第84話B その頃、女性陣達は
今年初めての投稿です。年末年始忙しく、更新遅れました。
ユウキとルーが会談する隣では、女性陣が話をしていた。2つのテーブルの1つには異世界転生組の面々が集まっている。
ユイ「さて、皆が揃ったから話し合いをしようか。しかし、まさか舞花がルーさんの婚約者だったとはね。香水や化粧品を作って売るだなんて、相変わらず商売上手で驚いたよ」
マイカ「‥‥そっちは、先生好き好き大好きの皆さんが大集合やな。真矢はんに結唯はん、それと鈴華はんも。前世では、いつ大乱闘先生争奪戦が起きるかと気が気でない人達が多くいましたわ」
レイ「ふん、勝手に周りが怯えていただけじゃ。まっ、妾は諦めるつもりは無かったぞ。最悪、愛人になっても構わないと思っておったし。子供も先生以外と作る気は無かったしのう」
マイカ「はあ。鈴華はんは、ほんまにやりそうでしたな。しかし、貴女の婚約者の方も呆れましたで。門前払いを受けたのに何度も会いに来る。嫌がる貴女を追いかけて貴聖学園に中途編入。そこから必死のアピールをするも、鈴華はんは無視。諦めたは良かったものの、あの事件を起こしましたからな」
レイ「‥‥真矢と結唯の下着泥棒じゃろ? あの水泳授業の時、確か真矢は白のフリル付き下着で結唯が黒のアダルティな下着を着ていたのう。授業から帰って来たら、その下着を被ってる変態が気絶していた。怒りの仁王立ちをしていた2人は怖すぎたな」
ユイ「あれ、結構高かったんだからね! ユウキ兄ちゃんを悩殺する為に買ったんだよ。なのに変態に下着を盗られた。今思い出しても腹が立つ!!」
マヤ「私の下着を被っていたのを見て、恐怖と嫌悪感しかありませんでした。だから、2人で強烈な制裁をしたのです。再起不能に追い込んだのは成功でしたわね。彼は両親によって、人知れず処理されたみたいですから」
ユイ「うん、手を下したのは私の両親の知り合いだ。確か、トンネル工事のセメントの中に沈めたって言ったっけ? トンネルが壊れない限り、死体は出てこないよ。死体が無ければ、事件にはならないしね」
マイカ「‥‥なあ、鈴華はん。うちも結構エグい手を使うんやけど、この2人怖すぎですえ!」
レイ「まっ、こんなもんじゃろ。しかし、残念じゃったな。真矢と結唯もろとも学園から退学させたかったんじゃが。2人の両親の力は計算外だったの」
マヤ、ユイ「「あいつの暴走は、あなた(あんた)の仕業か!!」」
レイ「‥‥ふん。私を除け者にしようとした貴女達が悪いのよ。いつも、いっつも私の邪魔をしてくれたんだから!! でも、今回は邪魔出来ないわ。私と彼の仲は皇帝陛下も認めてくれた。クックック、今までのようにユウキとの逢瀬を邪魔出来ぬぞ? 残念じゃったなあ」
マヤ「だから、早めに潰したかったのに。貴女、本当に諦めませんでしたものね。何度、私やユイさんが締めても立ち向かってくるし。しかも、私のユウキに度しがたい事をやらかしてくれましたものね」
ユイ「そうだ、そうだ! バレンタインの時にしたユウキ兄ちゃんに対する行動は許せないぞ!!」
レイ「ただ、口移しでチョコを渡しただけではないか。なかなかに美味じゃったぞ、先生の唇は。初なお主らには出来まい?」
マヤ、ユイ「普通はしないんだ(です)よ! 恥ずかしくて!!」
マイカ「‥‥鈴華はんも恐ろしい人や。2人が出来ない事すら平気でしますし。しかも、謀略家としても怖すぎやわ! ルーの為にも、味方にしておいた方が得策やな」
隣のテーブルでは、ミルとマリー、ティリュ。アイラとリーザ、ネリスの異世界組か座っていた。アイラ以外は紅茶を、妊娠しているアイラは白湯を飲みながら会話を楽しんでいた。
ミル「‥‥ユウキ様って、モテるんですね。皇女殿下やエアリアル公爵令嬢以外も匆々(そうそう)たる顔触れですし」
マリー「他の方々も生半可な女性ではありませんからね。アイラ。子供がいるからと言って、油断していると寵愛を失いますよ。日々の努力を怠らないように」
アイラ「ううっ、分かってるわよ! 皆、油断ならない女性ばかりだもの。しかも、ネリス様まで加わったし」
ネリス「皆の相手は我も精神的にきついんだが!? ま、まあ今回の騒動はリーキッド侯爵家に利益をもたらすだろう。政敵たるゴルディフ公爵家の権威が地に落ちたのだから。叔父達が躍り上がって喜ぶのが目に見えるな」
ティリュ「甘いな、ネリスとやら。君のリーキッド侯爵家にもラクシュア常習者がいるぞ。確か、リーキッド侯爵の長男ネッドだったか? 夜な夜な貴婦人や使用人とドラッグセックスなるものにはまっていたとか。マイカが教えてくれたのだが、薬物を使うと気持ちが良いらし‥‥」
