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異なる空の下で  作者: ネムノキ
激変の二週目

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 次の日、お風呂の間もFLOにログインするのが楽しみで仕方なかった。

「今日は……くもりかあ」

 ログインしてすぐに窓の天気にテンションが下がったのだけれど。雨は降らなそうなのが救いだけれど、あまり嬉しくない。

「雨具、買っておこうかな?」

 雨が降ったら当然服が濡れる。それは嫌なのでそう決めてガーデルマン服飾店に向かう。

「いらっしゃいませ」

 今日はいつもの犬耳の店員ではなく、肩までの黒髪に額に角を生やした肌の白い女性が出迎えた。その胸を見ると、いつもの店員さんとは違ってなんだか負けた気分になる。いやいつもの店員さんにも負けているんだけれど。

「どうなさいました?」

「い、いえ大丈夫です」

 ただ内心葛藤があっただけです。買い物するのに全然問題はありません。

「雨の中でも活動出来る服装を探しているのですが」

 気分を切り替えてそう告げる。

「雨具ですね、かしこまりました」

 言ってみて何だけれど、服なら何でも揃っているこの店は凄い。

「おおまかに分けて、こちらのポンチョタイプのものと合羽タイプのもの、そしてコートタイプのものがございます」

 ポンチョは派手な赤色のもので、合羽はクリーム色の上下。コートは黒の地味なものだった。

「うーん」

 悩む。ポンチョは動けば濡れそうだ。合羽はほとんど濡れないだろうけれど汗で蒸れそうだし、何よりダサい。コートはこの時期には暑いだろう。奥の方を見てみると、様々な形のコートがかけられている。季節感の違いにとまどいながら、さらに考える。

「こちらの商品全てには、【蒸れ防止】 のエンチャントがなされておりますので、汗で蒸れることなく快適に過ごすことが出来ます」

 店員がそういうけれど、余計悩みが大きくなるだけだった。

「とりあえず、ポンチョは無し、かな?」

 雨具なのに、濡れてしまっては意味が無いだろう。

「かしこまりました」

 店員はポンチョを片付ける。

「あーもうっ! 悩むんだったら買っちゃえ!」

 段々イライラしてきたので、買ってしまうことにする。それもこれも、可愛いのが無いのが悪い。そう内心八つ当たりする。

「とりあえず、合羽から見せてもらえますか?」

「かしこまりました」

 とりあえず合羽を見る。赤や青などカラフルなものから黒や白など地味なものまで色々揃っている。ダサいけれど、なかなかの品揃えだ。

「これは……無し、かな?」

 濡れると透けそうな透明のものをさっさと除外して、考える。合羽はダサいから、街中ではあまり着たくない。着るとしたら、外でだろう。あまり派手な色は嫌だし、かといって黒ならモンスターと見間違えられそうだ。

「……これにします」

 結局選んだのは、初めに見せてもらったクリーム色のもの。幼い頃見た雨の中自転車に乗る中学生がこんな感じの色合いのものを着ていた気がするので、それを着られなかった憧れから選んだ。

「次は、コートを見せてください」

 そう言ってコートを見せてもらう。が、沢山種類があるように思っていたものの、長さやフードの有無などが違うだけで、あまり可愛くない。

「可愛くないなあ……」

「今は夏ですから、コートの取り扱い自体が少ないのです」

「そうなのですか?」

 八種類で少ないとなると、多い時には何種類になるのだろう? ワクワクしながら店員に尋ねる。

「はい。秋から冬には、三十種類近くのコートを取り揃えておりますので、その時期なら可愛いコートもございますよ」

「なるほどー」

 ということは、可愛い見た目重視のものはその時期に買えば良いだろう。今からその時期が楽しみだ。

「じゃあ、実用性重視のものにしよう」

 雨の中活動するので、当然出来るだけ濡れない方が良い。頭は濡れない方が良いのでフード付きのもの。そして丈の長いものが良い。

「となると……」

 二つに絞られた。黒の膝丈くらいまであるものか、深緑のすねくらいまであるものか。黒のものは二列三つずつ白のボタンがついているけれど、デザイン的にはフードのものより襟のもののほうが格好良い。深緑のものはあごくらいから腰の辺りまで五つの服と同じ色のボタンが着いている。足元の前側が開いているので、歩きやすそうだけれど、いかんせん地味だ。

「一度ご試着なさってはいかがですか?」

 店員の進めに従って試着してみる。黒のものは少し締め付けられる感じがしたけれど、深緑のものは着てみると結構ゆったりとしている。それに、どこかの特殊部隊みたいで格好良い。

「よし、決まった」

 結局深緑のものと、黒のやつの襟バージョンを選んだ。黒のほうはデザインが格好良いからだ。

「合計三千ゴールドになります」

 ゴールドを支払い、無限収納に受け取った紙袋をしまう。その黒い渦を見て、店員は驚いていた。

「無限収納とは、珍しいスキルをお持ちですね」

「え? ああ、はい」

 そりゃあ課金しないと手に入らないスキルなのだから、当然だろう。でも、店員が知っているということは、この世界の住人にもこのスキルを持っている人がいるのだろうか。

「今後とも、是非当店をご贔屓ください」

 そう店員は頭をさげた。

「はい。では、また」

 そう言ってガーデルマン服飾店を後にする。

 途中の露天でホットドッグとリンゴジュースを買い、南の平原へ向かう。時間がかかったけれど、ようやく昨日学んだことが実験出来る。私は、ワクワクしながら平原を進んだ。


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