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かき氷④

短編1本投稿したら、こっちのネタを降りてきませんでした。意外と難産回。これが本当のメニークルシミマス。

すんません。すんません。

その日の夜。

わたしは、嬉々として実里先生に迫っていた。

だって棗先生の上機嫌っぷりが気になるじゃないですか!何があったかワクワクしながら、実里先生に問い質してみた。


「何もなかったわよ?ただ普通に買い出しに行って、普通に職場の話をしただけよ。咲倉さんってば、何を期待してるのよぉ。」

「でも、棗先生すごい機嫌良かったじゃないですか!」

「そぉかしらぁ?あ、今度みんなでご飯でも食べに行きましょうって話をしたから、それが楽しみのかもし。」

「「それだけ!?」」


思わずみちる先輩と声を合わせてしまった。


「それだけって…。他に何があるのよ?もしかして、棗先生のことが気になるの?先生と生徒の恋は応援出来ないけど、気持ちはわかるわよ。でも、告白するならちゃんと卒業してからにしなさいね。」


ノォォォ!違うよ!ってか棗先生ってば見た目ホスト風なのにデートにも誘えないって案外シャイボーイだなおい!!と心の中で悶えてると、みちる先輩が『どうどう』とあやしてきた。


「気持ちはわからないでもないけどね?あくまで先生たちのことだから。脇から見守っていこうよ。」

「そうですね…。」


じゃぁ、ターゲットをみちる先輩にする。

みちる先輩には年上の彼氏がいるんだとか。憧れるわぁー。

みちる先輩と彼氏さんの出逢い話から今に至るまでを余すとこなく聞き出したわたしはぐっすりと就寝したのでした。


*************


合宿3日目。

この日も前日と同じようなことをやり、夕食当番だったわたしは、実里先生・ゆらちゃんと一緒に色々作っていく。ポヤポヤしてるゆらちゃんだけど、料理はすごく上手なので安心して任せられる。


夕食を食べた後、絵美歌先輩がいきなり、『じゃぁやりますか!』と言い出した。何をやるんだ。


「あれ?言ってなかったっけ?夏合宿の定番、肝試しよ!と、言いたいところだけど、こんな森のなかじゃ危ないから、怪談百物語よっ!」


どっから出したのか蝋燭(キャンドルなんて可愛らしいものじゃない)をテーブルに並べ始める。

でも、いきなり言われたわたしたちがネタをすぐ思いつくわけがなく(絵美歌先輩独断で決めたらしい)、1冊の本をどれだけ怖く読むかということになった。それは怖いんだろうか?



「……それで安心したB君が振り返ると、そこに血塗れの女がぁぁぁぁぁ!!!」

「ひぃやぁぁぁぁ!!!」


真っ暗な室内には蝋燭の光源だけ。そこに叫び声が響く。

もちろんわたしじゃない。

むしろこういうの大っ好きだし!

叫び声はお隣のゆらちゃんです。思いっきりわたしにしがみつき、ガタガタ震えている。かわいいなぁもう。

もう片方のお隣は杏望先生で、時たま『怖ければ掴んでてもいいんですよ?』と聞いてくるが、全っ然大丈夫なのでお断りしておいた。

それよか、棗先生。あんた怖いのを我慢してるのがバレバレですが。実里先生の隣に座って、先生が怖がっても大丈夫なようにスタンバってるのはわかるけど、実里先生もにこにこと話を聞いてるだけだ。おいおい。

怖がっているのは、ゆらちゃんとめぐちゃん。棗先生と静流先輩は怖いのを我慢している。でも、静流先輩は梨子先輩の服をぎゅうぎゅう掴んでいるからモロバレだ。

絵美歌先輩はそんな人たちが楽しいのか、ヒートアップしてるし、それに悪のりしてるのがハナちゃん。みちる先輩は2人を止めようと防波堤になってる。

……個性がよく出てますね。うん。

わたしはと言えば、さっきからゆらちゃんに引っ付かれて動けない。次わたしの番だけど、このまま話すしかないのか?



電気を点けてもゆらちゃんは離してくれなかった。まぁわたし的には役得ですが。

でも、絵美歌先輩が花火を出してきて、外でみんなでわぁわぁやってたら怖いのを忘れてしまったようだ。楽しそうに実里先生と花火をつけっこしてる。

昨今では花火をやる場所がとんと減ってきたから、こうして隣近所を気にすることなく騒げるのって貴重だよね。

打ち上げ花火ももちろん好きだけど、線香花火も大好きだ。なんか夏は始まったばかりなのに、すでに満喫しまくった感あるわー。


わたしがみんなを置いてさっさと線香花火をつけだしたことに気づいた杏望先生が、隣に来て一緒に火をつける。


「線香花火って夏の風物詩ですよね~。」

「…まだ夏は終わってませんよ?宿題もたんと残ってるじゃありませんか。」


現実に戻さないで。


「でもこの3日で半分は終わりましたもん!あとは遊び呆けるのみです!」

「夏休みを満喫するのもいいですけど、はしゃぎすぎないようにしてくださいよ?特に、プールや海は気を付けること。変な男がうじゃうじゃいますからね。」

「わたしは大丈夫ですよ~。美晴とかなら注意しとかないといけませんけどねぇ。」

「全くあなたって人は…。」


先生が呆れたところに、お呼びの声がかかった。

腰を上げた先生は、『とにかく、用心にこしたことはないんですからね。』と最後までお小言満載だった。

杏望先生の離れていく背を眺めてると、今度は静流先輩が隣に来た。

そういえば、なんだかんだで静流先輩とあんまり話してないや。


「静流先輩、合宿やってくれて、ありがとうございます!すごい楽しかったです!」

「それはよかった。企画した甲斐があったってもんだね。それはそうと、お盆明けの土曜日、空いてないかな?私の…その、彼氏とデートをするんだけどさ、いきなり2人っきりっていうのがなんか恥ずかしくて。透流も交えて4人でダブルデートでもどうかなって思ったんだけど…。」


くっそ~!照れまくってる静流先輩可愛いじゃないか!彼氏がニクイ。


「でも、お邪魔じゃないんですか?」

「そんなこと!こっちが頼んでるんだよ?それに、透流だってよろこ…なんでもない。」

「?お邪魔じゃないなら行きますけど、梨子先輩とかじゃなくていいんですか?」

「梨子はね、実はもう会ってるんだ。ちゃんとお墨付きももらったし。変なやつじゃないから大丈夫だと思うんだ。」


ってことで、静流先輩の彼氏さんと会うことになった訳ですが…。正直妨害したいなっ☆

いや、しないよ!?そんなことしたら静流先輩悲しんじゃうかもじゃん!?しないけどしたい、複雑なオトメゴコロってやつですよ。


静流先輩と約束を取りつけて(ちゃんと後始末もして)、次の日、それぞれのお家に送ってもらって夏合宿は終わりを告げた。

あっという間の4日間。それを思うとなんだかさみしい気持ちになった。これが青春ってやつかー。


いや、夏は始まったばかりだよ!?

何をしみじみしてるんだわたしは!!

さてさて、夏をさらに満喫しますよ!

なんか本当に夏の終わりのような感じになってしまった…。線香花火めぇ。

まだ夏休みは続きます!

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