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転生しても受難の日々  作者: 流星明
邪神と聖女との出会い
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第61話 魔女、宵闇の騎士対聖女

お待たせしました。

くそ! 妨害魔法がかけられていて脱出すら出来やしない。テレポートも攻撃魔法も使えないしな。これは長期戦も覚悟しないと駄目かもしれん。いくらマヤ達といえど、この場所は分からないだろうし。


まずいな、発見が遅れれば遅れる程に聖都が火の海と化すリスクが上がっちまう。せめて、連絡手段があれば‥‥。


「ドアは頑丈な鍵がかかってるし、どうしたものかな? 盗賊系のスキルとっとくべき‥‥うわっ!」


部屋の中に光が2つ現れ、人の姿へと収束していく。う、嘘だろ? 妨害魔法かかってるのにテレポートで来れるなんて。くっ、喜びのあまり目に涙が‥‥。


「師匠、アヤメ! 助けに来てくれて、本当にありがとう!!」


「ユウキ、良かった! 無事だったのね、安心したわ。もう、1人で聖女の所に行くなんて軽率よ!!」


師匠が抱きついてきたのを俺は受け止める。温かいな、師匠は。優しく髪を撫でながら、彼女の唇にキスをする。驚いた師匠だったが、俺を受け入れてくれた。いつもより長いキスをしていると咳払いが聞こえる。


「こほん! 2人ともそんな事をしている場合ではありませんよ? 早く脱出しなければ」


呆れと怒りが混ざったアヤメの発言に俺と師匠は慌てて離れる。師匠は顔が真っ赤、アヤメは少しむくれている。いかん、ついやり過ぎてしまった。


「そ、そうだな。すぐに脱出するとしよう。師匠、テレポートは使える?」


「無理そうね。ここにはアルゼナ様の力で来れたの。妨害魔法は効いているから、まずは外に出ないと」


アルゼナの奴、謹慎期間は終わったのか。普段はやらかす事が多いが、今回の件は感謝しよう。いつも、トラブルばっかり持ってくるからな。まあ、地球の神々も似たような感じだから、あまり強くは言えないけど。


「となれば、このドアを壊して出るのが良いみたいですね。それでは脱出しますよ。準備はいいですか?」


「待って、アヤメ。助けに来てくれてありがとう」


そう言って、俺はアヤメの唇に軽くキスをする。すぐに応じて合わせるアヤメ。って、アヤメさん! 強すぎ、吸う力が強すぎですから!!


「ぷはっ。ご主人様、ありがとうございます。アヤメはとても幸せです。そこにいる聖女にも見せつけられましたし。ねえ、ねえ、聖女様。結婚相手の候補が、他の女達と濃厚なキスをしているの見ましたよね。今、どんなお気持ち?」


ドアは開いていたらしく、聖女とお付きの騎士や侍女がこちらを見ていた。は、恥ずかしい、なんの羞恥プレイだよ。って、やべえ聖女マジギレしてる! アヤメさん、挑発効きすぎたぞ!!


「ひ、人の屋敷に勝手に入ってきて、破廉恥な振る舞いしやがってええ!! 許さねえ、2人まとめ‥‥ひぃ!」


聖女が怯えた目で見ている先をたどれば、師匠が強烈な殺気をこめた目でにらみつけていた。あっ、お付きの女の子の腰が砕けた。‥‥うむ、それ以上の描写は彼女の名誉が傷つくから止める。聖女付きになったのが不幸だったよな。


「フタリマトメテ、ナアニセイジョサマ?」


し、師匠!! まさかの暴走モード突入ですか!? 強大な魔力が部屋全体を覆い、妨害魔法を一瞬で解除した。更にガラスは砕け、強烈な風が部屋の中を吹き飛ばす。


「う、嘘だろ! 僕の妨害魔法が簡単に解除されるなんて。アイラ=ファルディスにこんな力があるはずない!」


「こ、これがアイラさんの本気! 魔力に闇の力が多く含まれていますね。さすが、オードルが狙っただけの事がある器の持ち主です。おや、アイラさんの様子がおかしい?」


闇の魔力が師匠を包み、体に吸収されていく。それに合わせ、神孔雀のローブの色彩が黒く染まり、師匠の杖が竜の牙のような形状に変化。杖は赤く染まっていった。いったい何が起きているんだ!? 師匠を神眼で見てみるか。‥‥あれ、何か嫌なチャイムが鳴ったぞ。


