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不思議な男

気付いたら一週間たってて本当にすいませんでしたああああ(土下座)


申し訳ないですうううううう!!!

今回は少し長めの、ミストさんの視点でお送りいたしますッッ

 

 ◇◇◇




 私――ミスト・エジンバラがお嬢様――アンネマリー・エル・ラージーン様の側仕えとなったのは、七年程前の頃だった。


 当時の私はろくにご飯も食べた事が無い、飢えと疲労で満足に言葉を紡ぐ事も出来ない乞食だった。

 その、路傍の石にも劣るような、襤褸雑巾のように道端に転がっていた私を拾いあげて下さったのが、当時七歳であったお嬢様だった。

 お嬢様は私に、暖かい食事と、服と住む場所、エジンバラという名、そして学問を与えて下さった。


 よって私は、その日からアンネマリーお嬢様に命を献げる事にした。命の恩人である彼女を、守ろうと誓ったのだ。

 その誓いは今では私の生きがいでもある。


 偶然幸運な事に、私は剣の才能と、『精霊憑きアザ・シャーマネス』という特異体質があったため、それを為すことは容易かった。


 剣を握って数ヶ月で、私は剣の師匠を超えた。

 お嬢様にそれを報告すると、当たり前だと言っていた。

 何でも私は『ちー・ときゃるあ』らしい。

 それが何かはよく分からなかったが、何となくお嬢様は私を信頼してくれていると思った。


 しかし、守る、と誓った私であったが、お嬢様は殆ど私の手を必要とはしなかった。

 苛烈なまでの性格と、奔放なその行動は、気高い獣のように美しく、そして強かった。


 だが、お嬢様の父上たる御当主様はそれをあまり良くは思わなかったようだ。

 御当主様は私に、お嬢様の振る舞いが行き過ぎた時は諌めるように、と厳命されていた。


 私が仕えているのはお嬢様ではあるが、私を雇っているのも、社会的な後ろ盾となっているのも公爵たる御当主様であり、またそれはお嬢様にとってマイナスでは無かったため、私はそれに従うことにした。

 とはいえ、殆ど私がお嬢様を諌めるということは無かったが。


 しかし、隣国であり大国である聖シエラエール王国に、国使として訪ねた時は流石にひやひやとした。

 お嬢様が、その従姉妹であるシャルランテ殿下に対して、いつも以上にお嬢様は苛烈に振る舞ったからだ。


 シエラエール王国はラージーン王国よりも大国であるから、シャルランテ殿下が気分を害されると我が国としては不味い。

 シャルランテ殿下がもしその父上、バルハタザール陛下にお嬢様の無礼を告げたならば、すぐ様ラージーン王国が攻められる事だろう。それくらい、バルハタザール聖王陛下の子煩悩は有名だ。

 そして万が一にも滅ぼされるような事があれば、お嬢様も生きてはいられないだろう。


 私の中で最も優先順位が高いのは、当然お嬢様の命だ。たとえ嫌われようと、お嬢様の命を守る為なら何だってやる。


 そんな思いからお嬢様に箴言すると、お嬢様は何とか私の言葉を聞き届けて下さったようだった。


(良かった)


