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転生しても受難の日々  作者: 流星明
受難の始まり
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プロローグ

異世界転生物を書いてみようと思い、書いてみました。よろしくお願いします。


ふと気がつけば、目の前には真っ白な空間が広がっていた。俺、立野佑樹は高校教師で30歳の独身の男である。婚約者だった彼女がいたのだが、とある事情で別れてしまった。その別れ、見事なまでに修羅場だったよなあ。


度重なる不幸と悲しみを何とか克服し、働いていた私立貴生学園の教員として復職したのは今年の4月。克服に1年かかっちまった‥‥。しかし、それから半年後の修学旅行において悲劇が起きる。


教え子と共に北海道へ向かう飛行機が突然の爆発。俺の全身が炎で焼かれ、体が燃え尽きていくまでの記憶が残っている。どんだけ不幸なんだよ、俺の人生! そんな事を考えていると、空間内に少女の声が響き渡った。


「乗客の皆様、初めまして。私は死神です。この度はテロリストによる爆破テロでの死亡、心よりお悔やみ申し上げます。自爆テロに巻き込まれるなんて不運ですねえ、しかも日本で。地球の治安も悪くなる一方みたいで大変だ」


まさかの死神登場かよ。容姿から考えるに中学生位の年齢だろうか? まあ、神様だから見た目通りの年齢ではない可能性もあるだろうけど。 肩まで伸ばした白い髪と透き通った赤い瞳、王公貴族が着るような美しい黒のドレスが印象的な少女である。


しかし、なあ。死んだら三途の川へ行くと思っていたんだ。人生の最後に、テロリストの自爆テロに巻き込まれるとは思わなかったぞ。日本政府は事件の対応で大変だろう。


俺はともかく若い生徒達が悲惨だ。こんなに早く死んでしまうなんて、誰も思っていなかっただろうから。親御さんの嘆き悲しみは相当なものだと思う。もっとも、俺のクラスはクソ理事長の計らいで問題児だらけだ。泣いて喜ぶ親御さんもなきにしもあらず。


「まっ、過ぎた事は仕方ないね。ここは気持ちを切り替えて行きましょう! 早速だけど抽選を始めたいと思いま~~す。ここにいる298名のうち、100名の方に当たりが出るよ。それじゃあ、目の前の空間に注目して下さい」


‥‥随分と態度の軽い死神だな。しかも抽選だと? まさか、これで天国と地獄の行き先を決めるんじゃなかろうな。くじ運は昔から悪いんだよ、勘弁して欲しいぞ!


焦る俺だが、しばらくして目の前に当たりの文字が現れる。どうやら運良く当たったらしい。ただ、黄金色の文字と虹色の光が点滅しながら輝くのを見てると、目が痛くなるから止めて欲しい。演出過剰が過ぎるんじゃないかな? パチンコの大当たりじゃないんだから!


「ふむ、決まったみたいだね。当たった人はおめでとうございます。ハズレの人は残念でした。ハズレた人は、このままあの世に逝ってもらいます。じゃあね、良い旅を!」


俺の周囲が光り、多くの白い炎が空へと登って行く。死神の言葉から想像するに、人の魂だろう。彼らの冥福(めいふく)を祈り‥‥って、ちょっと待て! 今、あの世って言ったよな。じゃあ、俺達はどこへ行くんだよ?


「はい! 残った皆様は異世界転生の切符を手にしました。(ちまた)で流行しているラノベで皆様もご存知でしょう? 異世界で第2の人生を送ってもらいます。天下を取るも良し、静かに暮らすも良し、お好きな人生を歩んで下さいね。では、早速手続きを始めます。まずは性別と名前から決めて下さい」


目の前の画面が切り替わり、名前と性別の(らん)が浮かぶ。うん、某有名RPGの最初の画面とまんま同じだよなあ。それにしても、自分が異世界転生を体験する事になるなんて思わなかった。こうなった以上は、しっかり考えねばならん。第二の人生がかかってるんだからな。


まず、性別は男にする。名前は‥‥そうだな、ここは単純にユウキにしよう。奇のてらった名前をつけて、後悔したくはないしな。ゲームで、ああああとか下品な名前なんかを付ける奴がいるが、今回は一生ものだ。願わくは、転生者の中でネタに走る者がいない事を祈ろう。一定数でいるんだよな、欲望丸出しの名前を付ける馬鹿もんが。


「はい、全員決まったようだね。次は職業を選択します。色々あるから好きに選んでね。もっとも、ほとんどの人は下級職からしか選べないけど。君達の人生を左右する選択だから、慎重に選んでよね」


死神によって示された職業は騎士、モンク、盗賊、魔法使い、神官、狩人、商人、遊び人の8つ。選ぶ職業は、至ってシンプルな物が出揃っている。とはいえ、選んだら危なすぎる職業が1つあるけどな!


「第2の人生かかった選択で、誰が遊び人を選ぶんだよ!?  いきなりハードモード確定だろうが!!」


‥‥とりあえず、職業を一通り見てみるとしよう。おや? 職業の説明文の最後、かなり小さな矢印があるな。押してみると各職業の初期値と成長率が表示された。簡単に見せようとしない意図がありありじゃないかね!? たぶん、気付かない人達もいるだろうなあ。


騎士は力と守備が高いが、速度は低いな。モンクは力と速度は高いが、守備が低すぎる。盗賊は速度と運が高いなあ。反面、力や守備は低いけど。


魔法使いと神官は魔力は高いけど他は軒並み低い。狩人と商人は平均的な値だな。遊び人は‥‥、運以外ほぼ最低値じゃないか! 成長率も初期値で高い物が優先的に成長するようだ。さて、どうしたものかな?


