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次に来る者  作者: リュウ
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カプセル

 ルークは、ティトに呼び出されていた。

「ティト、ルークです」扉が開いた。

 ティトの部屋の中心には見るからに重々しいカプセルがあった。直径2.5メートルのカプセルは黒く鈍く光っていた。そのカプセルに向かって、ティトが作業していた。

「ティト、休憩してないですね。私の言うことを聞いてください」

「設計ファイルを転送中だ。読み込んで理解してくれ」ティトは手を離さずに言って作業を続けた。

「…これを作るのですか?」ルークはティトを見た。

「ああ、これを組み立てて、動作確認したい」二人は黙々と作業を続けた。この作業は丸一日間かかった。

「行こうか。アウラのところへ」ティトとルークは、集中治療室へ向かった。アウラは、そこに横たわっていた。アウラの白い肌はさらに白くなり透き通るようだった。

「変化なしですね」ルークが言った。ティトは、小さく頷いたが、アウラから目を離さなかった。しばらくして、ティトはソファに腰を下ろし、目を閉じた。身体が沈んでいく、どんどん下へ下へと沈んでいく。ティトは、眠ってしまった。

ピーピーピー。

 ティトは、飛び起きた。アウラの生命維持装置からのアラームだった。ルークはすでにティトの横に来ていた。ティトの心臓は、まだ落ち着いていない。

「アウラを移す。手伝ってくれ」

 ティトとルークは、集中治療カプセルを部屋まで運んでいった。ルークは、集中治療カプセルを例のカプセルの横に置いた。ルークは、アウラを集中治療カプセルからそっと抱き上げ、例のカプセルの中に置いた。ティトはアウラの頬に触れた。

「アウラ、アウラ、聞こえる?」ティトは耳元でささやくように優しい声で言った。

「…聞こえるわ。とても、疲れたわ。眠ってもいい…。ねぇ、ティト、私の身体は、もう時期古いぬけがらになるわ、悲しくないわ」それは、弱弱しい小さな声だった。

「ああ、お休み」ティトは、ゆっくりとアウラから離れた。ティトは今にも泣きだしそうだった。

「ルーク、これからの作業を記録してくれ。これからこの宇宙船で人が亡くなった時は、これと同じようにしてくれ。僕が死んだ時も同様だ」

 ティトは、スイッチを押した。ブーンというモーター音をたてて例のカプセルの蓋がしまった。ティトは、モニターに映る脳波計や心電図を確認し、キーボードをポンと叩いた。

 実行します、アナンスが聞こえる。

 ティトは、ソファに深々と腰かけ、目をつぶった。ティトはすぐに眠りに引き込まれて行った。そこには、元気なアウラがいた。アウラの健康的ですらっと伸びた足、産毛まで鮮明に見えた。




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