ゲームの中
光が晴れた。
周りにはレンガの建物と噴水そして地面は石畳、ここは
「文化保存センターで見た街並みだ!」
ライクが住むコロニー27は、歴史的な街並みが保存されているコロニーだ。
そのため、学生の時には必ず見学に行っている。
だからライクはファンタジー作品の街並みではなく
こちらを思い出したのだ。
<チュートリアル>
・冒険者ギルドに行き登録しよう
・戦闘訓練を受けよう
・教会に行こう
・神父の話を受けよう
・生産者ギルドに行き登録しよう
・生産の仕方を習おう
報酬1000ゴールド
急にチュートリアルが出てきた。
「チュートリアルか、助かるな。」
「それに1000ゴールドが貰えるのか。」
「まあタダで貰えるなら貰っておくかー」
「はいを選択っと」
この時、ライクはある違和感に気づかなかった。
空中に矢印が出る。
矢印通りに進めば冒険者ギルドに辿り着けそうだ。
「それにしても、このゲームは初心者に優しいな。」
ライクは歩いて数分経つ頃に冒険者ギルドに着いた。
建物の屋根には「ウッドベル冒険者ギルド」とデカデカと書かれていた。この街の名前はウッドベルというらしい。
「ここが冒険者ギルドか、やはり酒場併設型のギルドかな?それともこぢんまりしたギルドか、どちらにせよ楽しみなのには違いない。ということで、突撃〜!」
バン、と音を立てて扉が開いた。
ギルドの中は酒場はないが、奥行きのある建物だった。
階段もあり、どうやらこのギルドは相当大きなギルドだろう。ライクが冒険者ギルドの中を見ていると登録所が目に入った。登録所のカウンターは1台しかなくライクは
(これじゃプレイヤーの行列ができるんじゃないか?)
そう思い、そこで違和感に気付いた。そう、
「冒険者ギルドに来るまでに、他のプレイヤーを見かけていない!?」
ライクの心の中で様々なことを考えた。
(まさか自分はゲームの中に閉じ込められたのか?
それとも、このゲームに不備があったのか?)
だが、こんなことを考えても仕方がないと思い、
登録所に向かった。そこには受付の人がいて聞いてきた。
「冒険者ギルドに登録でしょうか?」
「はい。そうです」
「では、この魔道具の上に手をおいてください。」
言われるがまま、魔道具の上に手をおいた。
「これで登録は完了です。
では、冒険者ギルドの説明をさせていただきます。
まず冒険者のランクはG〜Sまであります。
ライク様は当然Gランクです。ランクの上げ方は
依頼の達成数か特殊な依頼をクリアすることによって上がります。依頼の受付は依頼ボードにて受けられます。
依頼を達成したら、依頼カウンターにて達成を報告してください。その他にも買取カウンターなどがあります。
これで冒険者ギルドの説明は終わりです。」
<冒険者ギルドに行き登録しよう達成!>
急に達成と出てきた。
「次は訓練場に行ってください。この奥が訓練場です。」
「では、頑張ってください。」
まだ説明が続くと思ったが、あっさり終わった。
「よし!説明が思ったより早く終わったな。次で2つ目、チュートリアルなんてすぐ終わらせて冒険に出てやる!」
ライクは扉を開けた。建物の外、どうやら裏庭が訓練場のようだ。
厳ついオッサンに話しかけられた。
「お前さんか、戦闘訓練を受けに来たのは。
俺の名前はザイルよろしくな!」
「はい、よろしくお願いします。」
「では訓練を始めていくが軽く訓練するか、ガチの訓練
をするかどちらがいい?」
(この選択肢、軽く訓練したら時間がかからずに済むが
訓練の成果はそこまでではなくなる。
ガチの訓練は、時間がかかるが訓練の成果がよく出るのだろう。だったら選択肢は1つ、)
「ガチの訓練、いや本気の訓練をお願いしますっ!」
( 俺は暇人、時間はいくらでもある。この訓練で他のプレイヤーと差をつけてやる!)
「ガハハハハっ、この俺に本気で訓練してくれなんて言う奴始めてだ!わかった本気の訓練をしよう。」
「お願いします!」
「では最初に魔法使いにとって大事なことをする。こっちに来い。」
「はい!」
(でもなぜ近づかないといけないんだ?異世界物によくある魔力を感じるという奴か?)
「じゃあするぞ!」
そこにはザイルが拳を握り締め溜めるようにしていた。
「ちょまっ..........」
バン、と音が鳴る。
「ん?気絶しちまったか。」
「まあほっといたら起きるだろ。」
..............
