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異なる空の下で  作者: ネムノキ
激変の二週目

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17

 次の日のログイン。宿屋から出ると人に囲まれた。

「俺たちとパーティ組まない?」

「GMと知り合いって本当?」

「俺は家族って聞いたぞ」

「君かわいいね」

「えっと……」

 急にそんなに話しかけられても、答えられない。それに、圧迫感が凄くて怖い。そのまま何も言えずおろおろしていると、声が響いた。

「待ちなさい!」

 すると、今までうるさかった人たちが一瞬黙り、声のした方を見ては今までとは別の声を上げる。

「『孤高』 だ」

「『孤高』? 俺始めて見た」

「あの最強の一角の 『孤高』 だ」

「相変わらず美人だなあ」

 まるでどこかの神話のように人混みが割れ、ひとりの女性が歩いてきた。

「アマラ、さん?」

「はい、アマラです」

 そうアマラは微笑んだ。服装は以前と同じだけれど、弓の木の質が変わっていた。

「すみませんが、この方とは今日一緒に狩りに行く約束をしているので、どいてもらえますか?」

 すると疑問と非難の声が上がった。

「あの 『孤高』 が、嘘だろ?」

「ベータで誰とも組まなかったのに……?」

「嘘だぁ」

「先に目をつけたのは俺だぞ!」

 なぜアマラが非難されなければならないのだろう、と首をかしげると、アマラは

「(話をあわせてください)」

 と耳打ちしてきた。なので、適当に話をあわせる。

「待ちくたびれましたよ、アマラさん」

「それはすみません。では、どいてもらえますか?」

 そうアマラが言うと、文句を言いながらも人々は散っていった。

「……はあー。ありがとうございます」

 私はアマラに礼を言った。

「ええ。でも、まだ狙っている人がいるので、行きましょうか。はい、パーティ申請」

 すると、『『アマラ』 さんからパーティ申請が届きました』 とアナウンスが聞こえたのでそれを承認する。

 言われてみると確かに視線を感じる。速足で南の平原に向かいながら、話をする。

「それで、『孤高』 って何ですか?」

「あーそれですか」

 嫌なことだったのか、アマラの口調は暗い。

「実はですね、私ベータテスターだったんですよ」

「そうなんですか」

「ええ。それで、ベータテストのときにですね、再現度に驚いて、『全力で楽しんでやるぞ!』、って気合を入れてしまいまして」

「ふむふむ」

「それでですね、あー。何と言うか、はっちゃけすぎてしまって、『孤高』 なんて呼ばれているんです」

 アマラはそう苦笑した。

「それは災難ですね」

「ええ、全くです」

 話しているうちに城門を出ると、背後から勢い良く何かが迫ってきた。

「なにっ!」

「やっぱり来た」

 全然違う反応をしながらも、私たちは振り向いてからバックステップで距離を取る。するとそこには五人の男たちが迫ってきていた。全員お揃いの大剣を背負っている割に着ている鎧は胸だけで手甲もすね当てもなく、なんかちぐはぐに感じる。

