生体ナンバー一六九八 ティト
ルークは、ケンの部屋に向かっていた。ケンとレナがいるらしい。ルークが部屋の前に立った時、ドアが開いた。二人の顔を見て、軽く右手を上げた。
「何か用ですか?あまり、時間がありません。アルゴⅡの点検があるので…」とルーク。
「あぁ、分かったよ、ルーク」とケンが言い、少し時間を空けて話始めた。
「たぶんだけど、二人が知っていて、僕が知らないことがある」ケンがレナとルークを見た。
レナが、何のこと?っと言うように額にシワを寄せるた。
「リッキーは、『ティト』を探してたよね。リッキーが探していたということは、マザーが探していたことと同じだよね」二人は頷いた。
「レナとルークは、知ってたよね。ティトって誰?」
なんだそんなことか、と言うようにレナが話始めた。
「ケンは、会っていないのね…。私とルークは、知っているわ。ティトは、私が五歳の時に亡くなったの、私にはやさしい思い出しかないわ」レナが言った。続いて、ルークが言った。
「レナの言った通り、もう、亡くなっています。ティトは、私の人工知能の開発者です」
「そのことは、マザーも知っているよね。死んでるって…、なぜ、探しているだろう?」
ケンは、レナとルークに詰め寄った。
「ゆっくり説明するわ。ルーク、お願い」レナは、ルークに説明するようにとアイコンタクトをした。
「生体ナンバー一六四八。名前はティト。性別、男性。ランクAに属しています。生存期間は三八七一年三月二五日に三時一二分三二秒から三八九四○年九月一七日九時七分一二秒。ティトは、マザーに対して三六の成果を上げています」と言って一覧を表示した。
「三九四○年九月一七日って、僕の誕生日の一年前だ」ケンは、呟きながら、一覧を見つめた。
「これは、ルーク、君のことか?」ケンは、その一覧の一つを指さし言った。
「そうです。私は、三八九○年にアウラにより製造され、人口知能は、ティトが開発しました」
ルークは、淡々と答えた。
「アウラ?だれ?」ケンが訊いた。
「ティトのパートナーです。やさしい人であり、最高のエンジニアです。ティトが亡くなる五年前に他界しています…」ルークは、少し声を強めて言った。
ルークは、艦橋での戦闘開始の話の後、マザーに呼ばれたことを話した。
「そうか、マザーは、ティトとの約束が果たされるを待っているんだ。ティトがまだ生きていると考えている。『旅立ちの儀式』が、鍵かもしれない。『旅立ちの儀式』とは、何なんだ。説明してくれ」
ケンとレナは、ルークに説明するように促した。ルークは、一息いれ話始めた。
「『旅立ちの儀式』は、ティトが考えだしたモノで、人間の誕生と死亡の時の儀式です。『旅立ちの部屋』で、ティトの指示により私が実行しています」
「そんなの聞いてないぞ」とケン。すかさず、ルークが答えた。
「聞かれませんでしたから。それに、あなた達は、まだその時期ではないので・・・」
「その『旅立ちの部屋』に案内してくれ、何か掴めるかもしれない」二人はルークについて行った。




