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この世界で真の仲間と出会えたからハッピーエンドを目指します!  作者: タカハシあん


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第20話 マコモ

 アイテムバッグ化した鞄のことをゆっくり考えようとしたけど、ポロプと蜂蜜を採らないといけない。収穫期を逃したら来年になっちゃうわ。


 お風呂はおばちゃんたちがやってくれると言うので、わたしたちはポロプが生る山に向かった。


 ポロプは村の人や冒険者も採るそうなので、山までの道はよく、獣も狩られるから結構安全なところらしいわ。


 まあ、安全とは言え、何があるかわからない。ティナにはわたしが使っていた鉈を使ってもらうことにした。


 どうも鉈にもわたしの魔法がかかっているようで、通常ではあり得ない切れ味なんだってさ。


 ……そうなると、わたしの固有魔法って創造魔法か付与魔法ってことになるわよね……。


 いや、考えるのはあと。今はポロプと蜂蜜のことに集中よ。


 陽が昇る前にお弁当を作り、日の出とともに家を出た。


 ありがたいことに晴天で、その山に向かうと言うおじさんの馬車に乗せてもらえた。


「おじさんもポロプ採りなの?」


「ああ。今年は少しばかり生るのが遅れてな、人手が足らんと言うんで手伝いにいくんだよ」


 ポロプがなる山に着くと、石を集めて作った竈がいくつもあった。泊まり掛けで来てるんかい! ポロプ、大人気じゃないのよ!


「……凄いね……」


「う、うん。そんなに人気があったんだ」


 軽く見ただけで三十人はいる。わたしたちの分、あるかしら?


「どうしようか?」


「んー。かなり奥までいかないとダメかも」


 まあ、お弁当はたくさん持ってきたし、いざとなれば野宿してもいいでしょう。念のため、遅くなったら野宿するかもって言ってきたし。


 ティナは狩りで何度も野宿したって言ってた。それようの物も持ってきたしね。一晩くらい問題ないわ。


 とりあえず、人がいないほうへと向かった──が、こちらは採り尽くされていて、腐ったのやら発育不良っぽいのばかりだった。


「本当に人気なのね」


 これまでポロプなんて耳にしたことなかったのに、なぜここまで人気があるのよ?


「困ったわね。別のほうに行ってみる?」


 ティナに尋ねたら、なにやら木の根元でしゃがんでいた。


「どうしたの?」


 横から覗くと、なにやらキノコの周りの落ち葉を払っていた。


「キャロ。マコモだ」


 マコモ? キノコの名前なの?


「食べられるキノコなの?」


「食べられるどころか高級なキノコだ。とう様の話だと王都だと金貨数枚で取引されているらしい。とっても美味しいんだ」


 松茸的なものかしら? わたしは椎茸の味すら知らないけど。


「キャロ。ポロプ採りは中止だ。マコモを採るよ」


 いつにない気迫に「りょ、了解」と返してしまった。


「マコモに似たヤルモってキノコがあるけど、匂いが違うから間違えないように」


 採ったマコモを嗅ぐと、なんとも言えない生臭さがあった。これ、本当に美味しいの?


 疑わしいところだけど、鬼気として探しているティナを見るとウソではないようだ。まあ、そんなたくさんあるわけないんだし、夜のおかずが一品増えると思えばティナに付き合うのもいいでしょうよ。


「わからないときはティナに訊けばいっか」


 見た目はキノコらしいキノコ。十センチくらいだからそう難しくないでしょう──と思ったら、逆の意味で難しくなかった。至るところに生えすぎていて、十分もしないで背負い籠いっぱいになってしまった。


「群生地?」


 ってくらい生えていた。もうマコモに侵略されてるんじゃないの!?


「キャロ。鞄に入れられる?」


「籠いっぱいじゃない。まだいるの?」


 これじゃ、毎日マコモになっちゃうよ。


「マコモはいくらあっても困らない。採り尽くさない程度に採り尽くす」


 いや、矛盾してんじゃないのよ。


 止める気がないティナ。仕方がないと、籠のマコモを鞄に詰め代えた。


「ティナ。そろそろお昼にしない? お腹空いたよ」


 さすがに休むことなく採り続けて疲れた。まだまだあるんだからお昼にしようよ。


「わかった。マコモを焼いて食べようか」


 さすがに野宿する場所まで戻るのも面倒なので、近場の小川を見つけ、そこで石を集めて竈にし、枯れ葉や枯れ枝を集めて火を焚いた。


「そのまま食べるの?」


 マコモを枝を削った串に刺すティナに尋ねた。


「うん。焼いて食べるのが一番マコモを感じられる。美味しく食べるなら塩かな?」


「じゃあ、わたしは塩をかけて食べるわ」


 まずは美味しく食べさせてもらいます。


「ボクはそのまま食べる」


 塩をかけたのはわたしが焼くことにし、いい感じに焼けたら口にした。


「……美味しい……」


 焼ける匂いもよかったけど、食べるとさらに香りがよかった。さらに味もよかった。なんと表現していいかわからかいのが残念だ。これが金貨で取引されるのも頷ける。


「なぜこれで皆採らないの?」


「生臭いし、この辺は毒キノコが多いから採らないんだと思う。これまで食べたことないでしょう?」


「言われてみれば確かに。それに、道端になるものは食べるなって言われたかも」


「毒草が多い地だから食べないほうがいい」


 そうだったんだ。帰ったらティナから食べられるものと食べられないものを教えてもらおうっと。

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