#3初仕事
今回はちょっと短めに
「あ、アルさん!おはようございます!」
アルの姿を見つけ、アリスは手を振りながら挨拶した。
「アリス様、おはようございます。お早いですね」
「はい、待ちきれなくて待ち合わせより一時間も早くついてしまいました」
アリスは少し照れたように笑った。今回の依頼は、時折街の近くに現れ、人々を襲う魔物バッドウルフ五頭の討伐だ。アリスもアルも装備を整え、まさに冒険者と言った格好をしている。
「おい、あんたらがアルとアリスか?」
戦闘斧を背中に携え、顎鬚が渋い印象を与える筋肉質な大男が話しかけてきた。
「ええ、あなたは?あ、今日一緒に依頼をこなす冒険者というのは…」
「おうよ!俺はドラン。俺も冒険者としちゃ新参者だが、腕には自信あるぜ。今日はよろしくな」
アルが質問に答えると、ドランは二人の方を叩きながら大きな声で自己紹介した。三人は冒険者ギルドが手配した馬車に乗り、討伐対象のいる森に向かった。
バッドウルフはカーライルから十キロほど離れた森にある洞窟を住処にしている。
「バッドウルフは夜行性です。昼にも活動しますが、夜には凶暴化します。日が落ちる前に仕留めきりましょう」
「わかりました」
「わかった。もう一度確認しとくが、俺が前衛、嬢ちゃんが魔法で後衛、小僧は遊撃って形でいいんだな」
「はい、俺は弓も剣も使いますからこの陣形が一番戦いやすいです」
「嬢ちゃんは守ってやらなくてもいいのか?」
「心配ご無用ですドランさん、こう見えて剣も使えるんですよ!」
アリスは腰の細剣に手をあて、自信げな表情で言った。
「そうか、頼もしい嬢ちゃんだな!」
「見えてきました、バッドウルフの住処になっている洞窟です」
他愛もない話をしているうちに、目的地に到着した。同時に七頭のバッドウルフが洞窟から飛び出していく。バッドウルフは夜行性だが、少数は昼に獲物を狩りにいく。力が弱く、他の狼に先を越され、夜に獲物を仕留められないためだ。またバッドウルフは昼頃になると凶暴性や素早さが落ちるため、駆け出し冒険者がはじめて挑戦するには良い相手だ。
「こりゃ運がいい。待たなくて済んだな」
「はい、追いましょう!」
「はじめての依頼、絶対成功させましょうね!」
勢いよく飛び出すドランを先頭に、アルとアリスも駆け出す。この時の3人は、数時間後に訪れる災害の足音にまだ気づいていなかった。
長い方がいいのでしょうか、どうしましょう…