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第九話 転勤

デパートへ行く道中、朝からずっとウキウキしている小波 唯に琢磨は尋ねた


「そもそもデパートに用事って、何か欲しいものでもあるの?」


「はい! 最近新しい化粧品が出たんです! 」


「ああそっか、俺たちの高校化粧OKだったっけ」


「そうだよ鈴木君、みんな思いを馳せる人の為に頑張ってるの」


「そ、そんな訴えかけるような目をされても先輩......」


「えーいいな、私のところは化粧NGだよ」


「海人先輩はあざとい癖に綺麗ですからね、必要ないですもんね! 」


「うーん、小波ちゃんも結構あざといと思うけど......」


「あなたは美人で肌もきめ細かくてそこそこおしゃれだから化粧は必要ないってそう言いたいの海人ちゃん? 」


「えーとイカさん、岡野先輩って本当に天然? 」


「あ、ああそうだと思うけど......多分」


道中で岡野 華のファッション天然説が上がってきたが、無事に目的地のデパートまでついた。

着くや否や唯は一階にある化粧品コーナーへ、華は、三階にあるゲーム売り場へ一目散にかけて行った。

呆気にとられてる春佳に「いつもこうだから」と琢磨は苦笑した。

取り残された琢磨と春佳は、五階にあるカフェで時間を潰すことにした。


「いつもこうって、何回か一緒にきてるの? 」


「まあ、半ば強引に何回かね」


「......へえ」


春佳は少し不貞腐れた顔で、髪を手でクルクルとしながら答えた


「な、なに」


それに対して琢磨は怯えた小鹿の様になりがら疑問を投げかけたが


「別になんでも、それより一昨Tmitterで言った話のことなんだけど」


春佳は答えをはぐらかし、木曜の夜に言っていた伝えたい事について論点を切り替えた。


「あ、ああ話があるってやつか」


「うん、いきなりでごめんね」


「いやいいよ全然、親友だしな」


「...それで、実は私さ......」


琢磨の言葉に顔を歪ました後、春佳は何か考える様に目線をテーブルの上にあるアイスティーに落とし、ガラスの中にある氷をカランと音をたてて鳴らした。

しばらくしてから何かを決意したように再び琢磨の顔の方に目線をやった。


「えっ......」


その時の琢磨の顔は紅潮していて、心臓の音が周りに聞こえてしまうんではないかと思うほど、

心拍数は上がっていた。


「私、お父さんの転勤で引っ越すの、高校も転学。それで......」


「......引っ越す?どこに? 」


琢磨の顔がみるみる青ざめていく


「話聞いてイカさん、それでね」


それでも構わずに話を続ける春佳


「いやだってせっかくこうしてリアルで仲良く......」


春佳の話を聞かずに琢磨が駄々こねようとした矢先、彼女の次の発言で彼は言葉を失った。


「イカさんの近所に住むことになったの、高校も一緒」


いつの間にかガラスの中にあった氷は、アイスティーと一体になっていた。







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