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10000PV突破! 感謝で胸が一杯です!
皆さんありがとうございます!
「ふう……」
大きく息をはいて嫌な気分を切り替える。
「私の出番は無かったわね」
アマラは残念そうに言った。
「ま、いいじゃないですか」
「それもそうですね」
そう無理やり納得すると、平原を進む。
「それで、今更ですけど、このまま一緒に狩りをしても良いですか?」
アマラはそう尋ねてきたので、私は笑顔で答えた。
「はい、良いですよ。私もベータテスターの実力には興味がありますし」
「それは良かったです」
早速スライムが群れで出てきたので、シュートで蒸発させる。
「これは私も頑張らないとね」
アマラは苦笑した後、こう言った。
「『風よ』!」
すると風が渦巻き、スライムの方へと飛んでいく。風が通り過ぎると、切り刻まれたスライムが蒸気を上げて消滅した。
「アマラも凄いですね」
「まあ、ね。トーレのお陰で威力も上がったし」
「私のお陰、ですか?」
私は首をかしげた。お陰と言われても、思い当たることは無い。
「そう。貴女のお陰で魔力操作のレベルが上がって、そしたら 【精霊魔法】 の制御がものすごく楽になったの」
「精霊魔法、ですか?」
私はさらに首をかしげる。精霊魔法というスキルはベータテストの時には無かったはずだ。
「ええ。種族スキルで新しく増えたやつ。掲示板で話題になってたんだけれど、知らない?」
「……すみません掲示板はあまり見ないので」
FLOの掲示板は見たことがあるけれど、ベータテストの時と比べて酷く荒れていて、怖くて気持ち悪かったのでその時以来見ていないのだ。
「そういうプレイもあるし、それなら仕方ないかな?」
「それで、精霊魔法、ってどんなスキルなのですか?」
そう尋ねると、アマラはあごに指をあてて説明しだす。
「そこら辺にいる精霊に意思を伝えて発動する魔法、らしいけれど、その肝心の精霊の姿が確認しづらくて、いまいち威力に欠けていたんだけれど、魔力操作と魔力感知のレベルが上がると精霊がはっきりと見えるようになったの」
「へえ、精霊、ですか」
精霊、と言うと確かプレイヤーがなれる種族の中に 『半精霊』 と言うのがあったはずだ。ちっちゃくてかわいらしかったのを覚えている。
「ええ。なんか魔力で出来た生き物みたいだし、どこにでもいるからせっかく取った 【風魔術】 のスキルが完全に死にスキルになっちゃったけど、可愛くて癒されるから良し、ってところかな?」
「へえ、可愛いんですか」
その言葉に私は興奮する。可愛いとは、是非とも見てみたい。
「興奮しているところ悪いけれど、今のところ種族スキル以外での習得方法は分かっていないわよ」
その言葉に、私は絶望した。
「いやそんなに悲しむことはないから。もしかしたらそのうち習得方法が明らかになるかもしれないし」
「……それもそうですね」
私たちは、気を取り直してスライム狩りを続ける。それにしても、今日はいつもよりスライムが多い。すぐにMPが切れ、二人座り込んで休憩する。
「何か今日スライム多くないですか?」
「確かに、多いわね」
アマラも困惑しているように言った。
「ちょっと掲示板で調べてみるわ」
そう言うとアマラの目の前に白い板が現れる。ヘルプを他の人が開いているところを見るのは初めてで、何か新鮮に感じる。黙想をしながら待っていると、すぐにアマラは何か見つけた。
「……今日だけじゃなくて、徐々に増えてきているみたいよ」
「本当ですか?」
確かに、この南の平原には沢山スライムが沸くけれど、それが増えているように感じたことは無かった。
「ええ、解析班の情報だから、間違いないと見て良いわ」
「……解析班ってそんなにすごいんですか?」
疑問を口にする。
「ええ、彼らはベータの時から解析しかしてない変態共で、自分達の情報には誇りをもっているから、まず間違えた情報は挙げないから正しいはずよ」
「それは……、何と言うか、すごいですね」
私は若干引きながら言う。この膨大な情報からなるFLOを解析しようなんて、変態にも程がある。
「運営からの告知もあったし、多分イベント絡みじゃないか、ってのが今のところの結論よ」
「でも、その割には人がいないですよね」
イベント絡み、という割には南の平原の人影はまばらだった。
「そりゃあそうよ。プレイヤーの大多数は戦闘系スキルを中心にしたビルドなのに、スライムって攻撃するたび装備の耐久値がものすごく削られるのだもの」
ビルドの意味は分からないけれど、言いたいことは大体分かった。装備の耐久値はFLOでは外見にすぐに反映されるので、見た目も悪くなるし嫌がるプレイヤーが多いのだろう。
「ま、私たちには関係ない話だけれどね」
「そうなのですか?」
アマラの弓を見ながら言う。アマラは魔法も使うけれど、弓をずっと持っているから本当は弓使いだと思っていたのだ。
「ああ、これのこと? 確かに弓が中心だけれど、モンスターを攻撃すると一発で矢が消滅してしまってコスパが悪いから、スライムには魔法しか使ってないのよ」
「なるほどー」
ということは、動物を攻撃したときには矢が残るのだろう。
「じゃあ、サクサク行きましょっか」
アマラが勢い良く立ち上がったので、私も立ち上がり、スライムを狩り始める。ただ、進むたびにスライムの数は増えていき、進んでは引いて休憩を繰り返す。諦めたのか、うなだれながら引き返すローブ姿のプレイヤーを多く見かける。昼食はアマラが持ってきていたサンドイッチを食べて狩りを続け、空が赤くなった頃街に戻って狩猟ギルドで素材を売却する。私が無限収納から素材を取り出すところを見てアマラは驚いていた。
「じゃあ、またね」
「うん、またね」
パーティを解散し、ホクホク顔で宿屋に戻り、ログアウトした。
(にしても、イベントってどんなのになるのだろう?)
期待とわずかな不安を胸にしながら。




