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転生しても受難の日々  作者: 流星明
教え子2人との再会
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第13話 ユイの桁外れの強さ

ユイは言い争いをしている2人へと近づいていく。すげえ、師匠もマヤもまるで気づいてないな。歴史に名を残す剣豪達は、雪が舞い落ちる位の静けさで動くと聞いた事がある。気配を完全に絶って動くユイは、間違いなくそれに近い。


「皇女殿下と言えど、もはや我慢なりません。かくなる上は‥‥ぐっ!」


「えっ、えっ? 何、何なの。貴女は誰よ?」


「ごめんね、お師匠さん。時空魔法は相手にするの大変だからさ。あとで話をしようね。貴女の事は嫌いじゃないから」


軽い当て身一発で師匠を無力化に成功って、ユイさん強すぎじゃないですかね。そして、マヤは動揺を隠せずにいる。いきなり言い争いに割って入ってきて、無言で相手を倒されたら怖いよな。


「久しぶりだね、真矢。まったく、貴女は少しも変わらないな。先生に好意を抱く女性をことごとく排除していた前世と。まあ、私には通用しないけどね。‥‥また、無様に倒させられたいかい?」


「ま、まさか結唯なの!? でも残念だけど、かつての弱い私じゃないわよ!! 来なさい、ドラゴンガード。結唯を止めるのよ」


「やれやれ、無駄なのに。でも、試し斬りをするのは悪くないかな。あの変わり者な神様にもらった刀の斬れ味、試させてもらう。」


顔を青くしながらも、マヤはドラゴンガードを更に5体も召喚。ユイへとけしかける。剣を振り上げて迫り来るドラゴンガード達を見すえ、ユイは刀の柄を握り締める


。目を閉じ、呼吸を整えて敵が近付くのを待つユイ。ドラゴンガード達が刀の届く位置に入った瞬間、刀を鞘から瞬時に抜き放った。


神速の居合い。それにより、ドラゴンガード達は首が飛ばされる。コアのある頭を失った彼らは、あっという間に崩れ落ちた。まてや、ユイさん! そいつら簡単に殺れる魔物じゃないんですけど!?


「あれ、簡単に倒せたな? やっぱり、この刀は斬れ味抜群だね。神様からもらっただけの事はあるね」


「う、嘘でしょう。私の召喚魔法がこうもあっさりと」


あの神様、どんなチート武器を渡したんだよ。早速、神眼を使って調べてみるか。なになに、銘は天聖牙奏。アンデッドや邪なる者に特効作用あり。悪党は退治すればするほど、攻撃力が上がっていくのか‥‥。


おい、なんて代物を渡しているんだよ。悪党退治が趣味のユイに、うってつけの武器じゃないか。


「ねえねえ、真矢。君との戦いの相性は私の方が有利だ。ここは一旦引いてくれない? 先生を困らせちゃうのは君の本意じゃないでしょ。それに家の周りを囲んでいる人達も安心させないとね」


刀をマヤの首筋に当て、ユイはそう提案する。さすがはユイだな。前世からクラス内でのもめ事解決や部活動で後輩達に硬軟両面の指導をしていただけあって、人の扱いに慣れている。


マヤに対しては、俺を前面に出せば折れると経験から学んでいるし。どうやら、それはうまくいったようだ。右手で杖を強く握りしめていたマヤが、ため息をつきながらも応じた。


「‥‥‥‥分かりました、ここは退きましょう。先生、しばらくは夜は控えて下さいね。絶対に!! あ、改めて4人で話し合いましょう。失礼しますわ」


そう言って、マヤは玄関のドアを開けると外へと出ていった。俺は倒れている師匠に近付き、回復魔法をかける。しばらくしてから師匠も目を覚ます。


「あれ、ユウキ? 私は何で倒れたのかしら。そうだ、皇女殿下!」


「安心して、アイラさん。皇女殿下はお帰りになったわ。そんな貴女に忠告するわね。話し合いが終わるまで先生を抱くのは禁止。真矢をあまり刺激しないで。あの娘、ああ見えて心が弱いの。‥‥先生も性欲は我慢出来るよね? 下手すると帝都で大量殺戮が起きかねないから」


ユイに釘を刺された俺は素直にうなずく。帝都崩壊などした日には、首謀者として処刑されかねない。俺だけでなく、師匠とマヤもだ。そうならない為にも自重をせねばならない。やれやれ、教え子に教わるとはな。


「分かった。師匠、しばらくは別々の部屋で寝よう。これ以上、マヤを困らせる訳にはいかないからな」


「うぅ、せっかく一歩先んじたのに。でも仕方ないな。分かった、ユウキ。しばらくは、しばらくは‥‥。い、一緒に寝るの、やめておくよ」


「うん、血涙出すのは止めようか師匠。一生とかじゃないからさ。あれ、ケビンさん? どうしました、そんなに青ざめて」


気付けば、ケビンさんが師匠の家に入ってきていた。マヤが出ていったから、ようやく来れたのかな。しかし、彼はユイから目を離さずに凝視している。あっ、これはユイがヤバい人物殺してる可能性あるな。


「ユイ=リンパード。帝国西部で悪行をほしいままにしていたバロー一家を壊滅させた張本人だ。特にボスに至っては、凄惨な殺され方をしていたらしい。ユウキ、知り合いなのか?」


「ああ、彼女は俺と同じ天命人さ。だから、マヤと同じか少し上の実力の持ち主だ。それと私利私欲に走る悪党に対して、相当な憎悪と怒りを持ち合わせている。前世の両親が裏社会の人間でね。人を踏み台にしたり、潰したりするのを平気でするような人達だったからな」


何度か会った事があるが、正直深く付き合いたい人間ではなかった。しかし、結唯と深く関わっているので必然的に会う機会が多くなる。そのせいか、俺が元婚約者との泥沼となった際は色々と仕事をしてくれた。


結果、彼女らは地獄を見る羽目に陥り、俺はお金と平穏を得てしまう。元婚約者の実家、教育関係じゃ相当な権力者だったんだけどな。家も土地も財産も失って、遠くの県に慌てて逃げ出したのは驚いたが。


「まっ、先生を助けたのは奴等の数少ない善行だったね。さて、ケビンさんだっけ?  私をどうする気かな。殺すつもりなら抵抗はすると思うよ、全力で」


薄く笑うユイを見て、俺はケビンさんとの間に割って入る。ユイとファルディス家と戦わせる訳にはいかないからな。実力はマヤとユイには劣るが、俺は2人の教師だ。道を踏み外さないように助けるのは当然の役目。何とか説得しようじゃないか。



次回、とあるファルディス家関係者とユイの修羅場

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