 シャルランテ殿下へのお目通りが終わってからも、思い出す度にそう思う。

 しかし、もしかしたらそれで嫌われてしまったかもしれない。

 そう思うと、どうにもやるせなかった。


「はぁ………」


 今日、幾度と無く吐いた溜息を再び吐く。

 こんな時は風呂にでも浸かって気分を一新するのがいいだろう。


 私は、垂らされた暖簾をくぐった。

 中に入ると、暖簾によって仕切られていたそこには、湿気の強いむわっとした空気が漂っている。


 ここは、シエラエールの国城でもある大聖殿の中にある、使用人用の大浴場だ。

 流石大国、とでも言うべきか、脱衣所も驚くほど広い。私は適当に置いてあった籠を選ぶと、手慣れた手つきで服を脱いでそこへ入れた。


 なぜこんな所に私がいるのかというと、お嬢様がシエラエール王家に近しい人物であるという事で、特別にお嬢様と、その側仕えの私も逗留を許されたからだ。


 お嬢様は、

「あんたの顔は辛気臭いから、お風呂にでも行って来なさい」

 と言って、すでに就寝なさってしまった。

 それは恐らくお嬢様なりのお気遣いだろう。

 私は、その優しさにいたく感動して、お言葉の通りにすることにしたのだ。


 ガラリと扉を開けると、脱衣所よりもさらに湿度の高い、むわりとした熱気が漂って来た。

 蒸気が白い霧となって私の頰を撫でる。


 大浴場は、脱衣所よりも更に広い。

 今にも浴槽に飛び込みたくなる衝動を抑え、私は手早く、しかし丹念に身体を洗っていく。

 お嬢様に拾って頂く以前にできた古傷が所々残り、幼い頃の栄養失調によりなかなか成長しない、痩せっぽちで貧相な身体など、適当に洗えば良いと今までは思っていたが、お嬢様はそれを良しとしなかった。


「あんたも身嗜みには気をつけなさい。なんて言ったって、あんたは私の執事なんだから」と言って、髪を熱心に手入れするお嬢様の姿が瞼に浮かんで、私はふふっ、と笑った。


 身体を洗い終えると、湯船の方へ向かう。

 そろりと足を踏み入れ、続いて全身をお湯に浸らせる。


 ほう、と、つい息が漏れた。

 湯の色は白濁としており、うっすらと透き通っている。


 いい湯加減だ。

 お嬢様はこの風呂の温度では熱いと言うだろうが、私は結構熱めの湯の方が好きである。


 瞼を閉じて、身体から力を抜く。

 湯によって解れていく感覚が心地よい。


 しばらく微睡むような感覚を楽しんでいると、ふと、昼間にお嬢様が興味を示した青年の事を思い出した。

 お嬢様が私と交換するとか、冗談を言っていた青年だ。


 どんな成り行きか、私は彼と戦う事になった。

 私の方が圧倒的に強かったし、本気まで出したが、結局ルール的に負けた。

 私に一太刀入れる身体能力は特筆すべき点だったが、それ以外は並か、それ以下だった。しかし、駆け引きや小細工でスペックの差を埋めてくるところは見習うべきところがあった。


 正直正面から戦えば負ける気はしないが、しかしお嬢様に見立てた旗を蹴り砕かれたのは流石に堪えた。

 例えお嬢様では無いただの旗だとしても、お嬢様に見立てたのならば死にものぐるいで守るべきだった。


 熱中すると周りが見えなくなるのは私の悪い癖だ。最近では無くなって来たと思っていたが、こんなところで再びぶり返すとは……反省、反省しなくては。

 鍛錬が足りない。


「……しかし……ハシュウと言ったか……」


 不思議な男だ。

 私より弱い筈なのに、なぜか底が見通せない。

 闘っている最中も、例え私に圧倒されていた時ですら、必死さの奥に、余裕が見え隠れしていた。


 何となく、そう、例えるなら浅い泥沼で泥遊びをしていると思ったら、そこは本当は底なし沼だった時のような……そんな恐怖というか、気味の悪さというか、不気味さというか……何か、言葉に言い表せない、嫌なものを感じた。


「?呼びました?」

「!!??」


 近くで声が聞こえて、私はざばっと水音を立てて身を起こす。

 馬鹿な、この私が気配を察知できずにここまで接近を許した!?


 急いで声のなる方へ向き直ると、そこにはあの男――シャルランテ殿下の執事、ハシュウがいた。


(全く気配を感じなかったぞ!?)


