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転生しても受難の日々  作者: 流星明
波乱の学院生活開始!
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第123話 前世からの因縁

お待たせしました。ネリスの回想回です

‥‥私の中に流れこんでくる異世界での記憶。特にベッドで眠りについてからは、夢という形で鮮明に記憶がよみがえってきた。前世での私の名前は吉良桜。古くから武家の名門として名高く、現代でも政治家や官僚等を世に出す家の生まれだったわ。


私が12歳になった時、前世の両親は私と姉である鈴華に家柄の良い御曹司との婚約話を進める。男子を産んだどちらかが吉良の家名を継ぐと勝手に宣言してしまった。自分達が娘しか産めず、親戚からの非難等を受けた故の対応だったらしい。


(両親に言われた通りに私達はそれぞれ婚約した。でも、それが悲劇の始まりだったけれど)


まず、姉の婚約者がやらかしたわ。不良に囲まれた時に鈴華姉様を見捨てて逃走。姉様は危うく犯されそうになったけれど、立野先生に救われた。ただ、心に傷を負った鈴華姉様は半年程引きこもりになってしまう。その間、婚約者の男が何度か会いに来たけど、私が対応して全力で面会を拒絶。しばらくして、両親も向こうの両親に婚約破棄を通告した。


『ぼ、僕は悪くない! あんなに怖い男がたくさんいるのに、戦える訳無いじゃないか。でも、無事でいてくれて良かったよ。鈴華、やり直そう。僕だけが汚れてしまった君を幸せに出来るんだ』


‥‥気付いたら、私と父がにやけた野郎の顔面に思い切り拳をぶちこんでいました。馬鹿で自己中心的で頭悪すぎる発言でしたからね。向こうの両親等が総土下座してましたよ。


鈴華姉様が変わったのはそこからだった。髪は茶色に染め、夜遊びするようになって、家に寄り付かなくなってしまったわ。結果、両親は私に期待と希望を強く抱くようになってしまうのよね。‥‥私は姉様の代替え品じゃないのに。


『鈴華、カラオケ楽しもう! ほらほら、桜ちゃんも盛り上げて。人生楽しまなきゃ損だからね。お洒落して遊びまくって、あんなクソ野郎を忘れちまおうぜ』


『ええ、あんな奴の事は忘れる! これからは私が自分で進む道を決めていくわ。好きな人と添い遂げて幸せになってやるぜ! 立野先生、愛してるよ~~!!』


『‥‥七菜さん、姉様の姿も心も変えすぎですよ。まあ、しょうがないですね。家にいても家族と喧嘩になるし、姉様の親友と称する変態自己中女に襲われる危険もありますから。門限まではとことん付き合いますよ』


『『よおおし、遊び倒すぞ! 今日も元気だ、ハッピーだあ!!』


正直、家から自由になった姉様を恨んだ事もあるわ。何で私だけ多くの習い事を習ったり、社交界に出なければならないのかと。でも、彼女が楽しそうに遊ぶ光景を見ると仕方がないと思ってしまう。壊れかけた心が治っていくのを見るのは、やはり嬉しいものだから。


その後も何やかんやありながらも、貴聖学園中等部から高等部に進学した鈴華お姉様。愛しの立野先生が婚約したり、婚約破棄で休職したりと波乱万丈。それに振り回された鈴華姉様も、精神的に下がったり上がったりがあって大変だった。でも、元婚約者の転入とあの破廉恥な事件が1番困ったわね。


三条真矢さんと立花結唯さんという、学園でも指折りの美少女の下着を被るという暴挙。結果、彼は全てを失った。命すらも。姉様の元婚約者実家はなかなかの名家だったけど、事件後にかなり落ちぶれた。会社の経営権は親族に奪われ、名前すら奪われたんだから相当ね。


『だって、鈴華が振り向いてくれなかったから。ならば他の娘に手を出すしか無いだろ? い、痛い!! パパもママも叩かないでよ! 僕はいずれ世界に名高い企業を継ぐ‥‥えっ? 白紙に戻すって、何で。僕達は一族から追い出される事が決定? ‥‥何でだよ。今まで僕の思い通りに出来たのにいい!』


最期まで自分が悪くないと言っていたのは、私も理解に苦しんだ。何でこうも自己中心的な考えしかしないのだろう。他人の事を何でも言う事を聞く奴隷か何かと勘違いしていた男。


‥‥まさか自分の婚約者も同じ考えとは思ってもいなかった。鈴華姉様の騒動が一段落ついた時、加納典明に高級ホテルに呼び出された。嫌がる私を両親は叱りつけて送り出してくれたわね。その結果が男2人による私への性的暴行だった。


