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検査入院と孤独な夜5

ありふれた人生を過ごすだけが・・・

意識が戻らないわたしに、駆けつけた彼女は

 わたしが、気が付くと看護師さんがICUに運ばれて、一昼夜意識が無かったと聞く。

何かチューブやら点滴やらで、繋がれている。


様子を見て、変わりがないようなら部屋に戻れるそうだ。

夕方、担当の先生から許可が出たので、直ぐに戻りたいと伝える。

次の検査まで、酸素チューブを器官へ入れておくか、鼻の下にチューブを、固定して置くかマスクでもいいが、付けない選択はなかった。

また、食事もこのままチューブから流動食を、取ってもいいと言われた。


結果、わたしは「酸素を、鼻の下にチューブで固定して、食事は普通に取りたいと答えた。」

(出来るだけ、自分で食べないと味を感じないのもストレスになる。)

先生から「次の検査で、外さないといけないから、今回は選択する事ができたんだよ。」と言われて、「追加で、ちょっとした検査をしたい。歩いたり、台に上がったり降りたりするだけだから。」と聞いたので、「分かりました。」と答える。


翌日中は、安静に寝るだけだったが。

『ガラガラ』と部屋へ彼女が入っきた。

早足で、近づくと私の胸に手を置くとそのまま、顔を埋めながら泣き出した。

わたしは、緊急の連絡を受けたのだと悟った。

彼女の頭を撫でながら、「もう、大丈夫みたいだよ。こっちに、戻ってきたし。」(嗚呼、駄目だな僕は。彼女からまた笑顔を奪ってしまった。)

私は、彼女の肩より少し長いストレートの髪が好きだ。

わたしは、彼女の髪をずっと撫で指でかき分けながら、黙って見つめていた。


しばらくして、落ち着いた彼女は、目尻を赤く腫らして私の手を握り締めると、ゆっくりとキスを交わす。

「心配ばかりさせて、ごめん。」

謝る事しかできなかった。


それから殆ど言葉をかわすこと無く時間が過ぎていく。

彼女の帰り際に、看護師さんから動けそうなら、明日に検査をすると教えられた。


眠れぬ夜が、またやって来た。

日とともに心まで沈んでいく。

「ははっ、何やってるんだろう。」

自分に、言っても返ってくる言葉がある訳もなく。

朝が来るまで、眠れることは無かった。



読んで頂き、ありがとうございます。


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