迷い猫は名探偵
2話目となります、薔薇乙女です。
じっくりと楽しんでいただけたらなぁ、なんて思っております。
感想、評価、ダメ出し、なんでも待ってますので宜しくお願いします!!
「で、西園寺先輩。俺たちの部活って具体的には何やるんですか?」
今、奉仕探偵部に入ることになった俺と桃香は、昨日の西園寺先輩の指示で2号館4階の少人数教室に来ている。
「え? ああ、活動ね? それは…………もちろん、決まってないわよ?」
「ええーーー……」
「昨日出来たばかりの部活なのよ? 具体的に決まっている方がおかしいでしょう」
「えっと……それじゃあなんで俺たちはここに集まったんですか?」
「あなたたちも知ってるとは思うけど、部活には必ず1人は顧問がいないといけないのよ。だから今日集まった目的は、私が取り付けた顧問の先生との顔合わせと、今後の活動方針についてのミーティングと言ったところかしらね」
「はぁ…だけどその顧問の先生の姿が見当たりませんけど…というか誰なんです?俺が言うのもなんですけど、奉仕探偵部なんて名前の部活の顧問になろうなんて普通の先生は考えないと思うんですけど…」
「そうね、だからあなたのおかげなの。よくわからないけど、悠真君がいるって言ったら速攻で了承してくれたのよ」
「お、俺っすか?!って西園寺先輩…悠真君って……」
「あ、私これからあなたのことは九条君じゃなくて悠真君と呼ぶことにしたから。京さんは桃香ちゃんって呼ぶわね?だから2人とも私のことは西園寺先輩じゃなくて詩織先輩と呼びなさい。私、同じ部活の人と下の名前で呼び合うのに少し憧れてたの」
「はいっ!わかりました!」
「じゃあ今度からそう呼びますね、詩織先輩」
そのあと俺と桃香は詩織先輩と、どこに住んでいるのかとか、両親のことなど色々な話をした。なんでも詩織先輩の父親はこの九十九学園の理事長であり、この出来立ての部活に少人数教室を部室代わりに使うことができるのも父親に頼んで取り付けたことらしい。いわゆる理事長娘の特権ってやつだ。
──ガチャッ!!
俺たちが話始めて20分。いきなり少人数教室の扉は勢いよく開かれた。
「やっと来たわね、玲子先生。こちらが真木玲子先生。奉仕探偵部の顧問で、年齢は24歳。今年から九十九学園に勤務し始めた先生よ。」
「ゴメンゴメーン!急に職員会議が入っちゃってさぁ~! あ、私の紹介終わった?」
入ってきたのは女の先生だった。赤いジャージに室内用運動靴を身に付けていて、いかにも体育会系といった感じだ。年齢は20代前半だろうか、少し茶色がかった髪に髪型はポニーテールにしている。
「あっっっ!!九条悠真君!!ホントにいた!!!」
「あの~、俺がなにか…?」
「すごい…すごい! 何度見てもイケメン! 西園寺さん、抱き付いたりしてもいいの?! 」
「ええ、構いませんよ」
「やったぁぁーーーーー!!」
──ムギュゥッッッ!
「ちょっ、ちょっと先生?! く、苦しいでふ…」
「先生?! 悠真君に何してるんですか! 離れてくださいっ! というか詩織先輩もオッケーしないでくださいよ!」
先生が思いっきり俺の顔に胸を押し当ててくる。その胸はマシュマロのように柔らかく、ほどよい弾力があって、俺は抵抗しながらも無意識のうちにその感触を楽しんでしまっていた。桃香…止めようとしてくれたのに……ゴメン。
「あら~? もしかして九条君、ちょっと興奮しちゃった?」
「し、してないです!!!」
先生はようやく満足したらしく、俺を解放した。なぜか俺は千春の姉のことといい、年上に弱い節があるのだ。気を付けないと。
「ゆ、悠真君~~~!」
…どうやら桃香には俺が抱き付かれてちょっぴり喜んでいたことがバレているらしい。頬を膨らませてこっちを軽く睨んでいる。しかし本人は気付いてないだろうが、全く怖くはない。それどころか微笑ましいくらいだ。そしてそれに俺が対応に困っていると……
『ニヒヒッ!悠真っちは両手に花だねぇ~』
机の上の電話機から声がする。ってなんで電話機…?
