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01 少女が空から降ってきた!

初投稿です。よろしくおねがいします。





 あの……、


 "女の子"が空から降って来たって言ったら誰か信じてくれる?



 

 まあ、とりあえず何があったのかの経緯を話そう……。






 今日は土曜日、大学での講義も無いので俺は昼まで爆睡していた。

 そして、昼食を食い終わってからは夜中までゲーム三昧!!

 と、いきたいところだったのだが……。


 足下に目をやる。


 やはり何度見ても、見知らぬ()()が横たわっている。


 容姿は15歳前後くらいで、一番の特徴は頭の左右から2本禍々しい”角”が生えていることだ。

 コスプレ?


 空から少女が降ってくるシチュエーションは誰もが、

「親方!空から女の子が!」

 ってセリフの某アニメ映画を連想しそうだが、あんなお上品でたおやかな降り方じゃないぞ。

 俺の目の前に降ってきた少女は、もっと豪快で破壊的だった。

 

 天井を見上げる。

 2階建てアパートの1階のワンルーム部屋に住んでいるのだが、なぜか真上に青空が見える。

 そう、彼女が降ってきた痕跡だ。 


 アパートの屋根、2階の床板を貫き、俺の部屋の床に墜落している状態だ。


「死んで……、ないよな?」


 すまん、おかしなこと言った。

 普通、こんな落ち方したら死んでる。

 非現実的な現象が目の前で起こっているせいで、自分自身の感性がどうかしてしまっているみたいだ。

 

 「うう……」 


 ヤ○チャみたいな体勢で俺ん家の床にめり込んでいる少女が突然呻った。

 これで生きてんのかよ。

 めちゃくちゃ失礼ながら、そう思わざるを得ない。


「だ、大丈夫か?」


 俺は恐る恐る彼女のもとへ近づき、手を差し伸べようとした。

 その瞬間──


「何触ろうとしてんのよ、この下種!」

「おい下種って──、ぐわぁああ!!!」


 突然、閉じていた瞳を開き、無慈悲な罵倒を浴びせられたと思えば、突如見えざる力(感覚的にはものすごい強風を全身で受けたような)によって後方にあった衣装棚に叩きつけられた。


「ぐはッ」


 ガシャンと音を立てて、棚が半壊する。

 そして俺は、そのままずるずると床に崩れ落ちた。

 やべえ、全然息ができない。

 

「一生そこで蹲ってるといいわ、この屑」


 すごい、息するように罵声が飛んでくる。


 俺のことを吹き飛ばした張本人がその場からむくりと起き上がり、衣服についた埃や木くずを手で払った。

 すると、ブツブツと呪文のような何かをその場で唱え始めた。


「な、なにしてるんだ?」

「帰るのよ」


 行先はどこであれ、帰るのに呪文唱えるやつ初めて見たぞ。

 

 すると、急に彼女の周りが神々しい光に包まれ始めた。

 よくアニメとかで目にする転移魔法の予兆みたいなやつだ。


「お、おい!帰る前にこれどうすんだよ!!」


 俺は、壊れた建物を指さしながら問いただした。


「知らないわよ、わたしがやったんじゃないし」

「お前がやったんだよ!お前が落ちてきてぶっ壊してるんだよ!!」

「落ちてきたのはわたしでも、落としたのはわたしじゃないわ」


 わけのわからん曲論吐きやがってこの野郎。


 そう揉めてるうちにますます光が強くなり、素人目でもそれがもう少しで術が完了することが理解できた。

 が、その時だった。


 ズズズズズ──

「うっっっ!!!?」


 彼女が突然、上から何かの重圧にかけられるように床に崩れ落ちた。

 それと同時に、眩い光も消え失せた。


「うう、お父さんやめて!!」


 ん!?お父さん?

 あたりを見渡してみても、もちろん俺たち以外誰もいない。


「なんで、こんなことするのよ!!」


 半泣き状態で、悲痛な叫びをあげている。

 ん?もしかして俺、家族喧嘩に巻き込まれてる感じ?

 なんかそんな気がしてきた。

 目の前で今にも泣きだしそうな彼女を見て、なんだか不憫に思えてきた。



 ((巻き込んでしまってすまない))


 

 どこからともなく恫喝的な声が聞こえてきた。

 テレビゲームで例えると、ボスのCV的なドスのきいた声だ。


 さっきこいつが言っていた、”お父さん”の声なのかこれは!?

 転移魔法的なやつで目の前に現れるのか!?

 それともまた隕石みたいに上から降ってくるのか!?

 本能的にヤバい奴がヤバい現れ方をする予感がして、自然と身構えてしまう。


 ドクッ、ドクッ……


 緊張で自身の心音がしっかりと聞こえてくる。


 ((お邪魔するよ))

 

 来る──!!





 ──ガチャツ(玄関の扉が開く音)





 ……あ、そういう登場の仕方するのね。


 想像を裏切られたことによる失望感のせいで、玄関から堂々と入ってきた2メートル級のデカブツには大して驚きもしなかった。






 

 



 

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