表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生しても受難の日々  作者: 流星明
山積する諸問題を解決せよ
100/152

第77話 ログレス修道院騒動 前編

お待たせしました。

俺達はクイナさんとミューズさんに別れを告げ、ファルディス家へと戻った。アイラにコウタの件を報告。すぐに調査すると、怒りながらも応じてくれた。アイラとユイに調査を任せると、俺達はログレス修道院へと向かう。


ログレス修道院は、帝国の北部中央にそびえ立つ巨岩の上にある。(ふもと)の町から行くには、歴代の修道士達が作りあげた山道を登って行かないといけない。徒歩で行く者がほとんどだが、貴族やお偉い教会関係者等は浮遊石を使用するらしい。


「我はリーキッド候爵家ネリス=リーキッドにして、ラーナ神より加護を受けし者。リア=ファルディスに面会をしたい。浮遊石を使わせてもらえるか?」


ネリスが浮遊石の管理をしている修道士達に声をかける。すると驚きと喜びに満ち溢れた表情を浮かべた彼らはすぐに起動準備に入った。


「おお! ラーナ様より神託は受けておりますぞ。どうぞお使い下さい、ネリス様。ラーナ神の加護ありし方をログレス修道院は歓迎いたします。ただ、リア=ファルディスは懲罰房に入れられている可能性がありまして。会えるかどうかは‥‥」


「はっ、いかに厳しい環境に身を置いても奴は変わらんと見える。まあ、よい。浮遊石を使わせてもらうぞ」


うわあ、あいつ何をやらかしてんだよ。とはいえ、これは好都合か。レアの素行の悪さはロウ様のダメージになるしな。俺達が浮遊石に乗ると係の修道士が、魔法文字を使って動かす。少しずつ加速していく浮遊石は、10分程でログレス修道院の正門まで到着した。


「随分と高いですね。南は帝都の街並みが見えますし、東はリーキッド候爵家の領地全体が見渡せます。戦となれば、重要な拠点になりそうですね」


「本当は帝国の城を作る予定だったが、教会の連中に押しきられたのだ。『このような過酷な地でこそ、神と対峙するに相応しい』とな。教会内でも質素倹約を旨とする変わり者が多いのが、ログレス修道院らしい。贅沢に(うつつ)を抜かす俗物どもより、我は評価しているぞ」


2人の話を聞くと、完全に地球のメテ〇ラみたいな修道院だな。だとすれば、レアの謹慎先には相応しいだろう。だって、男と夜を共にし放題、贅沢し放題の金食い虫だったからな。ここなら腐った性根が治るかと思ったが、話を聞く限り無理っぽいな。


「我はネリス=リーキッド。付き添いはユウキ=ファルディスとアヤメ=ルビアスだ。リア=ファルディスに面会したいが、会えるか?」


ネリスの問いかけに、門前にいた修道士の1人が応じた。なんか引っかかたので、神眼で見てみる。‥‥へえ、光魔法の高さが際立ってるな。軍師としての素質もある。リアの件が終わったらスカウトしてみるか。


「はい、大丈夫だと思います。先程、懲罰房から出されて修道女の住居に戻りましたので。よろしければ、ご案内致しましょう。私は上級修道士グラス=マージクと申します。グラスとお呼び下さい」


「では、グラス。案内をよろしく頼む」


俺達はグラスの案内で修道院内を歩く。高山植物らしい、見た事が無い植物が庭園に咲き誇っていた。修道院の美しさもあって、目の保養になるな。今度、マヤ達も連れてくるか。しばらくして修道女の居住区画に到着したが、なんか騒がしいな。何人かの修道女が走り回っているし。


「どうしたのですか、この慌ただしさは!? 修道院において、静寂を旨とする戒律を知らない訳ではないでしょうに」


その中の1人にグラスが声をかける。顔が青ざめた様子の修道女は、深々と頭を下げて事情を説明しし始めた。


「申し訳ありません、グラス様。それが‥‥リアが行方不明になってしまったのです! 懲罰房から出て、部屋に戻った姿は見たのですがお祈りの時間になっても姿を見せず。部屋を見に行ったら、荷物も無くもぬけの殻でした」