「詩織先輩、なんで電話機なんてあるんですか?」
「ああ、それは依頼を受け付けるための電話機よ。実は今日の朝から職員室前に奉仕探偵部のポスターを貼っておいたの。電話で依頼してもいいし、直接ここに来てもいいことにしてあるわ」
「あ、そういうことですか。というか依頼ってどんなことを引き受けるんですか?」
俺は気になって尋ねた。俺たちの異能で一体どんな依頼を受けることができるのだろうか。
「全部よ?」
「……………………へ?」
「だから、困っていること全部、依頼を受けます」
「なんて大胆な……」
プルルー…プルルルルー…
俺たちの会話が途切れた瞬間、それを見計らったかのように電話が鳴り響く。
「早速依頼が来たようね。悠真君、出て頂戴」
「え?! 俺ッスか?! 出ますけど…」
『ニヒッ! 早く出ないとキレちゃうぞ~?』
「はいはい、出ます出ますよ」
なんで電話機本体に出るように急かされてんだよ…俺。
そして俺は受話器をあげる。
『ひゃぁぁああんっ!』
「変な声出すなよ!!!!」
「…あ、あの~私、九十九学園1年2組の山田千恵という者ですが…奉仕探偵部にかけさせて頂いてるんですけど…間違いないですか?」
「あっ、はい! 奉仕探偵部の九条です! ご依頼ですか?」
「はい…実は……私の飼い猫が一昨日から姿が見えなくて…捜索とかって、してもらえるんですか?」
「えーと、大丈夫、ですよ」
スピーカー機能にあらかじめしてあったので、詩織先輩が依頼内容を聞いてGOサインを出してくる。俺はそれを横目に見つつ、電話を続けた。
「じゃあうちの猫をお願いします! 代金とかってかかるんですか?」
「いえ、奉仕探偵部はあくまでボランティアなので、必要ありません。あと、その猫の名前とかって教えていただけますか?」
捜索するなら名前を知っといた方がなにかと便利だろうし、俺は猫の名前を聞いた。
「ホームズです」
「あ、ホームズ君ですね? わかりました。それでは見つかり次第ご報告させていただきます」
──ガチャッ…
「ホームズって…猫の名前につける人もいるんですね。思わず笑いそうになりましたよ」
「悠真君? ふざけないで頂戴。名前なんてどうでもいいでしょう? それよりも、私早速ホームズの居場所がわかったわ」
「えっ、本当ですか?! 詩織先輩!」
「詩織先輩って…超能力者かなんかですか?」
桃香は普通に驚き、俺は思わず変なことを聞いてしまう。
「ホームズがいるのは……」
──ゴクリ。
「ライヘンバッハの滝よ!!」
「あんたがふざけるな!!!!!!」
※ ※ ※
「それじゃあ作戦を伝えます。まず、私と桃香ちゃん、悠真君は町に出てそれぞれの異能で情報を集め、ホームズを捜索します。玲子先生はホームズ捜索のポスターを作っといてください」
「えっ、もしかして私も手伝うの? 顧問なのに?」
「ホームズが見つかったら悠真君にまた抱き付いて良いですよ」
「手伝います!!!」
「先輩俺を売らないで!!」
「し、詩織先輩! そういうのはよくないと思います!」
桃香も反論してくれる。桃花がいなかったら俺、この2人に滅茶苦茶にされてたかも…。
「まぁとりあえずそこは置いときましょう。それでは各自行動して!奉仕探偵部出動!」
「「「はい!!」」」
※ ※ ※
「おい、ここら辺で猫を見かけなかったか? ホームズって名前なんだけどさ」
俺は街中でホームズの聴き込みをしていた。情報収集は捜査の基本なんてよく言われているが、本当にその通りだとしみじみ思う。
『う~ん、見てねぇなぁ…ネズミなら何匹も見てるけどヨ!』
「うーん、そっかぁ。ありがとな」
