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第2章 4 怪盗ツインテ


   四


 怪盗ツインテ、原作は少女漫画の怪盗物。少女漫画らしく、主人公は正義の怪盗、所謂義賊だ。因みに、衣装は比較的露出は少ない。これは掲載媒介が若年層向けだからだろう。作る側としては、とても助かる。

 ピッチピチのレオタードなんぞ作って、知り合って数日の少女に着て欲しいというのはハードルが高すぎる。多分、ハードル走なのに、高飛びする程度には。

 主人公は、手品や奇術が得意な中学生。背は小さめで、胸は薄い。少女漫画の主人公は、貧乳が多い気がする。多分だが、コンプレックスがあった方が、感情移入をしやすいのだろう。実にベラ向きの衣装だ。本人には、絶対に言えない理由だが。

 タイトルの由来は、主人公の髪型と同じ怪盗名。そんなわけで、彼女の髪型はツインテール。

 この作品の主人公の武器は、手品が特技になるほどの器用さ。そして、中学生とは思えぬ、フィクションだからこそのフィジカルで、助けを求める被害者達のために正義の盗みをしていくのだ。

 アニメ化の際に、おもちゃの販促のために、変身やマスコットキャラが追加される改変が行われていたが、未読のベラに使ってもうからには、原作漫画のコスプレの方がいいだろう。

 身体能力が単純に強化されるだけの方がわかりやすいはずだ。下手に選択肢を増やすと、次の一手が遅くなる可能性がある。

 主人公の怪盗姿は、女性マジシャン風の衣装。スカート内に、ピッチリとしたタイツ。露出の少なさが、いかにも少女漫画らしい。作成側としては、普通の服の延長線上にあるので、大変作りやすい。

 一応、必要になりそうな材料を確認するため、おやっさんに、記憶の中の怪盗ツインテを見せてもらうことにしよう。

 視聴で無く、資料作成なので、全身が見られれば良し。数シーン確認するだけで済む。

 ベラに用意してもらった瓶入りの毒を呷って、コアラマスクの姿になる。

 デザインから必要な道具や材料を書き出し、買い物の準備を終えた。

 というわけで、スーツを解除し、早速買い出しだ。

 生地のお店を、宿の女将さんに確認し、店へ向かった。

 村とは違って、かなりの種類の生地が売っている。職業柄、これは興奮してしまう。 

 高いだけで、ミシンも存在しているらしく、生地の店でも取り扱われていた。村単位では、ミシンが必要になるほどの服飾作成はいらないのだろう。メインは、きっと修理だったはずだ。

 一つ、生地について気付いたことがあった。地球と同じ生地が多い。化学繊維、合成繊維こそは無いが、昔からある生地は、ほぼ存在していた。

 人間という生物が生きる以上、同じよう文明の道程を辿ると言うことなのかも知れない。

 さて、まずはどのようなイメージの生地を使うかだ。

 怪盗という役柄から考えるのならば、全身黒づくめ。しかも光沢のない、マットブラックだろう。しかし、自分の直感、感覚は、それではしっくりこない。漫画のカラー原稿やアニメを思い出すと、黒というよりは、ダークブラウンの方が合っている。そして、光沢は有りだ。彼女にはマジシャンという側面もあるため、目立つ事も必要だったのだろう。というか、怪盗って、マジシャン系統多くない?

 スカートだけは、明るいライトブラウンなのも、それが理由だろう。

 うん、イメージは固まった。あとは、それにふさわしい生地を探すだけだ。

 光沢のある生地を、店内をうろつきながら探していく。

 シルク生地。光沢はあるが柔らかすぎる気がする。加えて、値段が高い。却下。

 サテン生地。こちらも高い。あと引っ掻くだけで傷が付く。ベラによると、自分のスキルに作品のレベルがあがるとあるので、長く使い続けられる方が良いはずだ。でも、タイツはサテンを使うしかないかなぁ。ナイロンなんぞ、ないもんなぁ。

 全身サテンも、候補に入れておこう。でも、ちょいと重いのはネックだな。身軽な動きを阻害するかも知れない。

 ベルベット、悪くない。というか、光沢がとても好き。高級生地なので高い。それでも、作る側として、この生地は魅力的だった。

 と、その近くにコーデュロイ生地があった。別名貧乏人のベルベット。

 これでも金を貰って作るプロだ。いかに安く、満足してもらえる物を作るかは、常時からの課題だった。今もその考えは変わらない。仲間のためであっても、可能な限り、安く、それでいて良い物を作るに越したことは無いはずだ。

 うん、コーデュロイにしよう。母親は、コール天と呼んでいたので、普段は自分もコール天と呼んでいた。ただ、知り合いに通じなかったので、コーデデュロイと呼ぶように変えたのだった。

 というわけで、ダークブラウンのコーデュロイとサテン生地を購入。裏地用に、肌触りの良く、軽い生地も購入する。

 ツインテール用のリボンはシルク地だ。動く度になびく、あのツインテールとリボンは、シルク地でなければ表現できないと思ったのだ。

 さぁて、次は靴屋だ。目的の物はバレエシューズ、もしくはそれの類似品。バレエシューズは無かったが、ダンス用のイメージに合う靴が売っていた。色が白と赤しかなかったので、白を購入した。自分でダークブラウンに塗るしかなさそうだ。

 最後は雑貨屋だ。

 やはり人が生活する上で、必要になるものは同じなのだろう。材料こそ、不明だったり、聞いたことのないものばかりだったが、用途については、接着剤だの筆記用具だの、聞き知った物ばかりが売っていた。

 とりあえず、絵の具、さらにパテを購入。小道具には、パテが必要だ。この世界では、ブルースライムとグリーンスライムの死体を混ぜることで、硬化する性質を利用した物が、パテとして売られていた。名前は、スライム硬化剤となっていたが、そっかー、これ死体なんだなぁ。ぱっと見は、色の付いたローションだけど。

 というか、スライムなんて居るんだなぁ。未だに、哺乳類と昆虫としか会ったことないけど。

 他にも、ヤスリなど必要な品を買って、ほくほく顔で帰路につく。海外旅行で買い物する時のような、他の文化に触れる時と似た楽しさがあった。

 帰宅途中、屋台で食べ物を幾らか購入する。どうせ戻ったら作戦会議だ。部屋で飯でも食べながら、気楽にするのが良いだろう。


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