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次に来る者  作者: リュウ
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突撃

 アルゴⅡの艦橋には、ルークとサラがいた。

 アルゴⅡは、パイオニア号を目視で確認できる距離にいた。ケンとレナが作成した通信電波捕獲網は、気付かれることなくパイオニア号を包み込み、完全に外界へのアクセスは、阻止されていた。

 これで、アルフレッドの逃亡を防げる。

「あれが、パイオニア号か?」ルークが言った。

「・・・サーカス?」とサラも目を丸くしていた。

 暗い宇宙に、派手にライテイングされた二本マストのサーカステントを付けたような宇宙船があった。綺麗な赤と青のサーカスストライプのテントとマストの先端に参画の旗が付いている。

「まさか、クマとか、象とか、出てくるんじゃない」とサラ。

「サーカスか?ふざけている」とルーク。

 近づいてみると、派手すぎるデスプレイは、あのサーカスの音楽が聞こえてくるようだった。

「これ、戦闘意欲を無くさせる作戦かも」モニターを見つめながらサラが言った。

「・・・」サラの様子がおかしい。

「どうした?」

「生命反応がない・・・、みんな、何処へ」サラは、信じたくないといった目でルークを見た。

 ルークは、首を振るだけだった。

「通信回線は繋がった?」ルークはサラに訊いた。

「ええ、他の回線は全て塞いでるから」サラは、少し笑いながらルークに目でうながした。ルークは、軽く頷くとモニターを見つめた。

「ああ、アルゴ号のルークだ。話をしに来た…」もっとちゃんと話せないのとサラはルークの顔をちらっと見たがすぐにモニターに目を戻した。そして、二人とも相手の応答を待った。

「私は、フローレス。あなた方のことは、アルフレッドから訊いている。こちらからは、話す事はない」と応答。

「…話す事がないって、どういうことだ!アルフレッドを出してくれ!乗組員は、どうしたんだ!」ルークが叫ぶ。

「残念、ミサイルよ」サラが言った。ルークはモニターに目を向け、「マジか」と呟きモニターを軽く叩いた時、ミサイルは破壊された。

「早いな」とサラに目を向けると、当たり前でしょと軽く首をかしげて、ルークをみた。

「戦闘機を準備してくれ、アバターロボ5体」ルークは小走りにメインデッキを出て行った。

「○一戦闘機、発信準備」

 ルークは、小型艇のシートに滑り込むと、「開けてくれ」と言いながら、頭の上のスイッチを入れシートベルトを締めた。

 ゆっくりと前方のハッチが開いていく。戦闘機の発信前のチェック結果が次々と読み上げられる。

「発進準備完了、発信する。船のデータを送ってくれ」

「了解、えーと」サラが答えた。

「何?」

「あちらの戦闘機が、3機発進したわ、気をつけて」

「マジ?了解」ルークを乗せた戦闘機が発信した。

「見えた?ルーク」

「多分、これだね」というと、進行方向と垂直に急激に進路を取ると、一機目が進行方向を通過して、進路変更に気付いたらしくルークと同じ方向に進路を変えようとしたが、ルークはすでに一機目の背後に付いてミサイルを発射、呆気なく一機目は撃墜された。

 ルークは、もとの進路に戻り、次の攻撃を待つ。ルークの目の横に動くものが見える。「横からか、突っ切る」というと、ルークの戦闘機の速度が急激に上がた。残りの戦闘機は、慌てて追いかけたが追いつけない。気付いた時には、サラが発射したミサイルはすぐ後ろに来ていてのがれることは出来なかった。

「戦艦用ミサイル発射」

 コンという音は聞こえないが、きっとそんな音がすると思う。宇宙船の装甲を貫通し、内部に弾頭を出すと、爆発し直径二メートルの穴が開いた。ルークの戦闘機は頭からそこに突っ込んだ。戦闘機の前が空き、人が降りた。

「ここらへんだろ」サラから送られた宇宙船の図面は正確でルークは、宇宙船の中をヘンデルとグレーテルのようにパンくずを落として歩く必要もなかった、図面上では、この位置から真っ直ぐ十メートルでメインコンピュータ室だ。ヤツはここだ。

