1話「メモリーはいつでも心の中に」
自分という人生は空っぽだった。
何も成し遂げず、何もしてこなかったというわけではなく本当に空っぽだった。何も覚えてないし思い出せそうにもなかった。
ところどころ覚えはある。だけど何か大事なことが…とてもとても大事な事を忘れてる。そんな気がしていた。
...私は落ちこぼれ
いつもそう思っていた。
この世界はいわゆる実力主義の世界だった。男女関係なく実力があるものは上に行き実力がないものは簡単に奈落の底へと堕ちていく。
私は底辺の中の底辺だった。学校でも悪目立ちするくらいには。
「お前生きてる意味なんてあんの??」
「貴方みたいな落ちこぼれが何故この学校にいるのですか?」
友達はおろか、教師にも耳が腐るほどにそんは言葉を浴びせられていた。
なぜか記憶もないしなんの才能もない
私が生きる意味など本当にあるのだろうか?
私はこんな私が嫌いだ。
...能力。この世界にはそんなものがあった。だけど私にはない。
能力者で溢れてるこの世の中で私は1人ただの少女として生きている
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お〜い、めぐみ〜」
朝起きると私の名前が聞こえてきた。
私の学校は寮生活で、もちろん実力がない私にはこうゆう住む場所もかなりしょぼい。
「はーい」
「あ、やっと起きた。朝弱いよね、めぐみ」
「いや、ごめんごめん」
私を起こしてくれたのはワンランク上のランクにいるメム。この世界にはランク制度というものがあり、AからEまでのランク分けがある。
私はもちろんE。そしてメムはDと言ってもCに近いDなので実力はかなり高い。学校でも悪目立ちしてる私だが私にも唯一の友達がいたりする。
「ていうかもう少ししたら試験あるけど大丈夫?」
「試験なんてあったけ?」
試験。いわゆるこの学園では実技試験のようなものでクラス内でランクを分けた戦いを強いられる。
ちなみに言うと私は試験で勝ったことがなかった。戦い自体が嫌いだし能力もないからだ。
「えーせっかくDクラスに上がれるかもしんないんだから頑張んなよ〜」
「私能力使えないしとてもじゃないけど、勝てないよー」
「メムは強いし上に上がれるかもだから良いけどねー」
「そんなことないよ。上に行けば行くほど実力の差を思い知らされるしねー」
「まぁメムならいけるって」
「何で他人事なんだよー。めぐみもいくんだよー」
「えぇ」
そんなことを話していると
「あ、あれ生徒会長じゃない?」
「ん?あぁ、」
そこにいたのは生徒会の面々、そして生徒会長の「天王寺凛」そのスペックはとんでもなく、あまりの実力と才能で異例のSランクだとか。
「私生徒会長苦手なんだよね」
「えーなんで、かっこいいし強いって最高じゃない?」
「あの風格というか感じが苦手」
もちろん妬みや嫌な事をされたというわけじゃない。ただ、、、
「まぁ良いじゃん行こ」
「あ、やばい遅刻遅刻」
「え、急がないと」
そう言って校舎に向けて走り出すのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私にメムがいなかったら本当に1人だったんだと思う。
私とメムが関わるようになったのは半年前の一年生。学園に入りたての頃だった。無能力者の中でもかなり落ちこぼれだった私はいじめを受けていた。
しかもいじめの主犯は同じく一緒のクラスで能力を発動させて間もない人だった。前までは一緒の無能力者だったはずなのにそれを虐げる側に回っていた。
「お前みたいな無能力者がいて良い場所じゃねーんだよ!」
その日も罵詈雑言を受けていた。
「でも貴方も前までは能力を…」
「うるせー。お前と違って俺は才能があったんだ。だから能力にも目覚めた。だがお前はどうだ?その兆しすら見えない落ちこぼれだ。お前と俺とじゃ話にならねーんだよ」
そう言って手をこちらに向けて能力を発動しようとする。
「殺さない程度に、ここにいたくないと思えるくらいまで痛ぶってやるよ」
「……!」
私は無能力者。その攻撃を防ぐ手段なんて持ち合わせていなかった。
だから覚悟した。だけど。
「???」
その攻撃が私に当たることはなかった。気付けば私の前に誰かがいて、守っていてくれた。
「何弱いものいじめしてるの?」
「誰だよ、おめえ」
「たまたま通りがかったら、貴方がこの子をいじめてるのが見えてね。恥ずかしくないのたった1人の女の子に」
「1人の女だあ?そいつはただの落ちこぼれの出来損ないだろうがよ」
「落ちこぼれ?笑わせないで。仮にも能力がなくても貴方なんかよりずっと強いわよ」
