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勇者だけど人に頼ってもいいよね  作者: プーたん
冒険の書 序章
2/26

#2約束

他の作家さんってみんなすごいんだなと思う毎日です

  勇者になることを夢見る冒険者は多い。勇者アレックス・カーライル、仲間からアレクと呼ばれていた青年が旅の道中で仲間を集め、数々の困難を乗り越え、魔王を倒すのだ。誰しも英雄というものに憧れるのである。


  「ところでアリス様はどうして冒険者ギルドに。何かご依頼になられるのですか?」


「いえ、依頼ではありません。それよりアルさん、敬語はやめください」


 目的地が同じという事もあり、アリスはアルと共に冒険者ギルドへと向かっていた。


「しかし、王族に無礼を働くわけには行きませんので」


 この世界では姓をもつ者は貴族以上の身分とされている。そして、この街と同じカーライルという名は、代々王家の人間につけられる。魔王の国、そして魔族に支配されている国以外はカーライルを名乗る王族達によって統治されている。


  「せっかく友達になれたのに…」


 アリスはがっくりと肩をおとす。


  「それで、依頼でないならなぜ冒険者ギルドへ?」


  「もちろん冒険者になるためです」


  「…は?」


 さも当たり前のように言ってのけるアリスに、アルは驚きの目を向けた。王族が冒険者になろう言うのだ、当然である。武勇を立てる王もいるが、それはあくまでも王として、一冒険者としてではない。


「あ、見えてきました!早く行きましょう!」


 アリスはアルの手を取り、駆け出す。


 この街で最も大きな建物だ。たくさんの冒険がここから始まる。


  「こんばんは、本日のご要件は?」


 建物に入ると眼鏡をかけた女性が笑顔で対応してくれた。受付嬢が何人も並んでいる。日も暮れたというのに建物には冒険者がたくさん居り、ぼろぼろの鎧を身にまとい疲れ果てた様子の冒険者や、依頼達成の報告をし終わりやりきった様子で拳を突き上げる者などがいた。


  「冒険者登録に来ました!」


  「お二人共ですか?」


  「はい!」


 アリスは元気に返答する。受付の女性はそれを見て、微笑ましそうに笑った。


「承りました。ギルドカードを製造いたしますのでお名前を教えてください」


「私はアリス、彼はアルと言います」


 受付の女性はアリスの言葉を聞き、受付嬢はアルの方を見る。アルが頷くのを確認し、手元の手帳にすらすらとメモした。


  「では明日、冒険者の仕事を体験するために簡単な依頼を1つこなしてもらいます。安全のため今日新たに冒険者になられた方をもう1人、3人で依頼をこなしてもらう事になりますが構いませんか?」


「はい!」


  「明日の朝九時に北門の前にいらしてください。もう1人の方にはこちらから伝えておきます。こちらがあなた方のギルドカードになります。再発行は可能ですが、手続きが必要ですのでくれぐれも紛失しないようにしてくださいね。」


  「わかりました、ありがとうございます!」


 アリスは終始嬉しそうにしており、アルはその勢いに押され少したじろいでいた。







「アリス様には色々と聞きたいことがありますが、今日はもう遅いので止めておきます」


  「はい」


  アルの言葉にアリスは微笑みを返すのみだ。


「アルさん」


「はい、何でしょうか?」


「また、明日です」


「…はい、また明日」


 アルの言葉を聞くと、アリスはにっこりと笑った。そして、アルは泊まる宿を探すため身を翻す。(ひるがえす)


「明日九時ですよ、遅刻しないでくださいね!」


 アリスは大きく手を振りながら、楽しげに注意する。アルはもう一度振り返り、軽く微笑みながら会釈した。







 アリスは、アルの笑顔が自分の向けた笑顔と同じものではない事に気づかなかった。

1話何文字ぐらいがベストなのか模索中です。

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