのを楽しみにしていますのよ。」

「楓さまが?行く行くぅ~!」


楓さまは、樹里ちゃんと梨子先輩のお祖母さまだ。家元でわたしの先生さまでもある。御年70歳を迎えても背筋がピンとした上品な方で、わたしの憧れでもある。


「舞!なにやってんの!はぐれないでって言ったのに!」


樹里ちゃんと話し込んでいたらはぐれていたらしい。美晴が迎えに来てくれた。


「ごめん。知り合いにあって。」

「あれ?生徒会長と…」

「紹介するね。こちら、生徒会長の婚約者で鏑木樹里ちゃん。梨子先輩の従姉妹だよ。わたしが通ってるお茶の先生のお孫さま。樹里ちゃん、こっちは友達の立川美晴だよ。」


初対面だった2人を紹介する。


「初めまして。鏑木樹里と申します。舞さんにはいつもお世話になっていて…。」

「あなたが…。いえいえ、舞がお世話になってても、お世話することはないですから。私は立川美晴です。」


ひーーどーーいーー!

確かに樹里ちゃんはわたしよりしっかりしてるけど、一応年長さんだもん!歳だけだけど!


「ふふっ。舞さんはいいお友だちをお持ちですわね。お2人は今から花火を見に行かれるんですの?」

「そーだよー。樹里ちゃんたちもでしょ?」

「ええ。私がどうしても見たいと我が儘を言って龍さまと。良ければご一緒しませんこと?うちの者に場所を取ってもらってるので。」


さすが上流階級!『うちの者』って一般人は中々言えないよね。でも、


「そんな!2人の邪魔なんかしないよ!こっちはもっと人数もいるから!お構い無く!」


らぶらぶの2人に割り込むような真似はしませんぜ!


「なら尚更ご一緒してくださいな。花火は大人数の方が楽しいですもの。ねぇ龍さま?宜しいですか?」

「……樹里がいいなら俺は構わない。」


2人にそう言われてしまったので、遠慮なくお邪魔することになった。

先に行ってた友達と森木さんを呼び戻し、樹里ちゃんの案内で『うちの者』に取ってもらった場所に向かった。

戻ってきた森木さんは会長の顔を見ると『あっ!』っていう顔をしたけど、結局何も言わなかった。

そりゃ、腕組んでイチャイチャしてる女の子が彼女だっていうのは見ればわかるし(彼女以上だけど)、その彼女を目の前にして『おたくの彼氏をひっぱたきました』なんて言えないもんね。


取ってもらった場所に行くと、ちゃんと敷物は敷いてあるし、飲み物・食べ物は用意してあるし、周りの人が入れないように見張りもしてるしで、至れり尽くせりだった。わたしは買ってたりんご飴と綿菓子を食べてたけど。


花火が打ち上がり始めると、もっと混雑してきて正直助かったという思いと、周りの人にすみませんという気持ちになってしまった。いや、広さは必要最低限なんだよ?他にももちろん場所取りしてる人たちいたし。

でも、パッと大きく夜空に輝く色とりどりの花火に見惚れるうちに、そんなこと忘れてしまった。


大きな大きな花火。

前世ではあんまり見たことなかったな。

友達はいたけど、仕事を始めると疎遠になっちゃうし、人混み自体もあんま好きじゃなかったから誘われても行かなかった。

……元ゲイ彼氏とも、今度のデートは花火大会にしましょうって話してた時に刺されちゃったんだっけ。

今回はちゃんとしたい。バカなことも、めーいっぱいしたい。なんで『二回目』のチャンスを貰えたのかはわからないし、考えてもムダだと思うから放棄してる。でも、今度は面倒くさがらないで、今できることを全力でやろう。


そんなガラにもないことを思っちゃったのは、あまりにも大きくて、見ている人を引き込む花火のせいかな。

ちょっとセンチメンタルに書きたかっただけ。そして杏望先生出てきたのに出番なし(笑)ほんとは浴衣について触れさせようと思ったんですが、他の先生も生徒もいるしでやめました。でも心配してるのは本当です。

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