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異なる空の下で  作者: ネムノキ
チュートリアルな一週目

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8/49

7

 次の日、週に二回ある風呂の日だったので、入れてもらってからログインした頃には日が高く上がっていた。

「今日も晴れ、かあ」

 強い日差しに目を細めながら、大通りを北上する。

「あ……」

 すぐに狩猟ギルドには着いた。着いたのだけれど、壊れたドアが壁に立てかけてあった。それに申し訳なく思いながら、カウンターの列に並ぶ。しばらく待ったのち、私の番になる。

「次の方どうぞ」

「はい。ギルド長に呼ばれて来ました」

「あなたは……」

 受付の茶髪の女性は何か言いたそうにした後、うなずいてから告げた。

「二階右手の二番会議室でお待ちください」

「分かりました」

 その言葉に従って二階に上がり、二番会議室に入る。会議室には大きな丸机があり、その周りに円形に椅子が並べられていた。その入り口から少し左手の椅子に座ってしばらく待つと、ドアが開かれた。

「待ったか?」

「いいえ」

 尋ねるギルド長に、立ち上がってそう答えた。

「では、報酬の話をしようか」

 そう言ってギルド長はひとつ席を空けて右側の椅子に座った。

「今回の件は、街の存亡に関わる危機、ということで領主様から十万ゴールドの報奨金が出た。受け取ってくれ」

 ギルド長は苦い顔をしながら今まで見てきたゴールドと輝きの違う金貨一枚を手渡ししてきた。

「ありがとうございます」

 受け取り、目の前に置きながら内心びびる。宿屋の料金などから推測して、この世界ではだいたい一ゴールドで十円分の価値があるように思う。それが十万。だいたい百万円分くらいの価値になるだろうか。FLO開始三日目にして金持ちになってしまった。これなら、ドアの修理費位はなんとか払えるだろう。

「それで、ドアの修理費なのですが……」

 言いづらかったが、気分が軽くなったのであっさり言えた。

「ん? ああ、それなんだが……」

 ギルド長は言いづらそうに切り出した。

「本当は、街の英雄に請求するのは心苦しいのだが……。規則なので、な。すまない」

 そうギルド長は頭を下げる。

「いいえ、自分がしたことの責任を取ることは当然のことですから」

 そう言うと、ギルド長は、「そうか」 と言って大きく息をはいた。

「で、修理費なのだがな……、九万八千ゴールドだ」

「そんなものですか」

 良かった、十分足りる。それに、散々衛兵たちに脅された金額より安い。

「そんなものって……まあいい。それで、今払うか?」

「はい」

 そう言って、目の前の金貨をギルド長に渡す。

「ああ、つりを用意させるよ」

「いえ、結構です」

 そう言っておつりを断る。

「どういうつもりだ?」

「まあ、慰謝料みたいなものだと思ってください」

 実際、修理費だけ払うのは何か違う気がするのだ。それに、この一種のあぶく銭をもらっても、ただでさえ大金を持っているのに、これ以上もらうとなんだか自分が駄目になってしまう気がする。そんなことを説明すると、ギルド長は、

「今どき珍しいくらい真面目な子だな」

 と苦笑した。

「だが、つりは出させてもらうぞ」

「それでも」

「一応、規則なのでな」

 規則を持ち出されると何も言えない。私は、ただ黙り込む。

「それに、異邦人だろ? これから狩りや魔術で身を立てていくなら、二千ゴールドや一万ゴールド程度はした金だ。お前、剣の値段知っているか?」

「……いいえ」

「やはりな」

 私が首を振ると、ギルド長はこう続けた。

「鋳造の安い剣で一万ゴールドだ」

 私は、その言葉に驚愕した。まさかそんなにするとは思っていなかったのだ。

「それに、魔術師として大成したいなら、魔導書が必要になるが、それは中古でも買うなら十万ゴールドから、だ。な? お前が持っているのは大金か?」

「…………」

 私は、思わず黙り込んだ。全然、今の所持金じゃ足りない。報奨金が良かったからと言って浮かれすぎだ。

「……分かりました。すみません。それと、ご教授ありがとうございます」

 そう言って頭を下げる。このギルド長は、世間知らずな私を心配してくれたのだ。本来なら関係ないはずの他人なのに。

「別に構わん。それが仕事だ。それに、街の英雄に不義理は通せんだろう。まあ、これに懲りてちゃんと勉強することだ」

「ありがとうございます」

 その後、お釣りの二千ゴールドを受け取った後、ギルド長のアドバイス通り街を見回って値段を調べた。そして、確かに一万ゴールド程度はした金なことを知った。

「服は百ゴールドから戦闘用のものは最低千ゴールド。食品は一食分五十ゴールド。武器は短剣ですら三千ゴールドから、かあ」

 そして、ようやく装備を整えた。服をカーキ色の分厚いが風通しの良いものに変え、靴を茶色で鉄板入りの頑丈なものに変える。これで五千ゴールド。あとは念のため六千ゴールドの刃渡り三十センチほどのナイフとベルトのセットを買った。これですっからかんだ。

「明日から頑張って稼がないとなあ」

 つぶやいて、この日はログアウトした。


思いのほか筆が進んでいるので、もうしばらくは連日投稿出来そうです。

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