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8.転居 2

転居してから、以前よりも修司の帰宅できる日が増えて来た。


容子のことを心配していることもあるが、物理的に家との距離が近くなったために、昼休みに一旦帰宅するとか夕食を食べてからまた社に戻ることが可能になったからもある。


大分楽になったと修司が言う姿に昔の父のようだなと容子は思った。


単身赴任になる前の地元勤務の時は、自宅から勤め先が近かったために、毎日ではなかったが昼休みに昼食を食べに家に戻るとか、多忙な時には風呂に入り夕食を家で済ませるとまた社に戻ったりしていたのを、当時小中学生の容子は覚えていたからだ。


車で10分ならば、朝もそれ程早く起きなくても済むのは身体も精神的にも修司の負担が減るのはありがたく思うのだった。




新居に移って10日ばかり過ぎた頃、呪いのカードを送りつけていた人物が判明した。


その人物は横田美咲という修司の勤め先の女性だった。


なぜこの呪いのカードを真似できたかと言うと、多忙で席を立った修司の机に起きっぱなしになっていた携帯電話から画像データを盗み見ていたからだ。


容子の過去のストーカーの件を知らない彼女は、それが何の画像かを理解もせずに、ただ面白そうだから修司の妻をからかってやろうという意図からやったという。


横田は異動でやって来る八神は独身だと社内での噂を聞きつけ、赴任早々に修司にアタックした。

だが、申し訳ないが自分は既婚なのでと速攻で修司に断わられてしまった。

横田は自分が『社内のマドンナ』というプライドを強く持っており、そのマドンナである自分を振るなんてと、プライドを傷つけられたことを根に持っていた。


それからすぐに横田は新たなターゲット、ハイスペックなイケメンをゲットして修司にわざわざ紹介しに行った。

「私、この人と結婚するんです」というマウント、当てつけをするためだった。

しかし修司は意に介さず、社交辞令の笑みを浮かべて「それは、おめでとう」と平然としていたのが、また横田の癪にさわったらしい。


どうして悔しがらないのよと。


駅のホームで容子を押したのも、この日たまたま修司と睦まじく昼食を取る容子を見かけて、それで許せなくなったからだと自供した。


修司は横田の誘いを断ったことと、なぜかわからないが彼氏を紹介されたことは覚えていたが、直接業務に関係ない部署の彼女のことは関心もなくすっかり忘れ去っていたのだった。


横田は美人であるにはあったが、バッチリメイクで強い香水臭を漂わせ、強気で傲慢そうな彼女は修司の好みでは全くなく、新婚で尚且つ容子にゾッコンな修司が靡くわけがなかった。


アタックするにしても、相手が独身か既婚か、フリーかどうかをちゃんと確かめてから行動に移せば自分が恥をかかずに済むものだ。

噂だけを鵜呑みにしてそれを怠った本人のせいでしかないのに、それを度外視して敵意や悪意を向けてくるなど理解に苦しむ。


それになぜ俺が横田の彼氏に嫉妬するなんて思うのだろうか?


その思考回路が全く理解できない。


容子につきまとっていたアイツ同様に自己愛が強すぎる輩は本当に危険だと思い知った。


それにしても女は怖いと修司は慄いた。


修司は自分の携帯電話などを覗く女がよもやいるなど思っても見なかった。

業務に追われていたとはいえ、会議に出ている間、迂闊に机に携帯を置いて席を立ったことを心底悔やんだ。


容子は修司の携帯電話を覗くことなどまずしないし、修司自身も容子の携帯を勝手に見るようなことはしない。

付き合っているとかならばともかく、赤の他人の携帯を隙あらば覗く、そんな人種がいるとは信じ難いものがあった。


修司の元彼女は、修司の携帯を内緒でチェックしていたが、別段見られて困るようなものがなかったので問題はなかった。


世間一般では容子や修司のようなタイプの方が少数派であることを修司は痛感した。

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