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転生しても受難の日々  作者: 流星明
教え子2人との再会
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ルー立志伝 2 皇女殿下との食事の後で

お待たせしました。ルー視点の外伝です。

皇女殿下と魔法学院学院長を交えた夕食が終了し、僕はマリーお姉さんを連れて談話室でくつろいでいた。‥‥いつの間にか、マリー姉さんが僕専属の使用人になってしまっている。僕達の関係が確実にばれてるなあ。まあ、気にしてもしょうがないか。


それにしても、ユウキの人脈のすごさには驚かされた。観劇から帰って来たら、とんでもない人達を連れてきたし。


「ユウキ様は本当にすごいです。アイラお嬢様だけじゃなく、皇女殿下まで惚れさせてるなんて。しかし、皇女殿下もさる者ですね。本気のアイラお嬢様を相手に一歩も引かなかったんだから恐れ入るわ」


ユウキが皇女殿下を連れてきて、彼女の事業をファルディス家が手伝う事になった。ねえ、なんかおかしくない!? なんで、アイラ叔母さんとマヤ様がユウキの取り合いしてるの? 魔法学院の学院長も来た上に、ユウキは商談まとめちゃったよ! ぐぬぬっ、またユウキとの間に越えられない壁が出来た気がする。


「まだだ、まだ負けないぞ! お爺様に頼んで、ユウキの仕事を手伝わせてもらう事になった。実績を作りつつ、人脈を広げないと。差を少しでも縮めてやる」


「‥‥へえ、ルーも考えてるじゃない。ユウキに負けないように頑張りなさい。マリーお姉さんも応援するわ」


マリー姉さんの優しい笑顔に僕はやる気を奮い立たせる。と、そこに無粋な物言いをはする人物が現れた。


「ほう、少しはマシになってきたか。だが、私からするとまだまだだがな、ルー」


うぐっ、マリー姉さんの後ろから嫌な人が。ロウ兄さんは、昔から上から目線で物を言うから苦手だ。言葉は間違っていないけど、共感を得られないんだよな。ラング兄さんとは犬猿の仲で、リア姉さんとはガチの戦争中だったし。


ちなみに僕も仲は良くない。だから距離を取っているんだけど、今日は珍しいな? 普段は無視してる僕に話しかけてくるなんて。明日は槍でも降ってくるのか。


「ロウ兄さん。ユウキの事はどう思っているの? 彼が皇女殿下を引っ張ってくるなんて予想外にも程がある。マヤ様の演劇関連事業は間違いなくファルディス家に大きな利益をもたらす。下手するとロウ兄さんの立場が危ういんじゃ‥‥」


「やれやれ、あのルーが私を心配してくれるとはな。だが、安心しろ。ユウキは貧民出身、しかも魔法使いだ。商人としての教育を全く受けていない。アイラ叔母さんも魔法使いだからな。ファルディス家の手足にはなれるが、頭脳にはなれないさ。私が2人を使って、家を益々発展させるのは変わらない」


かなりの余裕だね、ロウ兄さん。確かに商人の教育を受けてないからな、あの2人は。しかし、ユウキを侮ってると痛い目にあうよ。僕とラング兄さんの取り巻き全員が殲滅された事があったし。


あれはアイラ叔母さんをいじめた報復だったな。皆の前に、テレポートでオーガを呼び出して脅迫されたんだ。男女全員が前と後ろから糞尿(ふんにょう)を垂れ流し、惨めな姿になったのを覚えている。


皆泣きながら逃げ出したけど、僕は土下座して許しをこうた。あの時のユウキ程恐かったものは無い。マリー姉さんがお爺様を呼んでくれて事なきを得たけど、以後はユウキとアイラ叔母さんに悪さをしないと心に誓った。


「ロウ兄さん、ユウキの扱いには本当に気を付けないと。アイラ叔母さんと同じく怒らせたら駄目だよ?」


「だから安心しろと言っている! 私はユウキを使いこなしてファルディス家を発展させるのだ。人の心配より自分の心配をしろ、ルー。そこの出来る使用人と恋仲のようだが、せいぜい側室にしておくんだぞ。ファルディス家の更なる発展の為に、お前には有力商家か下級貴族の娘を嫁にと考えているからな。商人として力を持ち、ファルディス家の力になれ!」


「なっ! 僕は道具なんかじゃない!! それにマリー姉さんは僕達を教育してくれた人じゃないか。そんな言い様は‥‥」


「もはやマリーはただの使用人に過ぎない。そして、ルー。お前もファルディス家を支える道具に過ぎん。母上が縁談を準備しているらしい。相手の令嬢を満足させれるよう、その女に夜の事でも教えてもらうのだな」


言いたい事を言ったロウ兄さんが去っていく。はあ、昔はマリー姉さんにかなり世話になっていたのにな。勉強とか教えたり、マナーの勉強会をしたりした恩人にそれはないだろう。


言われたマリー姉さんはため息をついている。ロウ兄さんに、かなり失望しているのは気のせいだろうか?


