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転生しても受難の日々  作者: 流星明
暇をもて余した神々の遊び
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第35話 贈り物と忠告

更新遅くなりましたが、お待たせしました。

「ふむ、実力もさる事ながら、精神面も悪くはないか。ユウキ=ファルディスよ、汝にこれを進呈しよう」


神帝様の手から光が現れ、それは杖の形に収束した。‥‥なんというか、ボロボロの木の杖にしか見えないんだが? 神眼スキルで見てみるか。えーー、何々。


『神仗オレルア。古の銘木トレリコで作られた杖。神帝アレクサンドの加護あり。6属性魔法及び召喚、時空魔法の威力と効果を2倍にする。回復持続魔法が備わっており、時間が経過すれば傷を癒す』


とんでもない代物だった!? まずいな、下手すると師匠とマヤに取られかねんぞ。しかし、神帝様は何故こんな凄い代物を俺に渡すのだろうか? 魔王を退治しろとか、厄介事の依頼とかしてきそうで怖い。


「うん? 理由ならあるぞ。最近、ラーナやオードルが好き放題に暴れておるのは知っていよう。わしが出て、こらしめれば良いが、それでは人々の為にならぬ。となれば、わしの加護を受けた人間に何とかしてもらおうと思っての」


確かに神帝様が何でもやったら、人間達が思考する事をしなくなりそうだな。皆が神帝様に従ってればどうでも良いなんて考え出したら、逆に怖いし。‥‥ですけどね!


「こちらの都合も考えてくれませんか!! うわあ、ますます重要人物扱いが強化されそうじゃないか。神帝様と接点を持つ人物って、そうはいないでしょうに」


考えられるのは、教皇だの大主教だのの宗教関係者か、世捨て人で隠居している賢者のような人達か。しかし、俺でなくても良くない? 異世界人の中にも眼鏡に叶う人はいるんじゃあ‥‥。


「‥‥宗教関係者の前に行くのは怖くて嫌じゃわい。想像してみい、むさい男連中が恍惚の表情でわしを見ているのだぞ? 女性陣も熱狂が過ぎる故に、近づきたくもないの。あと異世界人の中では、汝が最も理性に富んでいると見ておる。他の連中は力に振り回されがちじゃからな。強いて言えば、ミューズ改め、ミズキとユイは上手く扱っておる。マヤは魔力が不安定じゃから、くれぐれも気をつけるのじゃぞ」


買い被るのは止めてくれ! 俺の本来の望みは愛する女性と静かに暮らしたいだけなんだ!! もう、理想を求めるのは無理だが、せめて出来る限り厄介事に関わりたくないんだよ。


しかし、このままだと厄介事の方から来そうだな。まずは、師匠の問題だろ。マヤの離宮への引っ越しに、‥‥あとミズキをどうするかだな。まずい、どれも一筋縄ではいかないぞ。


「神帝様のおっしゃる事は分かりますが、俺も色々な問題を抱え込み過ぎて困っているのです。とても世界を見据えての行動は出来かね‥‥」


「汝が思うように動けば良い。己が愛する女性を守る事が、不思議と世界を動かすようじゃからな。力を得ねば、将来汝は後悔する事になる。学院での生活は実力と人脈を得るように行動せよ。まあ、何もせずとも人が近づいて来るだろうがな」


俺の言葉をさえぎって、神帝様は忠告と助言を与えてくれた。ありがたいけど、行動に移すとなると苦労しそうではある。何かを得れば、何かを失う。マヤ達のような素敵な女性達に巡り会ったんだ。彼女達を守る為なら、多少の苦労は背負わなければな。とはいえ、最近は多すぎる気もするが。


「‥‥はあ、分かりました。しかし、前世から苦労し通しなので精神面できついんですよ」


前世も酷かったが、今生も酷いからな。貧乏生活にホームレス、身内の修羅場に巻き込まれてからの暗黒教団騒動と立て続けだ。お祓いした方が良いレベルだよな。神帝様に頼んでみるか?


「何を弱音を吐いておるか! 今から更に大変になると言うにのう。汝は帝国の継承争いと幾つかの戦争に重要な立ち位置にて関わるのだ。上手く立ち回らないと簡単に死ぬぞ?」


「酷いねえ! 酷すぎますよね!! 俺は何か悪い事をしましたか!? 最近、運気が著しく下降気味なんですが」


俺の必死な訴えを聞いて、神帝様は首を横に降る。そして、静かに慈愛の目を向けるだけだった。あっ、これは駄目だ。彼ですら俺の運命は変えれないらしい。


「まあ、これも運が悪かったと諦めよ。あのアルゼナに目を付けられたのが運の尽きであったな。アルゼナに呼び出される者は、世に革新をもたらすか、とんでもない害悪を招くかのどちらか。ゆえに、ラーナやオードルも警戒しておるのだ。‥‥さて、そろそろ時間じゃな。ユウキ=ファルディスよ。わしの与えた杖を上手く使って、この乱世を生き延びてみるがよい。わしも汝を見守っておるぞ」


そう言って姿が薄くなり始めた神帝様は、あっという間に消えてしまった。えっ、これで夢は終わりなの? 目を覚ましたら、難題抱える現実と向き合わないといけないよな。ははははは‥‥。


「だあああ! 問題山積しすぎだろ!! とりあえず、まずは師匠の問題から片付けよう。マルシアス様と話し合う事になりそうだが、避けては通れん。次がユイとミズキで、最後がマヤかな。はあ、どう話をしたもんかなあ」


とりあえずの段取りを考える俺。しかし、この見通しが甘かった事を俺はすぐに知る事となってしまう。‥‥ユイとミズキによって。


次回、幕間。アルゼナと神帝の会話

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