やっぱりそう簡単に見つからないよなぁ。猫探しの依頼、思っていたより大変かもしれないぞ。そう思っていた矢先…
「ちょっと……あの人ヤバくなーい?…なんか独りで呟いてるんですけど。」
「英里沙、絶対聞こえてるから。マジやめといた方がいいっしょ…」
通りすがりのギャル2人の悪口が、雑踏の中から聞こえてくる。
そう、俺の情報収集とは物にホームズの聴き込みをすることなのだ。まぁ電柱に話しかけてる男がいたらそりゃ不気味に思うのもわかるけど。というかむしろ当然である。
「あーー…詩織先輩と桃香は手がかり掴んでるかなぁー?」
「誰かホームズ君のこと知ってる人いるかな~」
その頃、桃香は通りすがる人の心を読みながらゆっくりと歩いていた。野良猫の話をしている人がいれば、それがホームズの可能性があると思ったからだ。
「うーん…みんな関係ないことばっかり考えてるなぁ~。彼氏……肉じゃが……歯磨き粉……猫の話すら誰もしてないよぅ~」
桃香はがっくりとうなだれる。元からそう簡単に見つかるとは思っていなかったが、通りすがる人の心を覗きながら歩くのは桃花の予想以上に重労働だった。
「ホームズ君、見つからないよ~。はぁ…って悠真君?」
「あ、桃香…その様子だとそっちも手掛かり無しっぽいな」
ついに俺と桃香は町内を捜索しているうちに、合流してしまう。
「うん。もう詩織先輩とも合流しちゃう?」
「そうするか。でもとりあえずもう遅いから先輩は俺が探すよ。桃香のお母さんそういうのに厳しいだろ?」
「うん、そろそろ帰らないとまずいかなぁ~。それじゃあ悪いんだけど、詩織先輩のことよろしく頼める?」
「おう!任せろ」
今回の依頼、俺が思うに、桃香の異能は3人の中で一番向いていない。俺の異能も、物が見た猫がホームズかどうかは特定できないし、やはり動物の心を読むことができる詩織先輩が最も適しているだろう。だったら桃香のためにもここらで帰してあげるのが得策だ。
「詩織先輩、どこだろ…」
──その頃
「あなたたちホームズっていう名前の猫、見かけなかったかしら?」
詩織は駅前にいる、3匹の猫たちに話しかけていた。
『んぁ?ホームズぅ?あ~、いたぜ、さっき』
『見たニョ!さっきそこを曲がっていったニョ!』
『そこの路地裏だみゅん!』
「本当ね?! ありがとう!」
詩織は猫たちの言った通り、すぐ近くの路地裏を曲がる。
「もしかして、あなたがホームズ?」
『ん? 確かに私はホームズですが。何か用かな?』
「あなたの飼い主さんがあなたのことを探しているわ。もしあなたに帰るつもりがあるなら来て頂戴」
『そういうことでしたか。確かに少々お散歩が過ぎたようですね。わかりました、帰りましょうか』
「助かるわ、それでは私についてきて。……あら?」
「おいおい、こんなところにずいぶんと可愛いお姉ちゃんがいんじゃねぇか」
「俺らと付き合えよ、姉ちゃん。悪いようにはしねぇからよ?」
いつの間にか路地裏に2人の男がいた。茶髪にピアスで、いかにも不良といった感じだ。
「あなたたちと付き合うつもりはないわ。退いてくださらない?」
「あ~? そんなつれないこと言わないでさぁ」
片方の男が詩織の腕を掴む。その瞬間……
「触らないで頂戴!」
詩織はその不良の手を叩き落とした。すると見るからに不良の目付きが変わり……
「イッテ…てめぇ、よくも俺のこと叩きやがったな? 俺、キレっとわけわかんなくなるからよぉ……とりあえず、死ねや!!」
男が右腕を振り上げる。よく見ると顔は仄かに赤くなっており、酒に酔っているのが丸わかりだ。詩織は自らの失策を呪った。
(このままじゃ…殴られる……!)
