【ある雪の日にⅡ】
新しい飲み物と少々のお菓子を持ち、トイレを済ませて部屋に帰る
イヤホンを装着し「ただいま」
と声をかけると友人は既に電話口に帰ってきていた
「おかえり」
「じゃぁ話の続きを聞こうか」
そう促すと、友人は話を進めた
そうそう、外で話すのも寒いし建物の中で続きは話そうぜ!
んーでももう少し滑ってから…じゃあ15:00くらいにハウスの中でどう?
そうだなぁ確か13:00くらいだったかな?
夢中になると時間忘れるからなぁアラームセットしたんだよ
で、15:00ちょい前にハウスに行って、友人と合流したんだ
でな?お泊りしようぜって話から『じゃあどちらに泊まる?』ってなるじゃんか?
で、俺んちに泊まる事になって、超絶久しぶりだし鍋パしようぜって
『良いね!鍋パ!!じゃあ、うちら食材とか買ってから君の家に行くね!』って明るい返事が返って来たんだ
久々だから緊張もしたけど楽しいが勝ってたよ
いざ両家が揃って鍋パが始まる頃には笑い声が絶えなかった
思い出話、近況報告、色んな話で盛り上がったよ
時間とお酒の力もあってか…成長した友人の妹にちょっとムラっと…
でもさ、不思議なんだ妹ちゃんと視線が合わない
ゴホン、いやまぁ良い時間まで一頻り話して眠りに着いたんだ
月並みだけど、明日は何をしようって考えながらね…
すぐに皆眠りについたよ
で…朝になって目が覚めるじゃん?
友人はここまで言って言葉を切った
言葉を選んでいるのか、言い淀んでいるのか…
「どうした?言い難い事なのか?」
僕は思い切って聞いてみた
「……」
少々の沈黙の後、友人は重い口を開いた
声が震えている
「普通はさ?目が覚めたらまた楽しい話できると思うんじゃん?」
「笑って『おはよう』って言えると思うじゃん?」
立て続けに質問が飛んでくる
「え?あーまぁそうだな」
友人は何を言っているんだ?と思いつつも返事をする
また少々の沈黙の後
『あのさ、目が覚めたら…いつもの日常じゃなかった』
『俺ら家族三人…墓石の横に佇んで居たんだ…怖くて彫られている名前は確認できなかったよ…』
『俺、どうしてもこの話お前に聞いて欲しくて、悪いとは思いつつメッセ送ったんだよね』
友人からの電話はノイズと共にそこで切れた
僕はふと思い出した事がある
数年前の今日
地方紙に載っていた、「ある地域で起きた惨劇」についての記事だ…
加害者家族、被害者家族、が記載されており、しっかりと読んだはずだったが…まるで積雪に邪魔をされるかのようにそこだけが思い出せないでいた…
切れた電話からはノイズ音が響き
暖かかった紅茶は氷のように冷たく
部屋は極寒の地のように感じられた
外は静かに雪が「しんしん」と降り続く
あぁ…真っ白に染まるこの世界で
僕だけが1人みたいだ