 ハシュウは何気無い足取りで、湯船に浸かる。

 目の前にいるのに、その気配はやはり希薄だ。


「あぁ……いい湯だ」


 深く息を吐いてリラックスするハシュウだが、依然としてその気配は掴み所が無い。


 その事に、私は背筋にひやりと冷たいものを感じた。

 気配をここまで悟られずに近寄れたという事は、私を殺す事も可能だったかもしれない。そんなことが、いや、この男――いや、待て。何よりもまず――


「な、何でお前がここにいる!!?」

「……え?何でって、私も風呂に入るからですけど?」

「そ、そうじゃなくて!」


 悪びれずに言うハシュウ。

 私も驚きのあまり素の口調が出てしまう。


(こ、こいつまさか変態!?分かっててやってるのか、知らずにやったのか、どっちだ!?ここは、ここは――)


「ここは、女湯だぞ!!?」


「………………は?」


 一瞬沈黙し、フリーズしたように固まるハシュウ。

 だがすぐに元に戻る。


「い、いやいやいや、それは無いですよ。私も確認して入りましたし、それに例えここが女湯だとしても、ミストさんが居るって事は、ミストさんも入るお風呂を間違えてるって事に――」


 この男は何を言っているのだろうか。

 確かに私は痩せっぽちだし、貧相で身体の起伏に欠けるが――


「わ、私は、女だ!!」



 その一言で、ハシュウは完全に硬直する。

 そして、私の顔を見て、それから視線が首、鎖骨と下に向かって――


「!?」


 そこで私は自分が立ち上がっていて、自分の身体を隠すものが何も無い事に気付き、急いで腕で隠して湯船にしゃがみ込む。


(見られた)


 生まれてこの方お嬢様以外の誰にも見られた事の無い自分の裸を、今日出会ったばかりの、どこの馬の骨とも分からない男に見られた。


 私は恥辱からか、かぁっと頬と耳が熱くなるのを感じ、ハシュウを睨み付けた。


「こ、この、へ、変態!」

「へ、変態!!?ちょ、待って下さいよ!誤解ですって!」

「な、何が誤解だっ!?お、お前は、女風呂に入ってくる、下心満載の変態だぞ!?」

「だから誤解ですって!そんな下心とか何も無いですし!」

「な、ナニもあるじゃないか!へ、変態……うぅ、なんでこの変態はこんなに変態なんだ……!」


 誤解だと言うが、ハシュウには全く風呂を出て行こうとする気配が無い。

 ダメだ、この変態は言葉じゃどうしようも無いぞ!?

 も、もう、殺るしかないのか!?


「あ、『雷精剣アザ・ワルワッ――」

「ス、ストーーッップッ!!」


 ハシュウがよく分からない言葉を叫びながら全力で止めてくる。


「よく考えてくださいって!?ここって夜十二時に男湯も女湯入れ替わるんですよ!た、多分ですけど、ミストさんは十二時前から入ってたのでは!!?」

「………あ………」


 その可能性は考えていなかった。

 確かに、それなら辻褄は合うかもしれない。


「い、今は何時だ?」

「私が浴場に入ってきた時は、既に十二時を四半刻ほど過ぎていましたよ」

「……私がここに来たのは……」


 じゅういちじはんくらいだ。

 そこまで呟いて、私は先程までとは異なる理由から顔を真っ赤にした。恐らく今の私は耳の先まで真っ赤なトマトの様になっているだろう。

 うう、恥ずかしくて死にそうだ。自分の不手際で相手を変態呼ばわりするなんて。

 しかも相手は、シャルランテ殿下の執事だ。


「…………」

「…………」


 気まずい、沈黙。

 だがその間に、ようやく私は何とかほんの少し落ち着きを取り戻す事が出来た。

 しかし、何となく、風呂を出るに出られない。

 というか、あっち向けよ!出られないから!