「‥‥ロウ様は優秀かそうでないかで人を分けます。マルシアス様の真似をしているでしょうが、駄目ですね。マルシアス様は意外と教育熱心な方です。才能が開花するまで何年も待つ度量もありますし、彼のように短絡的な見方はしません。ルパード様あたりが何とか矯正してくれれば良いのですが」


「あの性格は子供の頃からだからなあ。矯正は難しいかもしれないよ。あっ、紅茶のお代わりをお願い。それとマリー姉さん。ロウ兄さんの言った事は気にしないでね。僕は貴女を道具扱いしないから」


「ルー、ありがとう」


僕の紅茶を嬉しそうに淹れてくれるマリー姉さん。不思議と絵になるよな、使用人達の中でも抜きん出て所作や礼儀作法が素晴らしいし。いじめていた連中が、お婆様から怒られていたっけ。『人の足を引っ張る前に、自分達の礼儀作法の酷さを改めるべきじゃなくて?』って。全員が直立不動の涙目で聞いていたから、ざまあみろと思ったのは良い思い出だ。


「はい、どうぞ。さっきから私を見てるけど、どうかしたの?」


「いや、紅茶淹れるの上手だなと思って。そういえば、マリー姉さんは‥‥」


「ルー、こんな所にいたの。お父様から聞いたわ、貴方が仕事に意欲を見せてくれると。その調子で早く立派な商人になりなさい。縁談も決まった事ですしね」


マリー姉さんと話をしていたら、笑顔を浮かべたお母様がやって来た。しかも、とんでもない爆弾を持って。縁談!? いつの間に決めてたの、ロウ兄さんからさっき聞いたけど僕は全く知らないんだよ!


「え、縁談!? 相手はいったい誰ですか?」


「お相手はルパードの親戚のロチアナ嬢よ。先方は凄く乗り気で、家を継がせると言ってくれたわ。ロチアナ嬢からも手紙を預かってますから読んで返事を書きなさい」


ロチアナって、あのロチアナかな!? ふくよかな容姿で食べる事が大好き。特に高くて美味しい食べ物が好き過ぎる太‥‥おほん。お母様、商家を継ぐのは良いけど浪費家の嫁付きは嫌です。どうやって断るべきか、僕が悩んでいるとお母様がマリー姉さんに話をし始めた。


「マリー、ルーとの関係だけどファルディス家にいるまででお願いするわ。貴女達が男女の仲なのは知っているけど、さすがに結婚するなら関係を精算しないと。それまではルーの良き先生になってあげてね」


「‥‥‥‥かしこまりました」


「ちょっと、お母様! そんな言い方は無いでしょう。それに僕はマリー姉さんとは別れたくは‥‥」


「お黙りなさい! ルー、私はもう失敗したくないの。リアがあんな事になって、お父様達を失望させてしまった。ファルディス家の為に働かないと私達も見捨てられかねないわ。特にラングと貴方は危ないの、分かってる!?」


確かにマルシアスお爺様は身内にも容赦しない。かつて大叔父が多額の資金横領した時も物理的に首を飛ばしたからな。あと、マリー姉さんのお兄さんの1人もか。女性使用人を何人か孕ませて、凄まじい刃傷沙汰に発展した。激怒したお爺様は、そいつを性奴隷として売り飛ばしたんだ。


女性使用人達は、子供を産むとすぐに孤児院に子供を預けて仕事をする者と辞める者がいたな。中には子供を育てながら仕事をしている娘もいるけど。その娘にはマリー姉さんと一緒になって援助している。すごく真面目で頑張る娘だから罪悪感半端無いんだよな。


「それは承知しています。僕もそうならぬよう、努力と研鑽(けんさん)を怠らぬよう致しますので。お母様に置かれましては、これからも見守って頂きたく」


「言葉だけでなく、行動で示しなさい。ルー、貴方には期待しているわ。ロウ以外で戦力になるのは貴方だけ。このままだとアイラに‥‥いや、何でも無いわ。頑張りなさい」


僕にそう告げて、お母様は談話室を出ていった。やはり、ユウキとアイラ叔母さんの成長ぶりに内心ではかなり焦っているよ。おっと、マリー姉さんのフォローを‥‥って、待ってええええ!! 殺気と闇の闘気が発現してるうう!


「マリー姉さん、落ち着いて! 僕が何とか説得するから!! マルシアスお爺様にもかけあうから」


「‥‥あら、そう? じゃあ、ルーお願いするわね。もし、そんな事になったら‥‥私、たくさんの血が見たくなりそうだから。うふっ、うふふ」


「そ、そうだ、マリー姉さんにもこれからは仕事を手伝って欲しいんだ。僕だけじゃ侮られかねないけど、執事の孫娘で優秀な使用人が後ろに控えてくれると安心出来る。お願い出来るかな?」


「もちろん良いわよ。私が貴方の黒子となって助けるわ。ジェンナ様に言えば、ルーとの仲は認めて下さるでしょうし。完璧な仕事を見せて、皆を見返してやりましょうね」


闇の闘気は消えたけど、なんか言葉に冷えがあって怖いよ。あれえ、マリー姉さんこんな性格だったかな!? 明らかにアイラ叔母さんの性格に似てきてるんだけど。ユウキもこんな苦労しているのか。と、とりあえず仕事を頑張って、物申せる立場になるよう頑張らないと!



次回、ユウキとアイラが‥‥。

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