#9 支援者
丁寧語お姉さんってなんか好きです
「旅をするなら、馬と荷台は必須だぜ。それに支援者も1人欲しいところだ」
昨日は話が終わるとすぐに別れ、今日は旅の準備をするため北門に集まっていた。旅の準備をするにあたり、ドランがいくつかの意見をくれた。
「倒した魔物の素材をいちいち自分たちで持ってたら限りがないからな。支援者に俺たちが倒した魔物の素材なんかを荷台に運んでもらうんだ。戦闘の効率は一気に上がるぜ」
確かに剥ぎ取り専門がいた方が効率はいいだろう。アリスも手慣れてなかったし。
「なるほど。馬2頭と荷台、野営の準備や食料の調達とその他雑貨、それと支援者を1人雇うのを分担してやろう。支援者の方は俺が行くよ」
「わかった、俺は食料なんかの調達に行ってこよう。力仕事になるだろうしな。」
「では、私は馬を見繕ってきます。昔から軍馬を見ていたので、問題ないと思います」
「それじゃ用が済んだらまたここに集合ってことで」
どこの街でも、支援者ギルドは冒険者ギルドのそばにある。支援者を雇う大半の人間が冒険者だからだ。
「こんにちは。本日のご要件は支援者の雇用ですか?」
「はい、予算に余裕があるので経験豊富な人を紹介してください」
新人を雇って足で纏いにでもなられたら困る。支援者は自衛の手段を身につけているはずだが、駆け出しの俺達が守りきれるかもわからない。
「かしこまりました。少々お待ちください」
少しして、受け付けのお姉さんは何人かの候補をあげてくれた。
「ご期待に添えられそうな支援者を3人ほど選りすぐりました。ご確認ください」
それぞれのプロフィールや能力が書かれた3枚の紙を渡される。1人目は35歳の男でその道10年のベテランだ。自衛はもちろん冒険者と共に魔物を討伐したこともあるようだ。しかし、酒癖と女癖が悪いらしい。2人目は17歳の女の子で経験豊富という程でもない。支援者としての才能があるらしく、経験を積めば優秀な支援者になるだろう。3人目は25歳の女性で元々は貴族に仕えていた侍女らしい。支援者としての仕事以外にも、炊事、洗濯など色々なことができるらしい。
1人目はやめておこう。男だけのパーティーならまだしもうちにはアリスがいる。旅がどれだけ長くなるのかもわからないし、心配の種はない方がいい。
「お決まりになられましたら、お声をかけてください」
「はい」
悩んでいると受付のお姉さんに声を掛けられる。気づけば後ろに人だかりができていた。カーライルは冒険者の出発点であるため、自然と支援者ギルドにも依頼が多くくる。期待の少女とメイドお姉さんと、どちらを選ぶべきか。
「お初にお目にかかります、支援者ギルドより参りましたクロエと申します」
黒髪にショートボブの髪、綺麗な顔立ちをしている。淡々とした口調がクールだ。しかし、なんでメイド服なんだろう。元侍女だからといって着ている必要はないはずだ。彼女なりにこだわりがあるのだろうか。
「何か?」
「いえ、なんでも」
気にしないことにしよう。
俺は結局メイドさんを雇うことにした。やはり期待値は高くても旅の経験の浅い人を1人増やすのには抵抗があった。ただでさえ、うちにはアリスがいるんだし。
「他の仲間を紹介します。ついてきてください」
「かしこまりました」
クロエさんは軽く頭を下げると俺の1歩後ろを付いて来る。こういう対応をされるのはあまり慣れないのでむず痒い。俺達は集合予定の北門に足を進めた。
次話でようやく旅立てます