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スマホ依存は危ないようだ

スマホの機種変してました

スマホ依存最高だろ!


キリのいいところで切ったのでちょい短めです


「オラオラ、どけどけどけぇ!!」


俺たちはジョナサンの脇を通り、面していた住宅街を抜けて大通りに出た。

先程の人気のない駐車場とは違い、大通りにはショッピングやナンパを楽しむ馬鹿m…若者達がいる。

今から殺人鬼が通りますよー。


さっきの駐車場の時に人気が無かったのは、多分殺人鬼が俺たち以外の他の奴らを殺していたんだろう。

鉈も血で濡れてたし。


隣のゴリがそいつらをどかすために叫んでいる。

ダブルパイセップスしながら。

まあ叫ばなくてもゴリラがポージングしながら走ってたら誰でも避けると思うけどな。

くそ面白い。


「ゴリ、やっぱお前わかってねぇな」


「え?ハシュ、どういう事だ?」


まあ見てな、と言って俺はニヤリと笑った。

後ろを見るとリーマン殺人鬼はすぐそこに来ている。

狙いは多分俺。

ねちゃつく視線をビンビンに感じるからな。


「ははッ!通行人はこうやって(・・・・・)使うんだよ(・・・・・)!」


俺はワザと脚が絡まりもたついたように見せる。

速度も落としたから、殺人鬼との彼我の距離が縮まる。

そのまますぐ側にいたスマホばっかり見て子供放置してるスマホ依存症女の方へ突進。


「…ずは……ゃまもの……いじょ……!!」


ちらりと後方確認。

いいねぇ、やはりこの俺が狙いか。


殺人鬼が鉈を俺に振り下ろす直前、俺は馬鹿女の後ろに回り込んだ。


「……ぁ、え?…」


肉がブツ切りにされ、骨が強引に砕かれる音がする。

当然、切り裂かれたのはスマホ女だ。

殺人鬼が振った鉈は肉に深くまで食い込み、簡単には抜けなさそうだ。

まあ周囲への危機察知能力が欠けてるこの馬鹿女が悪いな。自業自得自業自得。


「っしゃビンゴォ!」


俺は元から脚など絡まってないので、殺人鬼が女から鉈を引き抜こうと苦心している隙にその場から全速力で去る。


「ハシュすげぇ!これで時間が稼げる!」


「あんまし褒めるな!照れるだろうが!」


冗談を交わしながら再びゴリとダッシュ。

ひゃは、楽しくなって来た。

もしかしたらこれって、殺人鬼アイツをうまく利用して自分の手を下さずに人を殺すチャンスじゃね?


いいねぇ、このスリル。

死ぬ前にここにいる奴ら全員殺したらクリアってか?