「は?何を言ってるんだお前」
「あんたみたいなクズなんかよりもずっとね」
私も言っている意味が分からなかった。ただお世辞でも強いと言われて少し嬉しかったのも事実だ。
「クズ?そいつよりも弱い?それこそ笑わせるな。そいつなんかよりも弱い分けねーだろうがよ!」
激昂したその男は一直線に向かってその子に向かっていた。
「まずい、逃げて!」
その男は覚醒させたばかりとはいえクラストップで強い人だ。だから逃げてと言ったのだが。
「随分と間抜けヅラね」
そう言ってその攻撃を避けてカウンターを決め込んでいた。
「す、すごい」
感嘆の声が出た。
あれは能力なのだろうか?でも目でも追えないスピードだったのでおそらく身体向上とかの部類なのだろうか?と思っていると
「大丈夫?」
そう言ってその子は蹲った私に手を差し伸べてくれた。
「う、うん」
「もうあんなクズにやられちゃダメだよ?」
「え、あ、でも私能力使えないし」
「今は。でしょ?」
「え、でも」
「ほら、ポジティブに!」
そういうとその子は私の頬を掴んできた
「何、するのお?」
「せっかく可愛い顔してんだから勿体無いよ?しかも落ちこぼれだとか馬鹿にされて悔しくない?」
「そ、れはそおだけどお」
「だったら見返してやろうよ。私もいうてもDクラスだけど教えられることがあったら何でも教えるよ」
そう言ってその子をニコッと笑った。その笑顔は私なんかよりもずっと可愛かった。
「そうだ、名前は?」
「その、前にい離してえ」
いまだに頬をつねっていたその手を退けた。
「私の名前はめぐみです」
「お、めぐみね。私はメムっていうの。お互い同い年なんだからタメでいいよ」
「え、うん。分かった」
「じゃこれからよろしくね」
「よろしく…」
どうせ、この子もいつかは離れていくんだろうな…と思っていたのだが、メムはずっと私と関わってくれて能力に関してのことなど色々教えてくれた。とてもDクラスとは思えないくらいに強かったし教えるのもうまかった。
それでも能力は覚醒しなかったが、知識や戦闘技術は学べたから自分でも良かったと思えてる。
朝、クラスは騒がしかった。
何故なら学校に行く時にメムと話していた試験というのが今日になったと報告があったからだ。理由は至って単純。いつでも試験に挑めるようにと生徒を試してあえて試験日は伝えてなかったので予定も詰まっているので今日しかないのだという。
突然のことに困惑をしていると
「お前らEクラスは上のクラスに潰されないように頑張るんだな」
そう端的に伝えた後、教師は試験の説明をした。
どうやら試験はバトロワイヤルで、制限時間は24時間ポイント制。一定のポイントが貯まって最後まで残れば上のクラスへ。
逆にポイントがゼロになった瞬間に脱落となり、クラス限らず退学だという。
今まで退学をいうものがなかったため、今私たちクラスは慌てている。何故ならEクラスは格好の餌食になりやすいためほとんどは退学になってしまうだろう。
「はっ、試験がなんだ。余裕でぶっ倒してこのクラスから抜け出してやるよ」
クラスが騒然とする中1人、私をいじめてた男が言う。
「私もやばいかもなあ」
つい心の声が漏れてしまうくらいにはやばかった。だってここで残らないとメムやここでやり残したことがまだある。だから何をしても生き残らなきゃいけない。
絶対に。
試験。バトルロワイヤルは無人島の孤島でやらされるらしく、船に乗った後に気づいたら私は薄暗い場所にいた。
船から出て何故か転送のようなものをされた。これもおそらく能力なのだろう。
そんなことよりもとにかく最初は隠れてやり過ごすかそれとも敵を倒してその後隠れてやり過ごすか考えていた。
これはあくまでも試験。ずっと隠れてても意味がない。仮に能力を使えなくても倒してみせる。
そんなことを考えていたら。
「めぐみ?」
と私の名前を呼ぶ声がしたので振り返ると、メムがいた。
「え?メム?」
「あーめぐみじゃーん!」
「メムー。会いたかった」
あまり心細かったので会えてホッとした。
「めぐみこれからどうする?」
「えーとりあえず隠れてやり過ごそうとしたけど、どうしようかな」
「じゃあ、私と行動しない?」
「え?いいの?」
そういえば必ず1人で行動しろとは言われてないため、仲間を引き連れてもいいのかもしれない。
「いいよ〜仮に危なくなったら私が守るし」
「ありがと〜、でも私も頑張るよ」
「うん、一緒に頑張ろう!」
そう言って私は心強い仲間を手に入れたのだった。
しばらくして夜になった。
「結局誰もいなかったね」
幸いかは分からないが3時間弱歩き回ったが誰とも鉢合わせなかった。みんな隠れているのだろうか?