........
..
「ん....俺は?......そうだ!気絶したんだ!」
<気絶耐性のスキルがアンロックされました>
「始めてのスキルアンロックが気絶耐性だなんて嫌すぎる。」
そう言った時横から声が聞こえた。
「おう、起きたか!」
「ザイルさん、なぜ殴ったんですか!」
「本気の訓練だろう、魔力を纏ってお前を殴ったことで
魔力が感じやすくなったろ。」
「確かに体の中に何かあります。これが魔力ですか?」
「ああ、それが魔力だ。どの生物にも魔力があってそれを通す魔力回路がある。俺がしたのは、拳に魔力を纏ってお前の魔力回路に魔力を流したんだ。」
「でも、殴ることはないでしょう!」
「そう怒るな、今からお前に魔力を流す。」
そう言われ手を握られた。
<魔力効率アップのスキルがアンロックされました>
「分かったか、俺はお前の容量を超えた魔力を流した。
だからスキルがアンロックされたんだ。」
「このスキルは魔法を発動させるまでの時間が短くなる。消費MPが少ない魔法では意味がないが、いつか役に立つ。だからレベルアップしたらすぐに取れ。わかったか?」
「はい、ありがとうございます。」
(まあ殴ってきたのは許さないが。)
「強くなったらぜったい殴る!」
「なんか言ったか?まあいいか、では次の訓練だ。
この杖を持ってとにかく魔法を撃て。そしたらスキルレベルが上がるはずだ。では始め!」
そう言われ、ライクは自分が使える魔法を確認する。
ライクが使える魔法は、水魔法の[ウォーターボール]と風魔法の[ウインドボール]だ。どちらも消費MPは5、ライクのMPは120なので合計24発撃てる。
「おい、何考えてんだ早くやれ!」
「はい![ウォーターボール][ウインドボール][ウォーターボール][ウインドボール]......................MP無くなりました!」
(思ったより簡単に終わったぞ、これで次に行けるっ!)
「どこにいくんだ?MPポーションはまだまだあるからガンガン行くぞ!」
(まだやらないといけないのかよ。)
ライクは早く終わらせるためにMPポーションを飲んだ。
「オエッ、苦すぎ!」
苦い味が口の中に広がる。
「ザイルさん、苦くないのないですか!?」
「ない!」
「ほれ飲め!」
「無理やり突っ込むのはやめ......」
ザイルに無理やりMPポーションを口に突っ込まれる。MPは回復した。だが、口の中は苦みでいっぱいになった。
「また魔法を撃て!」
(自分が飲まないからって気楽にいいやがって。あのクソ教官め!)
同じことを繰り返すこと30分、魔法のレベルが上がった。
<水魔法がレベルアップ!Lv.1→2>
<風魔法がレベルアップ!Lv.1→2>
「よし!これでレベルアップしたな、訓練は終了だ!
これを持っていけ!」
そう言って杖とナイフを渡された。
初心者の杖
・初心者魔法使いが使う杖。
[増加ステータス]
・MP+5
・INT+2
解体用ナイフ
・倒した敵に刺すことで、素材を得ることができる。
「これ貰っていいんですか?」
「ああ、戦闘訓練を終えた奴にはギルドから初心者用
武器と解説用ナイフを渡しているからな。」
「じゃあ貰いますね。」
「おう、では次に行っていいぞ。」
「ありがとうございました。」
扉を開け、ギルドを出た。
<戦闘訓練を受けよう達成!>
「やったぜ!これであのクソ教官とはおさらばだ!早く次の所に行くぞ!」
次の行き先は教会、矢印は噴水の方向に向かっている。どうやら噴水の近くにあるようだ。
「これなら先に教会に行っていた方が良かったんじゃなか?」
そう言いながら歩いていると、教会に着いたようだ。
「これが教会、思ったより大きいな。まあ入るか。」
<教会に行こう達成!>
扉を開け、中に入ると白い服の人に話しかけられた。
「ようこそお越しくださいました。」
「貴方は?」
「私はこの教会で神父をしているカチャルと申します。」
「貴方はここに来るまで、何か違和感がなかったですか?」
「!? そう言えば他のプレイヤーがいないように感じました。」
(あのクソ教官のせいで完全に忘れてた。)
「そうです。他のプレイヤーの皆様は創造神様の加護によって見えないようになっています。」
「何故そんなことを?」
「理由は、まだプレイヤーの皆様はこの世界に来たばかりなので、他の者に惑わされないようにという配慮だったのですが、不安にさせてしまっているということで、
神のお告げで私達はプレイヤーの皆様に、他のプレイヤーの皆様が見えないようになっているとお伝えしているのです。」