『騎士なんかには憧れるが、体育2の俺ではすぐに詰みそう。モンクや狩人、盗賊も除外。商人は面白そうだが、俺の性格がお人好し過ぎて、だまされそうで怖い。神官は教会勤めとか息が詰まるしなあ。となると‥‥』


しばらく考えた俺は、魔法使いを選択する。理由は簡単だ。学生の頃から、ほとんど勉強しかやって来なかった人生である。剣や槍なんかを使った肉弾戦なんて無理ゲーすぎる!


「おっ、全員決まったみたいだね。‥‥まさか、遊び人を選ぶ猛者がいるとは私も驚いたな。完全に私がネタで作った代物だからね。あっ、成長しても賢者にはなれないよ。選んじゃった人は残念でした!」


何故か周りの人達の声は聞こえない仕様らしい。聞こえはしないのだが、嘆きと後悔の感情と空気が空間内に広がっていくのが分かる。選んじゃったのか、見えている地雷を!!  賢者になれると読んだ奴とノリで選んだ奴も何人かいそうだ。


確かに某有名RPGならば、転職で賢者になれる。ゲーム中盤で強くなってから遊び人を仲間に加え、レベル上げするのがセオリーだ。だが、女神の言葉でそんな事は無いと否定された。いきなりハードモード確定なのはきついわな。


「さあ、哀愁漂うお調子者な皆さんは置いていこう。次はスキル選びの時間だよ。なに、チートスキルが欲しい? ‥‥しょうがないなあ、リストを出したげる。それじゃあ、この中からも選んで下さい。ただし、チートスキルは1人1つまでだからね」


そう言った死神により、リストが画面に表示される。ラノベやゲーム等で有名なスキルが、これでもかと並んでいるな。しかし、どれも欲しい。くそっ! どうしたものかな?


「職業のスキルも選んでね。スキルポイントは、各自200程あるから自由に選んで下さい。最高300ある猛者(もさ)もいるなあ。‥‥最低は言わないでおこうか、可哀想だから。うーーん、遊び人は結構苦労しそうだね。ろくなスキルが無いからさあ」


普通に選んで良かった。遊び人のスキルリストは怖くて見てられないな。それはさておき、俺が選んだ魔法使いのスキルを確認する。そこで、ある事に気づいた。


いきなり、二重詠唱や消費魔力半減の上級スキルを覚えられるのか? しかも、何故かチートスキルが複数も選べるし! ‥‥いや、落ち着け俺。死神はチートスキルは1つまでと言っていた。これは何らかの罠が考えられるぞ。ペナルティーも怖いから無難に選んでいこう。


まずは高速詠唱と消費魔力減少、魔力増加に魔法習得速度上昇の4つ。習得には、それぞれ20ポイント必要だな。最初に合計80ポイント使用しようか。このスキル構成ならば、短期戦と長期戦両方に対処出来るだろう。魔法も早く覚えられるし、一石二鳥だ。


『ユウキは4つのスキルを習得しました。スキルポイントは、あと120ポイント残っています。使用しますか?』


どうやら無事にスキルを覚えられたらしい。あと120ポイントか。まず、異世界言語と言語解読は確保しよう。読み書きと話す事が出来ないのは洒落にならん。それと異世界常識と病気耐性辺りか。持ってないとすぐ死にそうな気がする。これで40ポイントを使用したな。


魔法は‥‥属性毎に10ポイントで覚えられるのか。時空魔法と火、風、水、土の基本の4属性魔法にしよう。これなら、いかなる事態にも対応出来そうだし。これで50ポイント使用したな。残りは30ポイント。


その前に、チートスキルリストにある神眼を覚えよう。物の鑑定やステータスを見抜くのは、生きる上で大事な事だ。偽物をつかませられたり、強すぎる相手と戦って人生終了は嫌すぎるしな。


‥‥他のチートスキルもかなり魅力的だが、泣くのを堪えて我慢しよう。欲しいスキルが多すぎるのがいかん!


「そろそろ、終わりの時間にしようかな? スキルポイントを使ってない人は早く使ってね。使われなかったスキルポイントは無駄になるよ! あと1分」


スキル選択の終了時間を告げる死神の言葉に、俺は慌ててリストを見渡す。すると、リストの1番下に小さな文字でスキルが書かれていた。


『幼年期保険。様々な障害から貴方を守ります。保険が切れるまで、いかなる災いが起きても確実に死にません。30ポイント』


即座にボタンを押し、俺はスキルを獲得した。いかに優れたスキルを持っていても、死んでしまったら意味がない。自分で行動出来ない期間を守ってくれるのは重要だ。‥‥と言うか、これ。絶対わざと小さく書いてるな。通販でよく見る健康食品の注意書きレベルじゃないか、この小ささ!


「はい、終わりです。さて、今回は何人くらい人間に転生出来たかな? 他の人達との間の障壁を解除します。結・果・発・表~~!」


そう言って死神は、手から突風を巻き起こす。白い霧が晴れ、人々の姿が見えるようになった。しかし、それも束の間。辺りに多くの悲鳴が響く。周囲を見渡すと、俺は驚愕の光景を目の当たりにした。


「何だ、この状況は!」














次回、ユウキの過去が明らかに。

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