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転生しても受難の日々  作者: 流星明
マイナスからのプラス?
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第26話 貯金よ、さらば!

お待たせしました。

「あら、先生。私が欲しいのはこちらにある天弧のローブですわ。何でも召喚魔法の消費魔力量を半減してくれるみたい。清らかな白が私に映えるでしょ、先生? お値段は金貨80枚だから、支払いよろしくね」


「私は神孔雀のローブだな。あらゆる魔法の攻撃を2割程軽減してくれるらしい。どうだ、似合っているかユウキ? 値段は金貨50枚だがよろしく頼む」


「ええ、2人とも良いですよ。マヤは髪の色と相まって神秘的な印象があるし、師匠は華麗なバラのように見えますからね。ははは‥‥」


遠慮も自重もあったもんじゃねえええ!! マヤと師匠の買い物だけで、金貨が200枚も飛んだぞ。あと金貨80枚しかないのに、ユイとミューズさんの分を買えるのか!? と、ここでユイさんが小声で話かけてきた。


「ユウキ兄ちゃん、私はこれね。ミスリル製の脇差しで金貨30枚だよ。‥‥そのう、お金は大丈夫かな?」


「いや、ユイはまだ手加減をしてくれてるから良い。マヤと師匠は1人で金貨100枚使ってるから頭が痛いよ」


「ふむ、やはりミューズ先輩の登場は2人の心に負担がかかったか。ユウキ兄ちゃんに構ってもらうべく、必死だから無下にしない方が良いよ。お金はまた稼げばいいんだから」


確かにマヤと師匠は、神様よりヤンデレって認定される程、俺に執着してるからな。自分の立場を脅かすミューズさんを警戒するのも無理はないか。ミューズさん、没落したとはいえ貴族令嬢だから正妻候補足り得ると考えてるのかもしれん。


しかし、ユイって本当に人の心が分かる娘だな。あんな両親を持てば仕方ないかもしれないが。さて3人決まったし、あとはミューズさんの分だな。ミューズさんを目で探すと、指輪が陳列している棚を熱心に見ていた。


「あっ、ご主人様。ラミアナーガになって、私は魔法が使えるようになったんです。槍を使うとなると杖は持てませんから、指輪を魔法の発現媒体に使おうと思いまして」


神眼で改めて見てみると、ミューズさん魔法適性が増えてる。水と土に闇か、魔力量もかなりあるから魔法戦士みたいな戦いかたが出来そう。となれば、指輪をどれにするかだが。‥‥これは良いかもな。ミューズさんに聞いてみよう。


「ミューズさん、これはどうだろう? ガーネットの宝石の輝きが綺麗だし、赤髪とのコントラストが悪くないと思うけど」


くそっ、女性を誉めるのは難しい。言葉巧みに口説けるスキルは俺には無いからな。かつての親友もとい怨敵は、そういった事はお手のものだった。ワンナイトラブなんてしょっちゅうしてたっけ。うん、思い出すのは止めようか。俺に対して行った所業で腹わた煮えくりかえるから。


「私はご主人様の見立てなら何でも良いですよ。プレゼントしてもらうだけでもありがたいのですから。えっと、指輪はこの指につけますね」


そう言って、笑顔で受け取ったミューズさんが付けたのは左手薬指だった。えっ、あっ、ちょっちょっと待って! 意味分かってやってるの!?


「「「そこはだめです、やめなさい!!!」」」


「えっ? 私はご主人様の僕ですから、当然ここに付けますけど。何か問題でも?」


怒る3人に首を軽くかしげながらも、ミューズさんは疑問を呈する。彼女は天然ボケ持ちなのか? そういえば、幼なじみもかなりの天然ボケで困った記憶がある。同級生や先生も苦労していたっけ。うーーん、ミューズさん見てると懐かしさと既視感があるな。


「「私達ですら左手薬指に指輪を付けるのを我慢してるのよ。新参のあなたが付けるなんて許せる訳ないでしょ!!」」


「‥‥ミューズさん。そこに付けるのは止めてくれるかな? さすがの私も心が穏やかになれないから」


ユイさん、先程までの余裕が消えてますやん。俺としては嬉しいがな。前世じゃ、左手薬指に付ける予定の人が親友と駆け落ちしたからね。女性が結婚指輪を付けてる所を見た事が無いのさ! ‥‥うっ、だめだ。にやついた俺の顔を見て、3人が殺気込みで俺をにらみつけてる。なんか嫌な予感がするぞ。


「ふーーん、ユウキ兄ちゃんは嬉しいんだ。そうなんだ、へええ。‥‥マルズさん、指輪を私達3人にも下さい。マヤに師匠さん、それにミューズ先輩。皆で右手の薬指に付けるよ。指輪の件、今後抜け駆けは一切無し。左手薬指は正式に結婚してから、分かった?」


「「はい、分かりました!」」


「??? えっ、でも‥‥」


マヤと師匠もユイの怒り全開オーラにビビって、首を何度も縦に動かす。対して、ここにきてもミューズさんは不満げな態度を見せる。すげえ、ユイの殺気受けてもブレないのはさすがだ。


「‥‥ミューズ先輩、分かったか?」


「ひ、ひぃ! わ、分かりました」


氷点下レベルの声を出したユイさん、刀を彼女の首筋に当てて脅迫。ミューズさんも命の危険を察知したのか、慌てて指輪を右手薬指に付けなおした。


「よろしい。さて、ユウキ兄ちゃん。すぐ支払いをすませてね。指輪4人分込みで、合計が金貨210枚だよ。まさか、ミューズさんだけに指輪を買うなんて言わないよね。‥‥言・わ・な・い・よ・ね!?」


ここでイエスと言わないと3人の心証が悪すぎる。何気ないミューズさんの行動が3人の焦りに火を付けたようだな。貯金は全て失いそうだが、ここで出し惜しみは無しか。


「はい! 皆さんの分を買わせて頂きます。マルズさん、お会計願います」


「‥‥お前、今から先は苦労しそうだな。尻に敷かれまくってるユウキに免じ、少しまけて金貨200枚にしてやる。くれぐれも浮気するんじゃねえぞ。お前らの夫婦喧嘩は帝都が火の海と化しそうだからな。うちの鍛冶屋まで燃やされたらたまらねえ」


なんで皆さん夫婦喧嘩に言及するんだろう。間違いなく被害甚大になるから分からなくはないけどな! これまで貯めてきた貯金が、たった1日で跡形もなく全て消えていった。ふっ、いいのさ。明日からまたお金を稼ぐから。うぅ、欲しかった杖があったんだよなあ。








次回、皇帝からの呼び出し。

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