「…………っ!」
──ドガァァァ!
「んぐぅふぉッッ!!!」
「お前……詩織先輩になにしてんだ!」
「ゆ、悠真君?!」
詩織先輩が殴られそうになったとき、俺はその不良を殴り飛ばしていた。
その不良は予想外に吹っ飛び、そのまま設置されていたゴミ箱に入ってしまう。そしてそれを見たもう1人の不良が俺に殴りかかってくる。その素早い動きに、咄嗟に俺は動けない。
──バギィッ!
「っがぁっ! この…野郎!!」
「グゥェッッ!?」
俺は殴られたあと、すぐにその男も殴り倒す。どうやら2人とも喧嘩は強くなかったらしく、倒れたままもがいていることしかできない。
「先輩! 大丈夫ですか?!」
「え、ええ…あなたのおかげよ。それよりもどうしてここがわかったの?」
「駅前の信号機が教えてくれたんです。美人の学生がこの路地裏に入っていったって」
「び、美人って…。そ、それよりもあなたこそ大丈夫なの?その顔…」
「ああ、こんくらいならへっちゃらですよ!」
そう言って俺は口から流れる血を拭う。さっきのパンチで唇を切ったっぽい。
「どうして…私と出会って2日なのにどうして殴られてまで助けてくれたの?」
「当然ですよ! 困った人がいたら誰でも何でも助ける! それが奉仕探偵部でしょう? それが先輩みたいな可愛い子なら尚更です」
「悠真君……」
「…う、うぉぉっ!?」
詩織先輩と話している最中、俺はフラついて先輩の方に倒れ込んでしまう。今になって不良のパンチが効いてきたらしい。
「ちょ、ちょっと悠真君?! い、いきなりそんな…」
「すっ、すいません先輩! すぐ立ちますんで!」
俺はすぐさま立ち上がろうとするが、どうしてもフラついてまた詩織先輩に倒れ込んでしまう。
「…あぁんっ!」
「ちょっ、先輩すいません!!」
しかし何度やっても結果は同じで。俺は立ち上がれずに先輩にまたかぶさってしまう。
「はぁあぁんっっ!」
「先輩!?いくらなんでもそれはわざとやってるでしょ?!?!」
※ ※ ※
「本当にありがとうございました!!!」
時刻は9時。俺と詩織先輩は、依頼者の山田さんの家まで来て、ホームズの引き渡しをしている。山田さんはホームズを大事そうに抱きしめ、俺らに何回もお礼を言う。こうして感謝してもらうと、今までの苦労が報われた気がして気分がいい。俺はそっと詩織先輩に目配せし、山田家を後にした。
「ところで悠真君、今から私の家に来ない?」
「えええええ!? 急になんですか?!」
「何を慌てているの? その顔の応急措置をするためよ。ここから私の家は近いし、なによりこのままじゃ私のプライドが許さないわ。手当てだけでもさせて頂戴」
「あっ、そういうことですか。それじゃあ遠慮なく上がらせてもらいます!」
「ふふっ、それじゃあこっちよ」
一瞬脳裏に深月のことがよぎるが、深月なら1人でご飯もお風呂も済ましているだろう。俺はそのまま詩織先輩について行くことにした。
※ ※ ※
「お、おっきな家ですね…」
「そうかしら? 別に普通だと思うのだけど」
山田さんの家から徒歩10分。詩織先輩の家は西洋風の造りとなっており、まるで住宅街からフランスのパリ郊外に迷い込んだみたいだ。
「ここが私の部屋だから、先に入ってベッドにでも腰掛けておいて。椅子はきっと教材の山でしょうから。私は救急箱を取ってくるわ」
「わかりました」
俺は先輩の言った通り、扉を開けてベッドに座る。その感触はふかふかで、ベッドの高級さが伺える。俺は暫くそうしているうちにだんだん眠くなり……
「あ……やべ…………」
糸が切れた人形のように、ベッドに背中から倒れて寝てしまった。
「ん……んぁ?」
ここは…ってそうだ!俺は先輩の家に来たんだった!!
