プロローグ
全体的に書き直しているので暫く更新しません。改めて投稿し直すかもしれないのでよろしくお願いします。
僕が海外に初めて行ったのは四年前だ。
場所はアメリカ。
行くきっかけは仕事の都合で海外を転々としている両親が現在滞在中ということで、暇が出来たから遊びに来い、と適当な理由で誘われたからである。住所不定のそちらがこっちに帰って来るのが普通だろうと思うところだが、外国にはそれなりに興味があったし、何年も会ってない両親の顔も見ておきたかった。
ちょうど中学校の入学式を控えた春休み期間中ということもあって、行く決断は早かった。
そして両親と再会の当日。
着いた空港で僕は唖然とした。
到着した場所はニューヨークにある元大統領の名前が入った国際空港だ。日本の成田空港もそれなりに広かったが、ここはそれの何倍の規模もあった。九つもターミナルがあり、それぞれ様々な国へ向かう者や僕のようにやってくる者を乗せた飛行機が飛び交っていた。
唯でさえ初めての海外旅行で緊張していた僕は戸惑った。両親との待ち合わせも空港ということになっているが、その待ち合わせ場所が空港の出入口、とアバウトに伝えられただけだ。簡単に言うもんだから、着けばすぐ判るようなところだと思っていたのに、出入口なんて腐るほどあるじゃないか。
「心配し過ぎじゃない? 父さんも母さんもバカじゃないんだからすぐに見つかるって」
僕が現在の状況に悶々としていると同行者が軽くそう言った。
「そんなことよりさ、折角こんな場所に来れたんだから色々見て回ろう! もしかしたらその途中で二人に会えるかもしれないよ」
そう言って僕の手を引っ張って駆け出す。いきなりの行動に僕は躓きそうになる。
「ちょ、危ないって! 誰かにぶつかったらどうするんだ!?」
「大丈夫だって、気をつけてるから。ほっんと、春幸は心配性だなぁ」
お前がポジティブ過ぎなんだよ、と突っ込むと柔らかい表情で微笑んで僕を自分の腕に引き寄せてきた。
「じゃあ、ハルが私をエスコートして。これなら安心でしょ?」
心底楽しそうに秋菜は呟いた。
目の前の少女の名前は永峰秋菜。僕の姉だ。
サラリと肩まで伸ばした茶色の髪に、身長は僕より少し低い。年齢は僕と同じだが、双子というわけではない。僕らは血が繋がっていないのだ。なので誕生日が少し早い彼女が姉ということになっている。血が繋がっていないのは両親も同じ。僕も秋菜も今の両親に拾われた孤児。それでも、本当の家族以上に仲が良いと僕は思っている。
僕も秋菜につられて笑顔になる。秋菜の姿を見ていると僕の悩みなんて本当に小さなことだと錯覚させられてしまう。
「ほらほらっ! あそこ行ってみようよ!」
「わ、わかったからそんな慌てるなって」
旅行鞄を通行人にぶつけないように気をつけながら秋菜に注意を呼びかける。エスコートしろとか言っておいて結局自分が引っ張ってるし。
「えへへ」
秋菜から絶えない笑顔。
初めての海外旅行に久々の両親の再会。
これからもっと楽しいことが始まると思っていた。家族全員が笑って過ごせる時間が出来るのだと信じていた。
――――――その日、僕らのいた空港は跡形も無く吹き飛んだ。
読んでくださってありがとうございます。
ファンタジー&ロボット系の小説ですが、作者は絵が全く描けないので挿絵はありません。
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