「やっぱりって、どういうこと?」

 そうアマラに尋ねる。

「馬鹿はどこにでもいる、ってことよ」

「なるほど」

 アマラの答えは簡潔なのに、とても分かりやすかった。

「おい、聞こえてるぞ!」

 先頭にいる金髪を逆立てた男が言った。金色の胸鎧が成金みたいでダサい。

「あら? 事実だからいいじゃない」

「なにおう!」

 アマラの煽りに簡単に五人組は逆上した。

「俺様が誘ってるんだから黙って言うこと聞いてれば良いんだよ!」

 成金はそう言った。うわ、俺様とか、

「ダサい……」

 言わずにはいられなかった。

「うっさい! ならPVPで決着をつけようじゃないか!」

 一体どういう理論でそうなるんだ。全然理解出来ない。

「ええ、良いわよ」

 しかし、アマラはあっさりと了承してしまった。

「ちょ、ちょっと、え、何で?」

 私は思わず混乱する。

「え、だってその方が簡単じゃない。力が全て、って感じで」

 アマラは獰猛な表情で言った。

「え、で、でも」

「それに、こう見えて私は強いの。あんな雑魚に負けるはずが無い」

 また五人組はキレて大きな声を出す。私は、それを冷静に観察する。体幹はぶれているし、声は喉から出しているし、十回やれば百回勝てそうなくらいなってない。

「それもそっか」

 私はうなずく。

「じゃあ、負けた方が勝った方の言うことを聞く、って事で良い?」

「ああ、望むところだ!」

 五人組は口々に馬鹿っぽい声で了承する。

『『アマラ』 さんが 『ギルガメシュ』 さんのパーティにPVP 『デスマッチ』 を申請しました』

 そうアナウンスが頭の中に響くと、すぐに 『『ギルガメシュ』 さんが承認しました』 と声が響き、周囲の地面が青く光る。

「ちょ、ちょっと待って」

 私は慌ててアマラに声をかける。

「何?」

「陣形とか、作戦とかどうするの!?」

「私が前で、貴女が後ろ。あとは適当」

 アマラは五人組の方を向きながら言う。するとカウントが始まった。

『五秒前』

「オーケー?」

『四』

「お、オーケー」

 私はなんとか答えて、五人組の方を向く。

『三』

(適当って事は、先に私が殺ってしまっても構わないよね?)

 私は思考を切り替え、魔術の準備をする。

『二』

(格闘でも良いけれど、触れたくないから魔術かな?)

 道場シリーズを制覇しているので、格闘には自信がある。だけど、こいつらには、なんとなく触れたくなかった。

『一』

(一番良さそうな狙いは……)

 父の言葉を思い出し、魔術の準備をする。

『ゼロ』

「ここだっ!」

 叫ぶと同時に、同時に五人の股間にシュートを叩き込む。

「コフッ!?」

 すると五人組は、変な息をはいてその場にうずくまった。

「な、何で……痛覚設定は最低の三十パーセントなのに……」

 そう成金の後ろにいるやつの一人が言った。

「多分クリティカル判定が出たいるからじゃないかな?」

「貴女……顔に似合わずえげつないことをするのね」

 アマラは呆れた声で言った。

「え、だって男の人はここが一番弱いってお父さんが言ってたから」

「確かにそうだけど……」

 アマラは頭を抱えている。その様子に、私は不安になる。

「もしかして、何か悪いことしちゃった?」

「いえ、いいの。貴女に良い格好見せたかったとかそんなのあるけれど、別にこの場合は歓迎よ」

「そっか」

「ふざ、っけるなあああ!!」

 五人組が足を震わせながら立ち上がったので、もう一回股間に叩き込む。

「ガハッ」

 五人組は汚いつばを吐きながら仰向けに倒れた。

「で、このPVPってどうなったら終わるんですか?」

「デスマッチだから、相手が死んだら終わりよ」

「……それってまずくないですか」

 このままPVPが終わっても、五人組はまた突っかかってくるかもしれない。

「あ、それは大丈夫よ。デスマッチの場合死んだら街のリスポーン地点に転送されるから、それはないわ」

「……それって私たちが死んでもそうなったってことですよね?」

 つまり、負けてもこの五人組から逃げれた、とういことだ。

「そういうこと。こいつらが馬鹿で助かったわ」

 そうアマラは笑った。

「そうですね」

 私も笑いながら、五人組の股間にシュートを叩き込み続ける。五人組は汚い悲鳴をあげ、あやまりだす。

「た、助け……」

「もうやらないからやめてく……」

「わ、悪かっ……」

「先に仕掛けてきたのは貴方達じゃないですか」

 呆れながらシュートを叩き込むと、五人組は光になって消滅した。


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