ネリス「はあああ!? あの変態、何やらかしてくれてんのよ!! 私を犯そうとしただけじゃなく、そんな事までしていたなんて。射抜く、あいつの大事な物を射抜いてやるわ! 2度と悪さが出来ないように処理しなきゃ」
ミル「えっと、ネリス様の本来の性格が出ましたね。ティリュ様と似た雰囲気だったのが嘘のようです」
リーザ「ネリス様もアイラと同じで自分を殺して生きてきたようだ。本音で話せる人に巡り会えたのが幸いだな」
ミズキ「その分、ユウキを狙うライバルが増えて大変だけどさ、はあ、しばらくは約束が履行されないわね。まずはラクシュア騒動を片付けなきゃ。母さんによると、極光教の連中がラクシュア製造に加担してるらしいし」
ティリュ「ああ、ボルガも言ってたな。何でも教会で孤児達を使って栽培しているとか。労働力は無料だし、金は儲かるしでウハウハらしいぞ」
ネリス「許さない、許さない、許さない!! 教会は人々をより良く導く為にある。なのに、麻薬で金儲けなんて恥ずかしくてしょうがないわ。ラーナ様の聖女として、私が退治しなきゃ」
アイラ「ネリス様はよろしいんですか? ユウキと結婚するのは神託による物ですけど」
ネリス「アイラさん。私はね、本当は男が大嫌いなの。馬鹿ネッドに犯されそうになって以来、拒絶反応が出る程に。爺やお父様の部下達、屋敷の使用人は大丈夫だけどね。心配だったけれど、ユウキの側にいても拒絶反応は出ないわ。不思議と暖かい気持ちになるの。だから私は彼との結婚を受け入れたのよ」
アイラ「‥‥私と同じ境遇だったんですね。ネリス様、共に頑張りましょう。ユウキの為に力を尽くして、自分の幸せをつかみとるのです」
思い思いに皆が話している中で、アヤメが戻ってきた。皆の視線が彼女に集中する。
アヤメ「皆様、盗賊ギルドも行動を開始しました。ナジームの屋敷もドーザ様が家宅捜索していますし、後は教会や貴族にルパード様の実家を含む商会連中ですね。マヤ様、どう動かれますか?」
マヤ「そうね。教会はネリスとミズキ、ユウキに任せるわ。私とリーザにレイは貴族を締め上げる。アヤメとユイは盗賊ギルドの支援をしなさい。商会関係はルーとマイカ、ティリュに任せれば良いでしょう。アイラとマリー、ミルは屋敷で情報の精査と伝達をお願いするわね」
レイ「ほほう、貴族連中を懲らしめるか。実に楽しそうじゃな。妾の魔法でどれ程話してくれるか、楽しみよの」
リーザ「レイ様、くれぐれも自重願います。やりすぎて、捕虜の知りたくもない性癖とか過去のやらかした話を聞かされた身にもなって下さい」
ネリス「教会関係は我か。聖女たる我なら奴等も拒否出来ない。皇女殿下、お見事な采配です。‥‥少しでもリーキッド侯爵家の名誉を回復しなきゃ!」
アヤメ「盗賊ギルドの面子を傷つけず援護する。なかなか難しい任務ですね。‥‥ユイさん。悪人だからって、やたらめったらに斬らないように!」
ユイ「え、えーーと、ど、努力はするよ? でも、現場に行ったらどうなるかなあ。わああ! アヤメさん、分かったから剣を抜かないで!!」
マイカ「ティナート家とファルディス家の影響力を強める為にも、ハダール商会に連なる者は潰させてもらいましょ。ティリュ様、私とルーの護衛お願いしますわ」
ティリュ「我が馬鹿甥の尻拭いだ、動かぬ訳にはいくまい。しかし、戦場にはならなそうだな。むしろ、我としてはアヤメやミズキの行く場所の方が‥‥」
ミズキ「貴女は強すぎですからね。ここは大人しく護衛して下さい。それに商会が屈強の護衛を雇ってる可能性もありますから」
マリー「私達は後方支援担当ですね。アイラ、ここを乗り切ればユウキ様とのデートし放題ですよ! 頑張りなさい!!」
アイラ「わ、分かったわ! マリー。私、頑張る。皆が動けるように支援する。デートか、デート‥‥えへへ」
ミル「‥‥マリーお姉様。デートと言っても、ユウキ様は7名の女性がいらっしゃるのに。身分とかを考えると、アイラ様の順番になるのはいつになるかな?」
マヤ「とりあえず、昼食を食べたらすぐに動くわよ! ‥‥って、ユウキとルーは何してるの!? なんか殴りあってるんだけど」
アヤメ「ふむ、どうやら自分の子供がレアやラングのようになるんじゃないか? と互いに言い合った結果のようですね。ある程度、殴らせたら止めにいきましょう。幸い回復魔法の使い手には事欠きませんから。ご主人様が、あんな風に喧嘩する相手なんて、後にも先にもルー様くらいでしょうから」
アヤメの言葉通り、しばらく2人の喧嘩を見ていた女性陣。疲れきったユウキとルーを素早く治療すると研究所とアイラの別宅へ向かう。その時の男2人は、喧嘩をじっくり見物されていたからか恥ずかしそうに俯いていた。
次回、商会に向かったルー達。外伝です。




