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野良猫は空を見上げる

作者: 月之木ゆう

フリーBGM "野良猫は宇宙を目指した" by しゃろう様

https://youtu.be/aYKOc3-HOhg

この曲を聞いていて、無性に書きたくなったSSです。


是非聞きながら読んでみてください!

 俺の名はゴン太。

 元野良猫だ。


 別にそう名乗った覚えはねえが、あの婆さんはいつも俺のことをそう呼ぶんだ。

 「ゴン太、おいで。ご飯だよ」ってな。


 婆さんとは長い付き合いだ。

 いつも昼飯をくれて、撫でてくれるんだよな。あれがまた気持ちいいんだ。

 それに話もするんだ。短い会話のやり取りだが、婆さんの悩みを聞いてやったり、たまに俺の話もするんだ。

 いや、もう違うな。


 婆さん、死んじまったからな。



 そんな俺はいま、温かい家の中で窓から見える雲を眺めてる。

 婆さんが死ぬ間際に俺のことを家族に話してくれたらしい。

 最初は保健所って所に運ばれそうになったが、ネコ好きの集まり「えぬぴーおー」とか言っていたか?

 そいつらの世話になって、巡り巡って結局婆さんの孫の世話になってるんだ。


 不思議な縁だよな。

 いまじゃおれも立派な飼い猫だぜ?


 ゴミ収集場の脇で生まれて、あいつとの間にできたガキの一匹も生かしてやれなかった俺がまさか、こんな良い暮らしできるなんてな。

 あいつにも見せてやりたかったぜ。



 いつも婆さんと話していたんだよな。

 あいつの分も、いつかおれは立派な飼い猫になって、良い暮らしをしてみせるって。

 それを言うといつも婆さんは、俺の名前を呼んで喉の下を撫でるんだ。


 分かってるって顔してさ。



 なあ、婆さん。

 ゴミにまみれて生まれた俺がこんな良い家に住めたんだ。

 いつかあの雲の上にだって住めるかも知れねえよな。

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― 新着の感想 ―
[一言] ゴン太の語り口調が味が出ていてよかったです。 最後の表現がとても素敵だなと思いました。
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