表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
次に来る者  作者: リュウ
4/34

ティトの人工知能

 ティトは、風呂に入っていた。温めのお湯にゆっくりとつかり、考えことをするのが好きだった。

 一日中、一つの事を考え続け、お湯につかって目を閉じていると、時折神様からご褒美をいただけたりする。そう、ピンときた感じだ。

 ティトは人工知能を考えていた。

 ティトが新しい人工知能を作ろうと思ったのは、何か違うと思ったから。

 しっくりこないのは、人工知能は途中から与えられた生命という感じだからだ。

 人類が胎内で進化の歴史を体験し生まれてくるのは、ちゃんと意味があるのではないか。

 それは、たぶん、なるべくこの世にとどまれるように。

 生物は自分の種が生き残るために色々な方法を使っていた。天敵から身を守るために、数で対抗するものや隠れたり逃げたりして種を守っていた。

 逃げると言えば、面白い例がある。蛇を見たことのないサルの群れに蛇のおもちゃを投げ入れてみると、サル達は必死で逃げ回る。

 なぜ、サルは蛇を恐れたのか?

 『蛇が危険だ』と分かっているからだ。

 サルはどこでその情報を入手したのだろう?

 言語を持たないサルがどのようにこの情報を伝達していったのだろう。

 DNAに記憶されたのだろうか?

 もし、そうなら、その祖先は必ず蛇の恐怖を経験しなければならない。すべてのサルが経験しているはずだ。そんなことが可能だろうか?

 生物は生き延びるため危険を避ける必要がある。そう言った生命を維持するための基本的情報は、生命の種が決まった段階で、ある場所からダウンロードされるのではないか。

 さらに、人類はもう一つダウンロードされるらしい。

 それは、『記憶』だ。

 チベットに住む僧侶は、生まれ変わることができたそうだ。その僧侶が亡くなると生まれ変わりを探し、見つけると検証が行われた。その検証とは、前の人物の記憶が残っているかを質問し確認した。 

 これは、個人の記憶がダウンロードされたかの確認だ。

 人はどうやって『自分である』と確信するのか?

 『自分である』とは、その人の記憶が自分自身の記憶が、他の人の記憶より、遥かに多いことで決まる。

 つまり、『自分に関しての記憶』を永遠に保持することができれば、自分は永遠に存在することができる。

 永遠に生きられるのか?

 『永遠に生きる』これは残念ながら実証できない。永遠を確認できないからだ。

 もしかして、既に僕らは永遠に存在しているのかもしれない。

 ただ、覚えているか、覚えていないかのだけで。


 自分の記憶が、脳の中ではなく、別の所に蓄えられるとすると、

 身体は、『自分』がこの世を体験するための入れ物にすぎないってこと。宇宙に出るときに着る宇宙服や青い海の中を散歩する時のウエットスーツみたいなもの。

 そうすると、前世の記憶が残っているっていう『生まれ変わり』が説明できる。そして、『自分』が、入れ物を改良していった。

 カンブリア紀に様々な動植物が存在している。本当に突然変異であれだけの動植物が存在しただろうか?

 花に姿を似せた虫や虫に姿に似せた花。

 種を遠くに運ぶための仕組み。

 突然変異の偶然だけで説明するには無理がある。創造主の意思を感じる。

 ある者がこの世界を体験するために『入れ物』に改良を加えたのではないか?

 その入れ物は、DNAの組み合わせによりつくられ、その入れ物がこの世に存在したときに、『入れ物』つまり、生物は、生き延びるため危険を避けるための基本的情報をある場所からダウンロードしたのではないか。これで、蛇の話が説明できる。

 そのダウンロードされるデーターと肉体がどのように決まるか?つまりどうやってリンクするのだろう。

 生物は、種によって生活環境が決まり、天敵も決まる。種によって生き残るための防衛データーが決まる。要するに種によって決まるということは、DNA配列の何かが影響している。

 DNA配列は我々の身体を作り上げるだけではなく、記憶とのつながりも兼ねている。つまり、体と記憶をつなぐ鍵のようなもので、全く同じDNA配列のものに記憶をコネクトすることができるのではないか。

 DNAの並びにより発生される何かが記憶との鍵になり、同じ型同士繋がれる。

 この『何か』が不安定な場合、複数の記憶と結合することがあるのではないか。もしかすると、それが多重人格や交霊者、霊媒師やシャーマンとよばれる人たちではないか。彼らは、鍵を複数持っているとしたら、不思議なことも説明がつく。

 この仮説だと、永遠に生きられる。

 同じDNAの器があれば、記憶をダウンロードするだけで永遠に生き続けられることになる。この仮説を証明するために実験では、DNAとリンクできる『自分』をなるべく特定したい。

 記憶だけなら、人工知能搭載型のアンドロイドは、私と同じ人間だと言えるのではないか。

 限りなく人間に近い人工知能ができたら、『人工知能心理学』も必要になるかもしれないな。

  アラームがなり、ティトは風呂から上がった。忘れないように、ティトは大まかに壁にプロットを殴り書きした。

 急いで服を着て、深呼吸すると、ビデオの録画スイッチをいれた。

「オーウェン、元気か?風呂で考えたことを送るよ。これで、僕が考えた人工知能が分かると思うよ。じゃ、始めるよ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