表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君の物語は終わったので迎えに行きます

作者: もくもく人形


 僕は魔法使い。



 ーーーの魔法使い。



 もうすぐ彼女のーーが終わる。


 

 そうしたら僕はここから出て彼女を迎えに行く。



 彼女は僕に約束をしたから。



 僕は彼女に約束をしたから。


 

 



 ――――――――――――――――――――――

 




 私の名前はサユリーナ・キュロライン。

 

 

 


 公爵家の長女であり、この国の王子の婚約者である。



 王子の名前はケイオス・オリジニア。


 容姿端麗で文武両道。この方が国王になれば国も安泰と言われている。



 しかし私はどうだろう。

 

 私は公爵家として恥じないように努力してきた。


 礼儀作法、算術や話術、歴史にほかの貴族の交友関係。


 どれもこれも二流と言われ笑われている。


 次期国王を支えるとしては不充分。たったそれだけの理由で蔑まれる。


 しかし私はそれでも挫けない。


 こうなることは昔からわかっていたから。


 たとえそれが変えられない物語の終わりに近づいてたとしても。




 僕の名前はケイオス・オリジニア。

 

 僕はこの国の次期国王として日頃から努力を惜しまない。


 臣下や民を安心させるために努力の成果を出し続けている。


 しかし、皆に隠していることがひとつある。


 それは自分が魔法を使えること。


 今の世の中では魔法使いは重宝される。


 王が魔法を使える国は栄える。


 今の時点でも厚い信頼を寄せているが、魔法を使えるとなれば皆は更に歓喜するであろう。


 だがまだその時では無い。彼女との約束があるから。


 


 

  

 私とケイオス王子は魔法学院に通っている。


 ここで私は王子に婚約破棄され両親に国外に追放される。


 私はそれを知っている。昔から知っていた。


 私は公爵家に生まれた時から前世の記憶を持っていた。


 ここはとある乙女ゲームの世界。


 私はヒロインに王子を取られる役。


 ヒロインは容姿端麗、文武両道。欠点があるとしたら家の格が低いこと。彼女は男爵令嬢。


 しかし彼女は魔法が使えた。


 王子は魔法が使えるヒロインを見て、この国のために彼女と結ばれる。

 

 魔法使いは王子と結婚できるほどに希少で特別なのだ。



 しかし彼はヒロインが魔法を使えると知る前から好いていた。


 

 幼い頃に出会い、惹かれて、からなず迎えに行くと約束をしていた。


 そう言って私を捨てるのだ。



 私のいないところで結婚する。


 そこで作品は終わる。

 


 私はそれを待つだけ。



 ―――――――――――――――――――――――



 

 

 これはどういう事だろう。

 

 これは私の知ってる物語ではない。


 なぜ彼女は泣いていて、なぜ私は数人の男から睨まれているのだろう。


 まるで別の作品の『悪役令嬢』になった気分だ。


 私にヒロインをいじめた記憶もないし泣かれて、睨まれるようなことをした記憶もない。


 彼女は自分が魔法使いと分かった途端に変わってしまった。


 とても悪い方に。


 「お前がここまで愚かだとは思わなかった」


 

 優しく、申し訳なさそうに別れを告げる王子の姿はどこにも無く。怒りを隠しきれないその姿は私の知っている彼ではなかった。



 「貴重な魔法使いをいじめて暗殺しようとした罪は重いぞ」

 


 「まっっ、」



 「魔法使いを傷つけた場合や殺害した場合、もしくは殺害未遂の場合、その犯罪人はその場にいる貴族や王族がかわりに処刑しても良い。この法がわかるな」


 「私はなにも!」


 「今ここで僕が君の首を落とす。」



 あぁ、最悪だ。

 

 こんなはずではなかった。


 本来であれば私は謝罪され家に帰り、そこで追放されいた。


 いろんな国を見て、いろんな街を見て、いろんな人と出会って、


 ほかの国で喫茶店でも開こうと思っていたのに。



 ごめんね、




 私、行けそうにないや。






 迫ってきた彼が抜刀する。


 覚悟はできた。


 目を瞑り、首を差し出す。


 


 しかし、いつまで待っても何も起こらない。



 「やぁ、気になって見てたんだけど、君の話しとだいぶ違うから迎えに来たよ」


 時代遅れなローブにつつまれた同い年ぐらいの男の人。


 私は彼を知っていた。


 作品には出てない謎の人。

 

 私の最初の友達。


 私の初恋の人。



 「誰だ!」




 

 「僕は魔法使い。

   孤独だった最初の魔法使い。

   

  彼女との約束を果たしにきた。

   彼女の物語が終わる時、彼女を新しい物語へ連れて行く。

  

  僕を救ってくれたあなたと世界を見る旅に出るために」



 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