「……あ、やべえ呪い(かいじょ忘れてた」


 心の中で絶叫していると、不意にハシュウが顔を逸らして何か小さく呟いた。

 何を呟いたのかはよく聞こえなかったが、それと同時に、希薄だった彼の存在感が、段々と濃さを取り戻していく。

 その様子はとても奇妙で、とても得体が知れなかった。


「あの」

「な、何です?」


 ハシュウが話し掛けて来た。

 私は、取り繕った執事の口調で返事をした。

 やや上ずった声が出たが。


「今日は、ありがとう御座いました。アンネマリー様を、止めて頂いて」

「あ、あぁ……別に、止めた訳では無いですが……」


 その不気味さはさておき、ハシュウが言っているのは私と奴が闘いを終えた後の事を言っているのだろう。

 あの時のお嬢様は、荒ぶる精霊のようだったから。


『こんな勝負なんて無効、認めないわよ!もう一度、正々堂々と闘いなさい!!』


 凛々しくそう言ったお嬢様の姿が浮かぶ。

 本来ならお嬢様に味方するべきであったが、私もあの時は敗者の身。


 護衛の本分を忘れておいて闘った末、おじょうさまを砕かれてしまったのだから、その勝敗に関してはぐうの音も言えないほどに、私の負けだ。


 それをお嬢様の好意に便乗してどうこう言ってしまうと、私は本当の敗者となってしまう。

 故にお嬢様の言葉を肯定する事が出来なかった。それはただの私のエゴで、決してありがたがられるようなものでも、褒められるようなことでも無い。


 もしあそこで自分の負けを認めなかったら、私は今頃“お嬢様の護衛”という心の支えを、生きがいを、心を失っていただろう。

 それだけは避けたかった、ただそれだけだ。


「何にせよ、助かりました。姫様はどうやら、アンネマリー様には強く言えないようでしたので」

「はあ……」


 深々とこちらに頭を下げるハシュウ。

 そのつむじを見ながら、私は何とも言えない気持ちに包まれた。

 あんなに警戒していたのが馬鹿らしくなる。この男も、私と同じ、主人に身を捧げるのが生きがいの人物なのだろう。

 なぜならその声には、主人への愛情が滲み出ていたから。


 だから、私は彼に少しだけ共感めいた、親近感を覚えた。いや、覚えてしまった。


「こちらこそ、シャルランテ殿下の御心の広さには助けられました。アンネマリー様は少々行き過ぎるところもありますが、本当はとても素晴らしいお方なんです」


 助けられたのは本当。行き過ぎは嘘。素晴らしいは本音だ。


「もちろん、存じております。とても、とても高潔なお方ですね」

「……ええ……!」


 そうだ、その通りだ。お嬢様は、とても美しくて、高潔で、素晴らしいお方なんだ。


 顔を上げると、にこやかに微笑むハシュウと目が合った。

 何となく、この男とは気が合うかもしれない。

 お嬢様が褒められた事が、何だか少しだけ嬉しく、そして誇らしくなって、私は何度も頷く。その様子を、微笑みを称えながら、ハシュウはじっと見つめていた。

 そんな時、


「あ」


 と、ハシュウが何かを思いついたように言った。


「どうか、しましたか?」

「あ、いや………その、聞きたい事があるんですが、精霊ってどんな感じなんですか?」

精霊ジン、ですか……?」

「いや、突然すいません。つい気になってしまって…」


 気恥ずかしそうに頭を掻くハシュウ。


(まぁ、少しくらいなら話してもいい、か…?)


 やや戸惑いながらも、しかし僅かながら彼に親近感を抱いていた私は、精霊について簡単に教えてやることにした。


「そうですね……精霊は簡単に言えば、意識を持った魔力の塊、ですね。とは言え、その自我は限り無く薄いです。彼等は気に入った者が求めれば力を貸してくれますが、彼等自身が自発的に何かをしてくれる、ということはまずないですね」


 現に私に憑いている精霊も、力を寄越せと求めなければ力を与えてはくれない。


「なるほど……」


 私の説明を聞いて、いやに納得したような顔をするハシュウ。

 疑問に思う何かがあったのだろうか。


「ちなみに、ミストさんの雷も?」

「……えぇ、まぁ。雷の精霊の力、ですね」

「あの雷は凄まじかったです」


 ハシュウは何故か嬉しそうな顔をする。

 何故だ、あれだけ私の雷には苦しめられただろうに。もしかして、コイツは被虐趣味の変態なのか?