そんなことを思っていると
「じゃあもう寝ようか」
と、メムが言ってきたので
「うん」
とりあえずは寝ることにした。明日もあるし外なので地面も硬いが仕方ないだろうと思いながら眠りにつこうと思っていたら…
「ーーー?!」
突然だった。突然こちらにナイフのようなものが飛んできた。
でも私が感じたのは焦りなどではなく強い悲しみだった。
私に刃を向けてきたのは他でもないメムだった。
「あーあ、惜しいなあ。銃だと周囲に音が漏れるから避けたけど銃の方が良かったかな
?ねえ、めぐみ?」
強くショックを受けた。だって。だってだって私と関わってくれてた人が、今私を殺そうとした?どうゆうこと?頭の中には疑問符しかなかった。
「な、んで?」
「なんで?なんでって本当に私があんたみたいな落ちこぼれと関わっていたと思うの?残念だけど違う。ちょっと遊んでやってただけ」
「で今になってなんで、、、」
「気分。それじゃダメ?」
「気分、?」
適当だった。そんなにも私は嫌な奴だったのだろうか?そんなにも殺したくなるほど、憎かったのだろうか?
「もういいや、死んで?」
そういうとメムは銃を取り出し、こちらに向けてきた。
「や、だ」
まだ、死ねない。まだ。
ここでやり残したことはあるし、何よりこんなところで終われない。
私は逃げた。必死で。足がもげるくらいには。
でも
「残念」
そう言って私は蹴られ、地面へと転がっていった。
「、あ」
「逃げないでよ、めぐみ。早く殺してあげるから。」
意味が分からなかった。なんでここで?なんで殺すの?なんで私と関わったの?
色んな疑問が。そして酷い悲しみが私に襲いかかってきた。
「じゃーね、めぐみ」
そう言って引き金が引かれた
思わず目を閉じた。
死を覚悟した。
でも私にはまだ意識があった。なんで?そう思って目を開けると身を覚えのある後ろ姿が私の代わりにその銃弾を受けていた。
「……え」
彼女は出ていてはいけないところに血を流していた。
メムが2人いた。でもすぐに気づいた。私を庇ってくれた方が本物だと言うことを。
「ダメ。ダメダメダメダメダメ。」
私を。私を庇って死ぬ?それはダメだ。こんな私を庇って死ぬなんて私が私自身を許せなくなる。
「死なないで、!!」
「めぐみ、ごめんね」
彼女はそう言って、目を閉じた。
「あ、アア、、」
声にならなかった。
ごめんね?なんで?なんで最後にそんなことを?
なんでなんでなんでなんでなんでなんで
私を庇ったの?
でもそんな質問彼女は答えてくれなくて
「あ、ああ」
あまりにも人間は脆いのだと思い知らされる。
私に関わってくれた、たった1人の親友が今死んだんだ。
あああああああああああああ
叫びたかった。でもそれが出ないくらいにショックを受けた。
「あーあ、なんで本物が出てきちゃうかな」
メムの姿をした何かはペラペラを何かをしゃべっていた。
でもどれも私には届いていなかった。
…過去私は同じようなことがあった気がする
大事な誰かが私を庇って死んだ。そんな過去が。
「…あ」
思い出したくもない
そんな嫌な過去が。
過去の片鱗を思い出していく。
だんだんと。少しずつ。
「私は…」
ーーワタシハ。
目の前の女を殺そうとした時ーー。
何か風貌が変わっていたーー。
さっきまであんなに泣き喚いていたのに何故か落ち着いていた。
誰だ?
最初に思ったのはそれだった。
「何をした?そしてお前は誰だ?」
当然の疑問を口にした。
「私は」
一白を置いて告げた
「私は、ただの少女だよ」
目の敵が驚いている中、私も酷く驚いていた。
さっき親友が殺されたというのに。
なんて薄情で、なんて酷いやつなのだろう。
でもなんだか落ち着いていた。
思い出した。記憶を。
ただそれだけなのに。
「私はお前を殺す」
「お前に?私が?舐めるな。少し変わったからっていい気に…」
言い終わる前に私は吹き飛ばされていた。
「ごっ、がはっっ、」
口から血が漏れる
「何、これ…」
見えなかった。見えない。
何があった?この一瞬で。
「この、バケモノが」
「喋るなよ、バケモノ」
一向にメムの姿で喋るバケモノに私は言った。
こいつは私に圧倒されていた。
なんでこんなやつにメムを…
どうして私が生きていて、メムは死んだ??
「…っ」
何度考えてもしょうがない。
失ったものは返ってこない。
私は自分の弱さを呪いたい。
「死ね...クソ野郎」
私はそう告げてそのメムの姿をした何かに手を向けるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺はソイツの様子を見ながら笑みを浮かべていた。
「記憶...戻ったようだな」
あまりの嬉しさに今から抱きしめてやりたい。
だけどそれは今することではない。
「楽しみだなぁ」
「俺の可愛い妹よ...」
「天王寺めぐみ」に向かって俺はそう吐露するのだったーーー。
好評な感じだったら続けちゃうかもかもかもかもかもかもかもかも




