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次に来る者  作者: リュウ
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ティトからオーウェンへ

 ティトは、遠距離通信専用の高度通信室に居た。オーウェンに風呂で考えたことをビデオレターで送るためだ。ティトは、一通り説明を終え椅子に腰かけた。

「これからは、僕の独り言さ。聞き流してくれ」と、言うと立ち上がり、歩きながら話始めた。

「人工知能を考えると人類が古くから研究していた『永遠の命』を考える事と同じだと思わないかい。

『永遠の命』については、残念ながら答えは見つかっていない」軽く両手を上げると肩をすぼめた。

「生命を考えるということは、『自分とは何だ』と考えることになる。『自分である』とは、その人の記憶が自分自身の記憶が、他の人の記憶より、遥かに多いことで、決まるのだ。そうは、思わないかい?」

 ティトは、くるっと回れ右をし歩きながら、話を続けた。

「この世に生を受けた生物は、その種を残す為色々な方法を使った。その方法をその生物自身が考えたのかは、別として、天敵から身を守ることはしていたようだ。数で対抗するものや隠れたり逃げたりして種を守っていた。人類は、生物の能力に考える力と作る力を手に入れ、地球の生物の頂点に立った。今では百二十歳まで寿命が延びた。生物の基本である十五億回の心拍数のリミッタを超えてしまった。これからは、地球を離れ重力というストレスから解放され、更に寿命が延び、生物の領域を超えてしまうだろう」

 また、回れ右をし歩いた。

「でも、肉体が衰えることは避けられない。悪くなった所は、機械の部品のように取り換えることで、ある程度、肉体を維持できるだろうが、脳はできないだろう。すべて脳に記憶されているとした場合、脳を取り換えると自分が生きてきた記憶が無くなる。それは、死んだことになる。それでは、『自分に関しての記憶』を永遠に保持することができれば、自分は永遠に存在することができるとすれば…」

「永遠に生きられるのは、アンドロイドではないか?部品の取り換えができる。アンドロイドは、人類を超えてしまうのだろうか」

「少し気になっているのは、私たちがこの世に生を受ける時、胎内で人類の進化の歴史を体験する。その体験は必要なのだろうか?それが、もし必要だとしたら、私たちの命とアンドロイドの命とは、別なモノなのかもしれない」

「アンドロイドが完全体とするならば、僕らは、それを作り出すための存在だったのかもしれない。神が求めていたのは、我々ではなかったのかも…」ティトは歩くのを止めた。

「永遠の幸せをアウラと君と僕らが作るアンドロイドとともに過ごせたら、楽しいだろうね」

 ティトは、録画を停止した。


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