グラスの叱責に、困った様子で答える修道女のお姉さん。あれ? 何もしなくても勝手に問題引き起こしてくれたぞ。しかし、このままだとログレス修道院の方々がかわいそうだ。いつの間にかいなくなりましたじゃ、ファルディス家から怒りを買うからな。ここは捜索に協力しよう。


「グラス殿、修道女さん。良ろしければ我々も力を貸しましょう。レアに会わねばなりませんし、修道院脱走などファルディス家の恥となります。是非とも協力したい」


「確かにファルディス家にとっても問題ですね。分かりました、私の権限で認めましょう。貴女は修道院長に伝言を頼みます。くれぐれも今は内密にしてくださいね」


「は、はい! かしこまりました、グラス様。失礼いたします」


修道女のお姉さんは頭を下げて去っていく。そのままグラスの案内でレアの部屋へと来る事が出来た。幸い、修道女達は祈りの時間で不在。特に困った事にならずにすんだ。だって、ねえ? 着替え中の修道女とかに出くわしたら面倒になるからな。


「ここがリア=ファルディスの部屋です。正直、あまり関わりたくない女性でした。巡礼者の男達を誘い、春を売っていたようです。納屋で致しているのがばれて、1ヶ月近く懲罰房に入れられましたが、反省はしていなかったようですね」


「部屋に残っている匂いからも、かなりの好き者だと分かります。サキュバスだったら、喜んでお母さんがスカウトにくるレベルですね」


やべえ、リアの奴はあれだ。超有名な黒人プロゴルファーがなっていた病気、セックス依存症になってやがる。しかし、なんでこんなになったんだ? 幼い頃のレアはそこまで素行が悪くは無かったんだが。


「な、なんと破廉恥な!! 策など関係ない、徹底的にやってやる。しかし、脱出経路は我々が入った扉しかない。窓から飛び降りるのは高さを考えると無理。となると、隠し通路でもあるのか?」


「それは無いと思いますよ。隠し通路はあるようですが、知っているのは修道院長位ですから。おや? アヤメさん、何をしているんですか?」


アヤメはベッドの下をしゃがみこんで覗いている。しばらくすると、立ち上がって俺達の方を振り向いた。


「皆さん、このベッドを動かしましょう。おそらく脱出する為の穴があると思われます。匂いがここで途絶えていますから」


アヤメの指示通り、4人がかりでベッドを動かすと直径1メートル程の穴が空いていた。ちょっと、リアさん。こんなの映画とかでしか見た事がないんですけどねえ! シ〇ーシャ〇クの空にの主人公ですか!?


「驚きました。まさか穴を掘ってでも脱出しようとするとは。ログレス修道院から脱走というのは、かなり不名誉な事です。厳しい修行で有名な場所ですからね。正規の手続き以外で出ると、聖職者界隈では軟弱者と(そし)られますよ」


「貴族や平民でも変わらない。ログレス修道院からの逃走は、家族にも不名誉を被るからな。ユウキ、早く解決しよう。時間が経てば経つ程にファルディス家の被害が多くなる」


グラスとネリスの言葉は真理だよな。さっさとレアを捕まえるとしよう。ロウ様達を追い落とす材料になると思ったが、ファルディス家全体の問題になりかねないわ。おかしいな、俺達が何故かロウ様達の尻拭いをしてるぞ。


「とりあえず、修道院長に連絡するか。グラス殿、この修道院にいる修道士と修道女全員を集めてくれ。俺の神眼で、リアの脱走に関わっている連中を暴く。1人じゃあ、ここまでの事は出来ないからな。協力者が必ずいるはずだ!」






次回、神眼で協力者を暴き、ユウキ行き先を知る。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