『うへへっ、典明君。この娘は本当に中学生なの? てっきり小学生位かと思ったんだけど』


『お前にはストライクだろ、満? 俺としてはもう少し発育が良い女が好みなんだ。両親に言われて婚約したが、飾りの奥様でしかない。とはいえ、だ。飾りの奥様とするには調教が必要。誰がご主人様か教えてやらないとなあ』


『バッチリ撮影するから心配しないで。ブレなく綺麗に撮るからね。それで‥‥報酬だけど』


『分かっている。ロリ体型の桜を抱かせてやるよ。くれぐれも壊すんじゃねえぞ?』


そんな会話をした後で、無理矢理私は犯された。ただただ苦痛と恐怖、悲しみしかない時間。全てが終わった後で私はホテルの部屋を追い出された。しばらくして、私の性的動画がSNSで上げられ学校でも話題になる。誰もが私を笑い、後ろ指を差していると思った私は学校に行けなくなった。


その時も両親は婚約者をかばっていたわね。奴の後ろにいる政治家の父親が怖かったんでしょうけど、私は彼らに絶望する。立野先生や鈴華姉様、七菜さんは助けてくれたけど、私の心は限界を越えてしまう。だから学校の屋上から飛び降りてしまった。死ぬ事でしか、自分の苦しみは消えないと思ったから。


「あらあら、私の聖女に相応しい少女が来たわね。ねえ、貴女。よかったら異世界に転生しないかしら? 強力な力をあげるし、世界を思うままに出来るわよ」


地面に体を叩きつけられ、意識が途切れた私に声をかけてきた女性。混沌の女神ナルヴィと名乗り、私をスカウトに来たと言う。死んだら三途の川か花畑に行くと思った私は、奇妙な展開に驚いていたっけ。


「‥‥いらない。私はこのまま死にたいので」


「転生すれば、貴女を死なせた奴等に復讐出来るチャンスがあるのに? あいつら、いずれ世間のバッシングと少年院の仲間からのいじめに苦しんで自殺するのよ」


「そう、いい気味ね。でも、それと復讐に何の関係があるの?」


「関係あるのよね、これが。彼等は厚顔無恥にも異世界転生をする気なの。私が愚かな彼等を異世界に招待する予定になっているわ。だからさ、貴女が受けた苦しみを倍にして味あわせればいい。その手段はかなり豊富よ。どう? 行く気になったかしら」


復讐か。確かに彼等を許せない自分がいる。このまま死んでも私や鈴華姉様達が苦しんだだけで終わってしまう。ならば彼等が目論む転生先で絶望を与えるのも悪くないかな。ただ、私が欲しいのはそれが1番じゃないけど。


「復讐の為に力を借りるなんて、明らかに悪魔との契約じみた話ね。ところで、私に対するメリットはそれだけなの? 復讐と世界を操る位の力だけじゃ、今の私には物足りないの」


「うふふっ、見かけによらず強欲な娘ね。あるわよ、とっておきのが。貴女が好きな立野先生。彼も同じ世界に転生予定よ。だから貴女と結ばれるようにしてあげる。力より愛が欲しいだなんて、可愛い野心家だこと」


ナルヴィの言葉に、私は顔を赤くしてうつむく。鈴華姉様が好きな相手に横恋慕するのは悪いと思うけど、私も女だ。姉様や私を一生懸命助けてくれた彼に牽かれてしまったんだからしょうがない。


「う、うるさいです。さっさと転生させないと私の気が変わりますよ!」


「はい、はい分かったわ。じゃあ、私の聖女として異世界転生させるから。ええと、チートスキルがん積みして能力も神レベルに。あと、前世の記憶を消去もしておくわ。記憶復活とほぼ同時に能力やスキルを解放するから、他の神様にばれないはずよ」


俗に言う異世界転生のテンプレートに近い設定ですね。私としても、相手がどの程度の強さなのか分からないので強いに越した事はありません。


「能力解放条件は加納典明と吉田満、立野佑樹に吉良鈴華が揃った時に設定するわ。記憶解放の引き金は、吉良鈴華の後悔の言葉にしておく。さあ、吉良桜。異世界で私に対する信仰を復活させて。貴女が欲望のままに動けば、私は力を取り戻せるから」


ナルヴィ様の言葉で私は目を覚ました。胸の辺りに急激な熱を感じ、慌てて夜着をめくり胸元を見る。白いラーナ神の紋章が消えていき、ナルヴィ様の紋章が黒く輝き出した。‥‥遂に復讐の時は来たようね。能力って、どんな物かしら? 皆と同じく有用なスキルなら嬉しいんだけれど。


「今日は試験2日目。憎い2人に会える可能性は高い。楽しみだわ、どんな風に始末してやろうかしら。おっと、殺気とかは出さないようにしなきゃ。皆に気付かれたら面倒な事になりそうだし」





次回、ユウキ対ネリス。

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