俺は慌てて跳ね起きようとするが、体が全く動かない。これは…?
「悠真君、私のベッドで寝るなんて…誘ってるってことかしら?」
「詩織…先輩?」
よく見ると、俺の体は縄でベッドに固定されていた。まさか先輩がこれをやったのか?!
「ふふ…女のベッドで寝てたんだもの。つまりは…そういうことよね?」
先輩はゆっくりとベッドに上がり、俺に接近してくる。そして遂には俺の上に馬乗りとなり、顔をどんどん近づけてきて…。
「ちょっ!!先輩っ!」
俺は必死に動こうとするが、やはりぴくりとも体を動かせない。そのうちに先輩の顔が更に近づいて、俺の視線はその湿っぽい唇と潤んだ瞳に釘付けとなった。このままじゃ…!!
「なーんて、嘘よ」
「…………へ?!」
「なによその顔。もしかして…期待しちゃったのかしら?」
「い、いや!最初から冗談ってわかってましたよ!ハハハ…」
俺は危うく先輩に身を委ねそうになった。それくらいさっきの先輩は魅力的で、蠱惑的だったのである。
「ほら、まだ気づいてないの?自分の顔」
「あっ、いつの間に薬を…」
「あなたが寝ていたから塗りやすかったわ。さて、もう11時になるけど、悠真君帰らなくて良いのかしら?」
「ああっ! 深月に絶対怒られる…俺、帰ります! 手当てありがとうございました! また学校で!!」
俺は先程の恥ずかしさもあり、疾風のごとく先輩の家を後にする。
「悠真君…」
───トクンッ
悠真が帰ったあと、西園寺詩織は自分の気持ちに戸惑っていた。
「悠真君の助けてくれた姿が頭から離れない……これって…………恋?」
※ ※ ※
「前10時に帰ったときですら深月に説教されたのに…今日はどうなるのか…想像もしたくねぇ……」
俺は自宅の前で唸っていた。玄関の電気がついているのを見るに、深月が待っているのは明白だ。きっと仁王立ちで待っているに違いない。
俺は覚悟を決めてドアノブを回した。
「ただいま! ごめん深月! 部活で忙しくなった!!」
俺は家に入るなり、玄関に立っている深月にはなしかける。理由さえちゃんと伝えられれば深月も許してくれるかもしれない。
「部活…入ったんだ」
「え? ああ。俺、この能力を活かしてみたいんだよ。深月も嫌われてる俺よりも、人助けをしてる俺の方がいいと思うと思ってさ!」
「思わないよ……」
「…えっ?」
「そんなの全然思わない!!! なんで!? なんで私じゃなくてあんな部活なんかを選ぶの?! そんなにあの美人2人が気に入った?! 確かにエッチな体つきしてたもんね! 答えてよお兄ちゃん!!!」
「深月…お前なんてこと──」
「絶対に許してあげない! お兄ちゃんも、あの女2人も!!」
「お、おい深月!」
深月はそう言って自分の部屋に駆け込んでしまう。それに対して、俺は深月の今までに見たこともない剣幕に圧倒され、何も言い返すことができなかった。
「お兄ちゃん…なんでよぅ……」
──その晩、深月が泣きながらとある決心をするのだが、悠真にそれを知る由は無い。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
実は今回の話、ライヘンバッハの滝の件は結構面白いポイントかなぁなんて自負しております。
ライヘンバッハの滝は、名探偵ホームズが宿敵モリアーティー教授と戦った場所でーーーと、詳しいことはGoogle検索にてお願いします(笑)
あと、猫の名前について。一見なんでもない名前に見えますが、奉仕探偵部の探偵の部分から考えてたり、関係性は0じゃないんです。そんな感じで関係性や伏線を考えてもらえたらなぁ、なんて思ってます。
それではまた3話にて会いましょう!