飛んだクソゲーだな。


殺人鬼がいる後方でようやく悲鳴が上がる。

鉈を持ってるヤツが走ってても声を上げない馬鹿どもだが、流石に人が死んだら反応するようだな。遅ぇよ。


そんな馬鹿共の危険に対する反応とは違って、パニックが伝染する速度っていうのは早いもので、すぐさま俺たちがいるところまで混乱状態に陥る。


後方で何度も悲鳴と怒号が上がることに、つい笑いが溢れた。

都合がいいことに、どうやら殺人鬼は御丁寧に道を塞ぐ奴らを全員殺してるようだ。


「はは!丁度いい!…ゴリ!あそこに突っ込むぞ!」


俺は視界の端に捉えた特に人が密集してる所を指差す。

あそこならさらに時間が稼げるはずだ。


「オーケー!」


ゴリと一緒に人混みに突っ込む。

こいつらは状況が把握できずに右往左往してるか、パニックに陥って棒立ちになっている、又は野次馬のどれかだ。


明確な目的を持っている俺たちとは違い、こいつらは漫然とそこにいるだけなので、間を容易く通り抜けることができる。


「ははは!こんなスリルは一年振りだぜ!」


「おー!ハシュがヤー公の事務所に生ゴミぶち込んで以来だな!」


「そういやあの時も鉈持ってた奴が追いかけて来たな!」


あの時はマジで死ぬかと思うくらい楽しかった。

思い出話に花を咲かせながら走り続ける。

数歩足を踏み出すごとに、後ろで新たな悲鳴があがることから殺人鬼が付いて来てることがわかる。


「よし、右だ!」


目的地まであとすぐだ。

大通りから逸れる細い道へと入る。

…ついでに足留めしとくか。


俺はその辺にいた奴を殴り飛ばし、殺人鬼が来る方向に蹴飛ばす。

女連れのソイツはやたら腰パンしてるから動きづらそうだ。馬鹿だろ。


丁度同時に阿鼻叫喚の中から殺人鬼が飛び出して来て、腰パン馬鹿とぶち当たる。


「オッケー、ナイスキック」


「だろ」


そこまで見れば後でどうなるかはもうわかる。

腰パンの連れていた女のものであろう絶叫を背に、俺たちは走った。


細い道には人気が無く、建ち並ぶ建物の所為であまり日も射さない。

薄気味悪いが、そのおかげであまり人も通らないので、俺たちはよく利用している。

防犯カメラも無いしな。


だが普段はメリットとなる人気の無さも、今は殺人鬼の足留めになるものが無いというデメリットにしかならない。


「アイツ、どんなスタミナだよ」


後ろを見やると、息すら切らしていない殺人鬼が最初と同じペースで走っていた。


絶対ぜってーサラリーマンのスタミナじゃないよな」


俺らもまだまだ余裕だが、普通のサラリーマンなら既にヘトヘトになってる筈だ。

殺人鬼の体型は段々腹が出て来た三十代の体型で、そこまで鍛えてるということでも無さそうなんだがな。


やや気味の悪さを感じるが、そんな事を考えても意味は無い。

思考に蓋をしてひたすらに無心で足を動かす。


「…ハッ、ハッ…よし、見えて来たぞハシュ!」


「よっしゃぁ!!」


若干息が切れて来た頃にようやく目的地に到着。

そこは下町の寂れた廃工場みたいな所だ。

よく騙した女を連れて来て動画撮る用に使ってる。あとリンチする時とかな。


シャッターが降りているが、その隣のドアはいつも鍵が開いている。

俺たちはそこに体を滑り込ませると同時に、そのドアの鍵を内側から閉めた。


まあこれで逃げ切れるとは思ってない。

殺人鬼は鉈を持ってるからドアぶち壊して入って来るだろう。

けどここは俺らのホームグラウンド。


「袋に入ったネズミはどっちか、教えてやるぜ」


そう言いながらダブルパイ(・・)セップスするゴリに目配せして、俺は常に用意してある鉄パイプを手に取った。

てかこいつの乳首、めっちゃピンクなのな。







ゴッ、ゴッ、ガッ。


鈍器で何かを殴りつけるような、金属と金属とがぶつかり合う重い音を立てて、ドアノブが破壊された。


そしてドアが勢いよく蹴り開けられる。

そこから現れたのは鉈を持った殺人鬼。

俺は息を潜め、鉄パイプを握りしめる手に力を込める。


殺人鬼は辺りを見回し、やがて閉じたシャッターの方へ進む。

…それを待ってたんだよ、死ねや。


「………ッッ!!」


音を立てずに殺人鬼の背後、その上の踊り場から飛び降りた俺は、両手で握った鉄パイプを全力で殺人鬼の後頭部に振り下ろした。


鈍い音を立てて、殺人鬼の後頭部が陥没する。

ごしゃり、という嫌な手応えを感じるが、それと同時に殺った、という手応えも感じる。

これは殺しただろ。


鉄パイプの衝撃で崩れ落ちるようにして痙攣しながら殺人鬼はシャッターに倒れこむ。

足をビクビク痙攣させているのが気持ち悪い。

足ビクとか、オナニーのしすぎかよ。

イくんじゃなくて、逝っちまったみたいだけど。


「駄目押しにも一発殴っとくか」


俺は鉄パイプを後ろに振りかぶった。

気分はヴァレンティン、はたまたガキ使の笑っちゃいけない二十四時。

ちょうど俺の腰くらいの位置にある殺人鬼の頭めがけてフルスイングする。


「あばよ、サラリーマン」


高速で弧を描き、遠心力を味方につけた鉄パイプがリーマン殺人鬼の顔面を打ち抜くと思った瞬間。


殺人鬼の腕が動き、片手で持った鉈で俺の全力のフルスイングを受け止めた。


「………ぇ?」

「…ゅ、うゥしゃああぁぁァァァあ亜ア阿啞あア婀アアッッッッ!!!!!!」

「うおおおおおおお!?」


嘘だろ!?

てかこっちは両手なのに、こいつは片手で受け止めるとかどんな筋力だよ!

しかも押し返してきやがる!?


「ゴリ!」


よろめきながらも立ち上がろうとする殺人鬼。

俺は鉄パイプで全力で殺人鬼を押し込みながら、叫んだ。


「オッケー!」


返事と共に、ブルルン、とエンジンの音がする。

暗い工場の中に、サーチライトの光が現れる。

暗闇に大きめのバンの姿が浮かび上がる。


俺は最初から鉄パイプで殺せるとは思っていなかった。

なので、こっちが本命だ。

まあ、なんで廃工場に車があるのかというと、あの車でチョメチョメしてるから。


「ハシュ、退け!」


此方に急発進してくるバンの姿を横目に、俺は殺人鬼が避けられなくなるであろう限界まで車を引きつける。


「よっしゃぁ!!」


限界で、後ろに飛ぶ。

その脇スレスレをゴリが乗るバンが通る。


「死ねクソが!愛車の仇!!」


ゴリが叫ぶと同時に、車が殺人鬼を押し潰した。



これ書いててスマホ依存はやめようと思った


鉄パイプはアレです、なんか先っぽに付いてるやつ。曲がり掛け?みたいな。つまり先っぽに比重が傾いています。

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