「そういうことですか。ならチュートリアルが終われば他のプレイヤーが見えるようになるんですね。」
「はい、その通りです。」
「では、お伝えしたので簡単にこの世界の説明をさせていただきます。まずは神についてです。この世界で一番位が高いのは創造神様です。創造神様はこの世界を創り他の神々も生み出しました。その次は元素神、平等神、魔法神、戦神、生命神様です。元素神様は4大元素を纏めた神で、その配下に炎の守護天使、水の守護天使、風の守護天使、土の守護天使様がいます。平等神様はその名の通り誰にでも平等に祝福してくれます。魔法神様は魔法の神であり魔法使いに良く信仰されています。戦神様は戦いを好み『強き者は強き者と戦いさらに強くなれ』が戦神様を信仰する者達のモットーです。生命神様は生命を司り治癒魔法は、生命神様が授けて下さいました。これで神々の説明は終わりです。」
「ありがとうございました。」
「次はこの国についてです。この国の名前はランドルア王国と言います。そしてこの街はウッドベルと言う名前です。他の街もありますが、それは自分で調べて下さい。
決して説明が面倒だった訳ではないですよ。」
(この神父、絶対面倒くさかったからだろ。)
「説明ありがとうございます。これで終わりですか?」
「はい、終わりです。もう行ってよろしいですよ。」
「では。」
ライクは教会を出る。
<神父の話を受けよう達成!>
「よしっ!これであと2つ、すぐに終わらせてやるぞ!」
また矢印が出ている。
「もう歩かねえ、走ってすぐについてやる!」
ライクは全力で走った。
.........
......
...
「よし!着いた!」
<走り効率アップのスキルがアンロックされました>
「ラッキー、意図せずスキルがアンロックできた。」
「じゃ、入るか。」
ライクは中に入って、登録をしに行った。
「生産者ギルドに登録ですか?」
「はい。」
「では、この魔道具の上に手をおいてください。」
ライクは手をおいた。
<生産者ギルドに行き登録しよう達成!>
「これで登録は完了です。では生産者ギルドの説明をさせていただきます。生産者ギルドは生産者が作った物を売る、いわば仲介人です。では奥の扉に行ってください。」
「説明はこれで終わりですか?」
「はい。」
(思ったより早く終わったな。だが、またあのクソ教官
みたいな奴がいるんじゃないか?いや生産の仕方を教えてもらうだけだ。そんな怖がることはないだろう。)
「よし、入るか。」
...........
.......
...
<生産の仕方を習おう達成!>
「お婆さんめちゃくちゃ優しかったな。MPがなくなった時、ハチミツを混ぜたMPポーションを飲ませてくれて、さらに本を貰ったしな。」
初心者用魔道具解説書
・基本の魔道具の仕組みが書かれた本
「ここまで優しくしてくれるなんて、あのクソ教官とは大違いだ。」
<チュートリアル達成!>
[達成報酬1000ゴールド獲得]
「やっと終わったぁ〜。もう疲れた、宿屋に行ってログアウトしよう。」
ライクは100ゴールド払ってログアウトした。
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NEW!
アンロック
・気絶耐性のスキルアンロック
・走り効率アップのスキルアンロック
・魔力効率アップのスキルアンロック
Lv.UP
・風魔法Lv.1→2
・水魔法Lv.1→2
__________________________
ステータス
ライク
種族 ヒューマン
職業 魔法使いLV.1
サブ 魔道具師LV.1
HP80
MP120+(5) NEW!
STR8
VIT8+(2)
INT21+(2) NEW!
MND12
DEX10
AGI8
LUK10
スキル
[魔法系]
・水魔法Lv.2 NEW!
・風魔法Lv.2 NEW!
[生産系]
・魔道具作成Lv.1
[補助系]
消費MP軽減Lv.1
アンロック済みスキル
・気絶耐性 NEW!
・走り効率アップ NEW!
・魔力効率アップ NEW!
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装備品
・初心者の杖 NEW!
・旅人の服
・旅人のズボン
・旅人の靴
所持金900ゴールド
プレイヤーが出現する街はランダムで決まっており、
ライクはウッドベルに出現しました。なので他のプレイヤーに会うことは中々ありません。