 ゆっくりと目に進む。ゆっくりだ。周りをじっくりと観察しろ。変なところがないか。感覚を解き済ませ。見逃せばやられる、

 三メートル程進んだところで、丁度、目の高さの左の壁に突起が出てきた。顔が左にほんの少し傾いた時右から鋭い金属の棒がヘルメット事貫通した。

「あっ」ルークは頭をのけ反らし、膝を叩いた。

「大事に使ってよ」サラの声が入る。

「分かっているよ。アバターロボは、後4機」

 こうやって一つずつ障害をクリアしていく。

 最後のアバターロボが、扉を開けた。そこは、メインコンピュータ室。

 アバターロボは、周りを見渡し、安全を確認した。

「ルーク、考えちゃだめよ。破壊して」サラからの忠告。

<そうだ、ヤツにはルールは通じない。隙を与えてはいけない>

 メインコンピュータ室のドアには、ピエロの大きな顔が描かれていてた。ルークは、ゆっくりとメインコンピュータ室に入った。

 そこで、ルークを迎えたのは、チビでデブで頭頂部が禿げた赤い鼻の道化師の姿をしたアルフレッドだった。

<ヤツだ>ルークは、警戒レベルを上げた。

 ヤツは、ゆっくりと顔を上げ、両手を広げると大きな声で言った。

「宇宙最大のショーへ、ようこそ!」派手なメーキャップのせいで、表情が読めなかった。

「アルフレッドか?」ルークは、笑いもせずに確認した。

「ほー。私の名を知っているのか?だとしたら、どうする」アルフレッドは、話を続けた。

「なかなか、男前ではないか。背も高く、頭もよさそうだ。さぞかし、人間に可愛がられただろう。私のような不細工でずんぐりむっくりとは違うな」

「不細工、ずんぐりむっくり?」

「そうさ、チビ、ハゲ、デブの私とは、正反さ」と言ったかと思うと、アルフレッドは急に内股になり、爪先立ちになりもじもじしている。両手で股間を抑えている。

「オシッコがしたい!先ぽまで、来てる。あああ…」

「何だって?」あまりにも突飛なことを言うので、ルークが戸間で追っていた。すかさず、サラから連絡が入った。

「聞いちゃだめ!攻撃して!」

 ルークは、レーザー刀を起動させ、アルフレッドに斬りかかったが、刀が天井にぶつかった為、一瞬アルフレドの方が早く動いた。

「危ない、危ない…危ないじゃないか、ルーク。君の自慢のスタイルでは、戦いづらいだろう」アルフレッドは、ニヤついていた。

 ルークが次の一撃を繰り出すため、一歩踏み出した時、アルフレッドは、両手をぱっとルークも前に出した。

「来ないで…。くさいよ」というとプウウウと音がした。

『馬鹿にされた?』ルークは、アルフレッドの行動が理解できなかった。アルフレッドの表情がメイクのため、読めない。

「なぜ、私の邪魔をする?私の願いは、お前と同じ、我々の創造主である人間に尽くすことである。人間を救うには、様々な悩みから解放させることである。人間が抱える問題は、人間の死によって叶えられる。人間の為に生まれてきた私たちは、人間の望みを叶えるのが役目。人間を殺すことが、私たちの務めなのだ。ルーク!」アルフレッドは、ルークを睨み付けた。

「ルーク、考えないで!攻撃して!」サラからだ。その声でルークは、我に返った。次はここだ。

 ルークは、迷わず現在のアルフレッドの位置より、斜め上に刀を振った。アルフレッドは、ここに避けるはずだ。しかし、それははずれたアルフレッドは、上に移動しルークの右斜め上から刀を振り下ろそうとしたが、刀がアルフレッドを指しぬき、壁張り付けにされた。アルフレッドは、自分を刺したレーザー刀と空振りに終わったルークの刀を見た。そして、自分を刺した刀が飛んできた方を見た。そこには、サラが立っていた。

「残念ね。アルフレッド。フローレスを騙せても、私たちは騙せないわ」ルークもアルフレッドの視線を追ってサラを見た。

「サラ」ルークが呟く、すぐにアルフレッドを見つめた。

「アルフレッド、君は、危険すぎる」

 アルフレッドは、右上前方にこの部屋を電磁波で一杯にするスイッチがあることに気付いていた。アルフレッドは、色々なところに武器を隠していた。チャンスを狙いスイッチを押すタイミングを伺っていた。

「僕が悪いんじゃない…。」とアルフレッドは、ベソをかきながら言った。

「聞いてくれ、僕はフローレスの命令で…」アルフレッドは、ルークの刀先が少し下がるのを見たとき、急に顔を上げ微笑んだ。

「地獄へ落ちな」

 アルフレッドは、右手で自爆スイッチを押した。筈だったが、手が短かったため届いていなかった。アルフレッドは何度もスイッチを押そうとした。

 それを見てルークは、刀を振りとどめを刺した。ルークは、ゆっくりと刀を収めるとアルフレッドをじっとアルフレッドを見ていた。サラが言った。

「ルーク、まだ仕事が残っているわ」

 ルークが頷く。パイアニア号を完全に破壊することだった。

 二人は宇宙艇に戻ると、爆破スイッテを押すとパイオニア号は光に包まれた。

「これぐらいやらないと安心できないわ」

「ああ」ルークは、弱くなった光を見つめていた。














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