 というか、何故私は未だにこの男と風呂に入っているのだろうか。


 ふと我に帰る私。

 しかし、風呂を出たいがハシュウがいるから出るに出られない。

 私はどうすればいいんだ?


「精霊について教えて下さった御礼に、私も一つ教えて差し上げますよ」


 どうすればいいか悩む私に、ハシュウが声をかけた。


「……?何を、ですか?」

「私の力について、です」

「力……?」


 ハシュウは頷いて、自分の胸板のあたりを指した。

 そこには私がつけた傷があった筈だが、痕は残っていない。


「傷が……?」

「いえ、傷は姫様に治してもらいました。少し見ていて下さい」

「はあ……」


 何だ?一体何をしようとしているんだ?

 ハシュウの思惑を図りかねる私。


「………《黒刻ゾブラ》」


 だがその瞬間、ぞくり、と背中が粟立つのを感じた。

 目の前の男が、何か別物――ヒトではない何かに成ったような――


 ハシュウの身体から、陽炎のような黒いオーラが放たれた。

 黒色の触手が、膨れ上がるようにして水面の上を暴れ、炎のように揺らめく。


「………ッ!!?」

「実は今日、ミストさんのお陰で気付いた事がありまして……」


 ハシュウが、水をかき分けて此方へと近づいてくる。

 そのオーラが、蜘蛛が餌を捕らえる時のようにして、私の周囲を回り込む。


「貴様ッ、何を……ッ!!?」


 咄嗟に後ろへ飛び退こうとするが、私は動く事が出来なかった。

 全身に力を入れて動こうとするも、万力で固定されたかのように、ピクリとも動けない。


 ハシュウを見ると、その全身に絡みつくように、黒い刺青がのたうち回っている。

 それはたちまち奴の身体を覆い尽くし、その肉体を漆黒に染め上げる。


 やがて、私の所まで来たハシュウは、真っ黒に染まった手を私の額に当てた。


「やめろ……ッ!?何をする気だ!?」


 額を通じて得たおぞましい感触に、私は悲鳴にも似た声を上げた。

 身をよじって逃げようとするが、やはり私の身体は、私のものでは無いかのように、ピクリとも動かない。


 ずずずっ、と、蛇が這うような感触が全身を這い回り、悪寒が背筋を貫き、頭の中で危険を示す警鐘が、うるさいくらいに鳴り響く。


 焦りで歪む視界の中、ハシュウの瞳が妖しく煌めいた。

 その瞳の奥に、此方を見て嘲笑う蝙蝠が見えた瞬間――肉体にくが、心が、たましいまでもが揺さぶられ、急速に意識が遠のいていく。


「あ………お…じょ、う……」


 もはや口を動かすこともままならない。

 それは、蛇に睨まれた蛙が感じるような恐怖からか、それとも目の前の男が為す、この世のもの(じんじょうならざる力からか。

 どちらにせよ、その真実が私に解るべくも無い。


 ハシュウは、くつくつ、と可笑しそうに嗤う。


 嬉しそうに嗤う。


 楽しそうに、嗤う。


 そして、諦念にも似た表情を浮かべた私に、一言だけ呟いた。


「……《我が意に従え(アカハト・アシュハト》」


 その一言で、私のなかに、何かが――のろいが、いってくる。

 蝕むようなのろいが、微睡むようなのろいが、腐敗したような悪意のろいが。


 それを境に、私は―――




ミストからみると美化二百%アンネマリー


そろそろ一章も終わりそうですね〜

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