『アイラ=ファルディス。時空魔法使いから大魔女にクラスアップ。杖はドラグーンロッドに、ローブは闇孔雀のローブに変化。火、風、闇魔法の使用が可能になりました。スキル、キャットマスター取得。魔力量及び魔法攻撃力上昇。ユウキ様、‥‥手綱はしっかり握ってね」


「おい、師匠を勝手に強くさせて後をぶん投げるんじゃない!!」


ちっ、そんな事を言ってる場合じゃないな。師匠、大丈夫か? 俺は荒れ狂う魔力の中を進み、師匠を抱き寄せる。俺の行動によってか、瞳の濁りが消えて普段の彼女へと戻っていく。早く正気に戻さないと聖都が滅びそうだし。


「‥‥はっ、ユウキ!? あ、あれ私どうしちゃったのかしら。魔力とかが格段に上がったんだけど。とりあえず退いてくれる? あの泥棒を処分しなきゃ」


師匠、正気には戻ったけど殺気が全く消えねえ!! さて、聖女はどうでる。


「ふ、ふん。少し強くなったからって、僕の聖女の衣は破れないぜ。アイラとアヤメだったか? 2人まとめてかかってきな!」


「ほう、なかなか気概はあるようです。いいでしょう、お相手しますよ」


「そのようですね。ならば私達も答えましょうか。聖女様、跡形も無く消してあげる!」


おい、おい! 聖女の奴、何て命知らずな。うーーん、確かに聖女の衣があると攻撃が通らないよな。あれ? またチャイムが鳴ったぞ、アルゼナからの追加情報って何だ?


『聖女の衣についての追記連絡。あれさあ、調べてみたけど無敵じゃないね。自分のランク以上の攻撃は、ダメージ半減に性能が落ちるみたい。ちなみに聖女のランクはSー、アヤメちゃんはS+、アイラちゃんは強くなってSになってる。つまり‥‥?』


‥‥聖女はこの事を知っているのだろうか。たぶん、知らないだろうなあ。そうじゃなきゃ、Sランク2人組を挑発しないだろうし。


「覚えた魔法、早速使ってみましょうか。ええと。地獄の業火よ、顕現し敵を討て! インフェルノ・フレイム?」


師匠、いきなり使うのはチャレンジャー過ぎませんかああ!! あっ、屋敷が熱で燃え始めた。火勢強いけど大丈夫か? 聖女のお付きは全力逃走、本人は聖女の衣に自信があるようで逃げてない。なんか展開が読めてきたな、後は彼女の命があるかどうか。


「だ、大丈夫。聖女の衣があれば攻撃は効かない。あれを受け流したら反撃し‥‥えっ?」


「隙がありすぎです、死ね!」


アヤメが双剣で聖女に襲いかかった。おっ、スキル自体は発動したな。後はダメージが、どの位通るかだ。聖女を斬りつけたアヤメはバックステップで下がって戻ってくる。相変わらず、俺の目には見えない速さだ。


「あ、危ねえな。そんな攻撃きか‥‥えっ!?」


「くっ、腕の1本しか斬れませんか。なかなか厄介なスキル持ちです。さて、花はアイラさんに持たせましょうか」


聖女の左腕が見事に斬られ、血しぶきがあがる。とたんに痛みが走ったのか、彼女は右手で必死に治療を開始した。驚いているのを見ると初めて貫通したようだ。まあ、聖女に攻撃する奴等なんて早々いないもんな。


「い、痛ええ!! くそっ、何でスキルが効かねえんだよ!? はっ、て事は‥‥」


「へえ、攻撃が通じるのね。聖女様、覚悟はよろしいかしら?」


師匠は絶対零度の視線を聖女に向け、今まさに炎を放とうとする。対する彼女は青ざめた表情をしながらも、必死に説得を始めた。


「ちょっ、待てよ。僕は聖女だぜ。こ、殺したら、帝国と戦争になるぞ。それでもいいのか?」


確かに、それはあるか。しかし、今回のもめ事の落としどころが難しい。どうしたものかと考えていると、師匠がそれはそれは恐ろしい笑みを浮かべた。まずい、確実に始末しようとしてるぞ。さらば、聖女よ。俺は君の事を忘れない。


「ふふふ、大丈夫よ。死体を完全に消滅させるし、目撃者全員始末するから。アヤメさん、いける?」


「ええ、問題ありませんよ。さっき逃げた輩を全員殺せば良いのでしょう。聖女を始末した後に向かいますね」


‥‥どっちが悪者か分からないな。まっ、俺も隠ぺい工作には加担しよう。インベントリ持ち2人が入れば死体も回収出来るしな。










次回、聖女の反撃と正義の女神登場。

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